普段は決断力のある人に見えても、切羽詰まった場面では一切決断できなくなってしまったり、知識が豊富に見える人でも、難局に立たされた時に何も思いつかないなど、人の能力というのは通常の仕事だけでは意外と判断がつかないそうです。そこで、今回の無料メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ』で著者の佐藤しょ~おんさんが注目するのは、「臨機応変に対応しなければいけない場面」に遭遇したときの対応力。「マニュアルのない仕事」で発揮する能力こそが本物なのだといいます。
本当の能力は「マニュアルのない仕事」にあらわれる
仕事には手順書と言われるマニュアルが存在することが多いのですが、あんな手順書に落とし込める業務って非常に限られているんですよ。ものスゴく狭い領域の中で、想定外のことが起こらない、ごく限定された業務についてマニュアルが作れるんです。
そしてマニュアル化された業務、つまりマニュアルに落とし込むことができた業務は、作業料が時間の経過と共に安くなる運命にあるんです。つまりこの手の業務をやり続けて、出世することはなかなか難しいんです。
価値がある仕事というのは、マニュアル化できない、もしくはできたとしてもそんなマニュアルはひとつの方針というかガイドラインに過ぎないことが多いんです。なんとなく大枠で、こんな感じでやるんですよ、くらいのことしか書いていない(そのレベルの記述しかできない)ことが多いんです。
ビジネスパーソンでも中級レベルになると、そういう仕事を任されるようになります。その時には、マニュアルをアテにしたり、ましてやマニュアルの通りにことが進むとは考えない方が良いんです。想定外やイレギュラーなことが当たり前のように発生するんですから。マニュアルにはそんなイレギュラーなことが起こった時に、絶対に踏み外しちゃいけないNG集とか、どっちの方向に進むべきかが書かれているだけで、後は全部自分で脳みそを絞って考えて、やるべきことを決めて、正しいかどうかが分からない森の中を走り抜けるしかないんです。
そういうのを臨機応変って言うのかも知れませんが、アタマの柔らかさとか、反応の良さとか、決断力とか、やり抜く意志力とか、困難を打開するための発想力とかって、こういう時に露呈するというか、こういう時に誤魔化しが効かない形で現れるんです。
だから人を評価する時に、一度はそういう状況に直面させるんですよ。部下や同僚がそういう場面にぶつかったら、口を出さずにその人がどうやってその困難、難局、面倒くさい状況を乗り越えるのかを観察したら良いんです。普段知識が豊富にあって、賢さをひけらかしている人でも、こんな場面になったらありきたりのことしか思い付かないなんてことは珍しくありません。決断力があると思われている人でも、マニュアルに書かれていないことは決断ができないとか、日和ってしまうなんてこともたくさんあります。
つまり臨機応変って、その人の素がありのままの形で現れるんです。素こそがその人の能力ですからね。素以外は取り繕った、お化粧みたいなモノで、そんなモノは切羽詰まった場面では役に立たないんです。
逆に言えば、臨機応変が必要とされる場面は、ライバルを抜き去る絶好の機会になるということです。その場にいる誰も正解が分からない、時間は押し迫っている、プレッシャーも掛かってきた。こういう場面で、何をどうしから良いのかを考え、決断し、責任を取ってやり切れると、あなたの株がドカンと騰がるんですよ。つまりこれは、能力のある人には、非常に大きなチャンスになるということ。
豊臣秀吉が若い頃、最初に織田信長に評価されたのが、墨俣一夜城を作った時なんですね。川の中洲に城を作って、それを橋頭堡にして戦いたいという状況で、信長の配下はみんな同じことを思っていて、何度も築城しようとするんですが、相手方もその場所の重要性は認識していたため、なんとか城を作らせないように抵抗するわけです。で、最初に佐久間信盛に作らせるんですが失敗、次に柴田勝家にやらせるんですがこれまた失敗。
城の作り方なんてのは、当時でもマニュアルにできるくらい手順は決まっていたんですが、そんなマニュアルは役に立たないわけですよ。だってマニュアルには、築城時に敵が攻めてくるなんて想定は書かれていないんですから。
その時に当時、木下藤吉郎と呼ばれていた後の秀吉が一夜で城を完成させてしまったんですね。この場面は太閤記に必ず出てくる有名なシーンなので、どうやって作ったのかは自分でググってください。まさに臨機応変の全ての要素が盛り込まれたやり方なんですが、信長はこの時の秀吉を見て、彼の優秀さを正しく理解したんだと思います。
これと同じようなことって、ビジネスの場面でも頻繁に起こるんですよ。
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