MAG2 NEWS MENU

「居酒屋は若者がいて危険」と定食屋で酒盛りする老人たちの実態

新型コロナウイルスの感染防止のため、さまざまな対策が求められている飲食店。しかし、いくら事業者が気を砕こうとも、利用者の自覚が足らなければその効果は期待できないと言っても過言ではありません。そんな飲食店は今、どのような状況となっているのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、定食屋とファミリーレストランで遭遇したグループの振る舞いを紹介するとともに、店側が客に対して「ルール遵守の徹底」を求めるべきとの見方を記しています。

感染防止徹底とはお客にきちんと注意ができること

こんにちは!廣田信子です。

自主申告の「感染防止徹底宣言ステッカー」があるお店で、本当に感染防止が徹底されているのか…が、議論になっています。感染防止策は、それぞれの店舗がいろいろ工夫し、入り口に貼ったり、ホームぺージで公開していますが…それを本当に徹底するのは難しいことです。

私は、もう半年、居酒屋のようなお酒を提供するお店には行っていないので、こういった飲食店の状況は、テレビやネットで見るか、知り合いの話を聞いているだけなので、どの程度、徹底されているかは想像するだけですが…さすがに、仕事が少しづつ動き出し、外出の機会も増え、定食屋さんやファミレスには、ひとり又は2人で行くようになりました。そこでの出来事です。

ある定食屋さんでは、夕方6時、あまり人は入っておらず、テーブルを空けて座ってひとり、2人で静かに食事をしていて、これなら安心と思い入ったのですが…すぐに高齢者のグループの方が4人来られて、にぎやかに席に着きます。で、大きな声で店員の方を呼んで、イレギュラーな注文をしています。ほとんどが定食メニューなのですが、つまみにするのに、それを全部ご飯なしの単品にするように。一応、ビールはメニューにあるので、ビールの銘柄や、他のお酒はないか聞いています。かなり離れた席の私のところにも聞こえる大きな声です。店員の方は名札からベトナムの方のようで、マスク越しのイレギュラーな注文が聞き取りにくいようで何度も聞き直しています。

そうしたら、後から仲間が3人来て合流。本来なら空けているべき、すぐ隣のテーブルに着き、7人が密に座って会話をしています。何かの会合の帰りのようで、幹事役の方が、居酒屋は若いのがいて危ないから、こういう定食屋で飲む方が安全でいいんだよ…と自慢げに話ししています。料理とビールが運ばれてくると、みんなマスクを外して、食べて、飲んで、さらに話が盛り上がっています。高齢になると耳が聞こえにくくなる傾向があるので、どうしても話す声は大きくなります。その雰囲気はまるで居酒屋です。

感染防止対策でマニュアルが一応あっても、まとまった人数が来られれば、密な形でテーブル席が埋まります。入り口の注意書きには、食事をするときは静かに…食事が終わったら、マスクをして小さな声で会話を…と書いてありますが、そのマスクなし大声のグループを店員の方が注意する気配はありません。もし、あの7人の中に感染している方がいたら、間違いなく、クラスター発生です。私は、時間調整で、少しゆっくりしたかったですが、食事が終わったら、すぐ席を立ちました。その後、そのお店には行く気になれません。

また別の日のファミレスでのランチでは…私は、ピークを避けて午後2時過ぎに行きましたが、店内はいくつかのママ友グループが、話に花を咲かせ、にぎやかな笑い声が響いています。もう、食事はすんでいて、食後のおしゃべりが盛り上がっています。席についているときも、ドリンクバーにドリンクを取りに行く時も、ほとんどの人がマスクはしていません。コロナ以前の日常のような風景です。

やはり、入り口には、食べる時以外はマスクをして会話は小さな声で…と書かれていますが、マスクなしで長時間盛り上がっているママ友グループに、店員さんが注意をする様子はありません。

高齢の方のグループも、ママ友グループも、その中に感染者がいる確率は極めて低いでしょうし、きっと、ずっと自粛していて、久しぶりに集まれて話が弾んでいるのでしょう。そんなときぐらい水を差さずに、思いっきり話をさせてあげたい…とも思いますが、そういう気のゆるみを、新型コロナウィルスは見逃してくれません。店が自ら決めた感染防止対策が守られていないのに、お客に注意(守るようにお願い)をすることができなければ、とても感染防止対策が徹底しているとは言えません。

一方、感染防止対策が徹底しているな…と思ったお店もあります。いつもよく行っていたバイキング形式の自然食のお店に、久しぶりに行きました。広々していて、天井も高く、外に面して換気もしやすいので、空間はだいじょうぶだと思いました。ただ、だいぶ叩かれたバイキング形式ですから、どんな感染防止対策をしているか気になりながら…。

入り口での検温や手指消毒はもちろん(専門のスタッフが手指消毒をするまで確認しています)その後、入り口で店内の利用ルールの説明があります。料理や飲み物を取りにいくときは、マスク着用、トング、ボタン等の機器を触るときはポリエチレンの手袋をする順路に従って料理を取り、人との間隔を空ける飲み物や料理を追加するときには、常に新しい食器を使用する…と。そして、密にならないよう、ひとテーブル空けて席をとります。まとまった席を多人数がとることができないようになっています。

ここまでは、やっているところは他にもあると思いますが、このレストランは、感染防止対策がちゃんとしていると思ったのは、ルールが守られているか、チェックしている人がいることです。うっかり、マスクをするのを忘れて飲み物を取りに行く人がいるとちゃんと注意をしているのです。お客さんに注意をするというのは、結構たいへんなことです。うっかりは誰にもでもあることです。黙って飲み物をとる間ぐらい、マスクがなくても問題ないんじゃない…と見逃したくもなりますが、それも逃さないで、注意をしているのです。たぶん、お客に注意をする仕方も心得た専門スタッフだと思います。

やはり、感染防止を徹底するには、ちゃんと、お客に注意ができないとだめだと思います。それができていて、初めて安心して利用できます。「感染防止徹底宣言ステッカー」を貼って、感染防止をしています…といっても、それを徹底するために、ちゃんとお客に注意しているお店はどれほどあるでしょうか。グループでわっと来たお客に、まとまって座ると密になってしまうので、席を分けて座って…と言えるでしょうか。飲んで盛り上がっているお客に、飲食をしていないときはマスクをして、小声で話して…と言えるでしょうか。

接客を伴うお店の従業員の方の声として、

そういう話を聞きます。お客商売で、お客に注意をしたり、要望を断ることは、たのしみたくて来ている人の気分を一瞬で損ねるので、簡単ではないと思います。でも、それが、自分たちはもちろんルールが守られていることを信じて来店した他のお客を、危険に晒すことにもなるのです。

日常、コロナ対策を徹底していたにも関わらず、感染してしまった知人は、たぶん、夫婦で行った飲食店で感染したんだろう…と。こちらは、夫婦2人で静かに飲食するつもりでも、後から大人数の人が来店して密になってしまい、飲んで盛り上がっている中に陽性者がいたら、簡単に、他のグループにも飛び火するのです。

その方は言います。一応、マニュアルがあって対策している風でも、お客に注意したり、断ったりできないお店はNG、そして、声の大きい酔い客がいるお店はNG。感染したら、本当に大変だから、一瞬の気のゆるみに注意をして…と。

どんなに、「感染防止徹底宣言ステッカー」を貼っていても、ホームページに立派な感染防止策を公表していても、お店のルールを守らないお客に注意ができないお店、ルールに従わないお客の入店を断固断れないお店はNGです。抜き打ちで、一瞬、感染防止対策を調査しても、お客が入ったときの実態まではわかりません。

これまで、飲食業は、わがままなお客に対しても、お客様として、波風立てないように…と対応してきました。お客が気分を害すると、インターネットに悪評判を書き込んだり、嫌がらせを受けることもあり、それを恐れているのです。お客に注意をするときのコミュニケーションのスペシャリストをすべてのお店でおくこともできません。

私は、これまで、ちょっと注意をしてほしいな…と思う場面に遭遇しても、自分が、早々席を立つだけで、店員の方に、ルールが守られていないので注意をした方がいいのでは…とは言いませんでしたが、他のお客が、安心して過ごせるよう、お店が自分たちの決めた対策を守っていない人に対しては、注意をしてください…と私たちも言うべきなのかもしれません。

注意をしてほしいということも、注意をすることも、注意をされることも、当たり前のシーンとして、私たちが抵抗なく受け入れることができるようになれば、感染防止と経済・社会活動の難しい両立につながるのでは…と思いました。お客に対してきちんと注意ができるお店を、私は応援したいと思います。

image by: Shutterstock.com

廣田信子この著者の記事一覧

マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 まんしょんオタクのマンションこぼれ話 』

【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け