よく、億万長者を夢見る人に限って「お金持ちになったら遊んで暮らすぞ」と口にしがちですが、果たして世界の大金持ちは皆、働かずに遊んで暮らしているのでしょうか? 米国公認会計士でフリー・キャピタリストの午堂登紀雄さんは、自身のメルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』の中で「金さえあれば働かないのに!という人はお金持ちは働いたりなんてしないはずだという固定観念に囚われがち」だと断言。そして、「これは自分からお金を遠ざける危険な思考」だと警告しています。
プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお) 米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。
金があったら働かないのに、と言いながら人生を転げ落ちる人々
庶民がハマる「大いなる誤解」
私は講演をする機会があるのですが、そのような場面で時々聞かれるのが「お金があるのにどうして働くんですか?」という質問です。
また、私はこうしてコラムを書く仕事をしているのですが、時々「本当に儲かっているならコラムや本を書いたりなんてしないはず。結局儲かっていないんだ」という批判めいた指摘を受けることがあります。
私の妻も、「旦那さんが稼いでいるのに、なぜそんなにバリバリ仕事をするんですか?」と聞かれることがあるそうです。
さらには、子育て環境を求めて都心から電車で約20分にある新興住宅地に引っ越したのですが、妻がママ友から「そんな人がなぜこんなところに住んでいるの?」と言われたそうです。
ここに、一般の人が抱く大いなる誤解があるように感じます。
孫正義氏や柳井正氏はなぜ働いている?
私は、自分が特別にお金を持っているとか儲かっているという意識はありませんが、「働くのをやめたい」などと思ったことは一度もありません。
それはなぜかというと、やりたいこと、楽しいと思えることだけをしているからです。自分が好きなことをやってお金までいただけるなんて、こんな素晴らしいことはありません。言い換えれば、生活費を稼ぐために働いているのではなく、趣味の延長として仕事をしているような感覚です。
「たくさんお金を持っている人は働いたりなんてしないはずだ」と考えている人は、おそらく仕事が楽しくないのでしょう。その人にとって、働くのはつらくしんどいことなのだと思います。
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でも生活のためには働かなきゃいけない。たくさんお金があったら、会社なんて今すぐにでも辞めたい。そういう発想が根底にあるために、お金を持っている人たちがなぜ働くのかが理解できない。
そして、もしそういう発想だとしたら、たとえば日本有数の資産家である孫正義氏や柳井正氏がなぜ働き続けるのかも理解できないでしょう。
億万長者が働き続ける5つの理由
彼らもまた、生活のためにやむを得ず働いているわけではありません。人が働く理由はそれぞれ異なりますが、億万長者になっても、なお働く理由は、おそらく次のようなものだと推測します。
- 自分が考えた商品・サービスを世に問い、受け入れられたいという承認欲求(あるいはゲーム感覚)
- 競合に打ち勝ち、あるいは独自性を出して売上・シェアを伸ばしたいという競争心
- これで社会を変えたい、人々のライフスタイルを変えたいという使命感
- 自分が得てきたものを後世に伝えたい、遺したいという貢献欲求
- 会社を大きくし、雇用を増やし、顧客だけでなく従業員や取引先にも幸せになってもらいたいという、社会的な連帯欲求
もちろん上記以外にも考えられますが、私の周りでも、成功していても働き続ける人がほとんどです。
お金があるから働かないという「地獄」
つまり、彼ら資産家にとって仕事をするということは、自己表現手段であり、自己実現手段。お金は単なる結果であり、目的ではない。そのプロセス自体を楽しんでいるのです。
ただし例外もあり、ネット起業家や個人投資家の中には、稼いだ後は引きこもりで廃人同然の生活をしている人も散見されます。
この、若くして「お金はあるけど何もすることがない」という状態が、本当に幸せなのかどうか、それは個々人の性格によって分かれるところかもしれません。
私自身は、そういう生活は退屈で我慢できないと思います。
たとえば朝7時に起きて、夜11時に寝るまで、食事や入浴などの時間を除き、活動時間はおよそ13時間。それを何をして過ごすか。旅行?アウトドア?読書?ゲーム?ゴルフ?サーフィン?プロを目指すのでもない限り、そんなのずっとやっていられないでしょう。
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現代日本においては、狩猟時代や戦争時代のように「生きるか死ぬか」という局面はほとんどないわけですから、人生80年とは壮大なる暇つぶしに過ぎません。その暇を何をしてつぶすかが、充実した人生になるかどうかを分かつのだと思います。
お金の有無ではなく合理性で人生を選択する
また、住む場所についても、「その場所」に住むのはお金があるとかないとかいう理由ではなく、合理的な理由があり、その意志の元に選択しています。
私の場合、夫婦ふたりのときは東京都内の賃貸マンションに住んでいました。職住近接で移動時間を短縮できるし、仕事や人との出会いのチャンスも多かったからです。
しかしネット主体の仕事に移行し、コミュニケーションツールもネットがメインになっていくと、もはや働く場所はどこでもよくなります。 そして子どもが生まれたら、都心は公園など遊ぶ場所が少なく、交通量も多くて危険。騒ぐので、近隣住民にも気を遣う。何より、待機児童が多く保育園にまったく入れない。
そこで郊外の戸建てに引っ越しました。保育園にも入ることができ、近所には公園がいくつもあって、自由に遊べる。新興住宅地ゆえに近隣は高齢者かサラリーマン世帯なので、普段は人も車も少なく安全。
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お金があるからそこに住む、お金がないからそこに住む、というのではなく、自分はなぜそこに住むのか。 私にとっては家賃が高いか安いかは判断材料としてのウエイトとしては高くなく(もちろん限度はありますが)、目的適合性が最も重要です。
負け組の思考パターンにハマるな
いずれにせよ、「お金があったら仕事なんてしないはずだ」と考えている人は、「そんなの関係なく働きたい」という人には絶対に勝てません。
なぜなら、仕事を楽しめる人は、集中力も続き、知的好奇心も維持され、さらに能力を伸ばしていけるからです。そして余計なストレスも溜まらないから心も健康。
お金があったら働きたくないという人とは、圧倒的な差が生まれるのです。
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逆に言うと、「あの人お金があるのになんで働いてるの?」と感じるうちは、仕事を楽しめていないということですから、仕事へのかかわり方を変えるか、仕事そのものを変えるか、職場を変えるか、何らかの対応が必要かもしれません。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』より一部抜粋)
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