なぜ「抽象化が上手い人」は富裕層になれるのか?具体の世界は貧困の巣窟

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ビジネスのシーンにおいて、会議や営業相手に説明やプレゼンをする時、「もっと具体的に言ってよ」「抽象的すぎてよくわからない」などと言われることがしばしばあります。これは言い換えれば、「もっとわかりやすく伝えてもらわないと理解できない」ということです。そんな具体化したことでしか物事を考えられない人がほとんどだと語るのは、米国公認会計士でフリー・キャピタリストの午堂登紀雄さん。午堂さんは自身のメルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』の中で、具体と抽象についてわかりやすく解説し、抽象化能力に長けている人こそ、成功者になれると述べています。

「困った人」に粘着された話

先日、私が執筆したある記事がヤフーに転載されたのですが、それを読んだ読者からツイッターでツイートが来ました。「根拠を提示せず、適当なことをヌカしてますね」と。

そこで、丁寧に「当該記事のメインメッセージは『自分の支出を見直そう』ですけど」って助言してあげたのですが、どうやらカンに触ったようです(笑)「だったらそのように書け」と返ってきました。

それで、「冒頭と最後の2か所にも書いてます」と返信すると、「そうじゃなくて根拠を示せ。でないと与太話」と来ました。面倒なので「信じないのも自由。どう判断しようと読者の自由です」と返したのですが、しつこく絡んでくるので無視することにしました。

せっかくですので今回は、なぜこういう人が生まれ、こういう反応をするのかの理由を考察してみました。

具体の世界で生きている人は、抽象の世界が見えない

筆者が普段、執筆するコラムのように「富裕層の特徴は~」などと一般化した話というのは、抽象度を上げて紹介しているわけですが、ゆえに理解できない人は少なくありません。というか圧倒的多数の人は抽象的思考が苦手です。

たとえばトヨタの「プリウス」。これを一段階抽象度を上げると、「ハイブリッド車」。もう一段階抽象度を上げると「自動車」(この間に「セダン」を入れてもOK)。次は「乗り物」というのが、具体と抽象の関係です。以前、コラムでこのようなことを書きました。

「知識・情報・経験を組み合わせて成功法則を導き出せるのは、抽象化能力の高さがあってこそです。 また、そこから実行に移すには徹底的な具体化能力が求められます。ビジネスモデルは抽象的なものですが、実行計画は具体そのものです。

料理も同じく、たとえば献立の組み立ての構想は抽象であり、個々のメニューの調理は具体です。一流の料理人は両方できますが、二流三流の料理人は調理しかできないのです。

起業家や経営者はグランドデザイン(戦略)を描き、それを実務に落とし込む。そしてそれらを実践するのが一般従業員であるように、成功者は具体と抽象を往復する能力が高く、貧しい人のほとんどは具体の世界でしか生きていない。

だから凡人は具体的な指示を与えられないと動けないため、たとえば「これ任せるから好きにやって」と言われたら混乱しますが、成功する人は嬉々として取り組むものです。

という文章です。 ゆえに圧倒的多数がサラリーマンで、圧倒的少数が起業家なわけで、「具体と抽象の往復」がどれほど重要であるか理解できると思います(むろんサラリーマンであっても抽象的思考力の高い人はたくさんいますので念のため)。

「抽象化能力が低い」人は仕事ができない

ちなみに起業家というのは、自分で市場ニーズを読み解き商品を企画し作って値段をつけて販売するという、いわゆる一連のビジネスコンセプトを練り上げられる人のことです。 なので請負業務・相談業務・定型業務が主体のフリーランスのことではありません。

こういう仕事はほとんど具体であり、抽象的な思考は不要だからです(ただしコンサルタントやデザイナー、コピーライターや建築家などクリエイティブな職業は、極めて高度な抽象的思考が求められる仕事です)。

そして、「いや、こういう人もいる」「データで示せ」などという人は、抽象化能力が極めて低い、具体の世界で生きている人です。なぜなら、例外に引きずられて一般化できないし、定性情報から傾向を抽出できないことを意味するからです。

そしてこの具体と抽象というのはマジックミラー(一方からは見えるが、反対からは見えない)の側面を持っていて、抽象的思考能力が高い人は具体の世界も見えますが、抽象化能力が低い人、つまり具体の世界で生きる人には、抽象化の世界が見えません。もちろん、見えてないことにも気が付きません。

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