なぜ「抽象化が上手い人」は富裕層になれるのか?具体の世界は貧困の巣窟

 

話が通じないのは「住んでいる世界が違う」から

むろんこれは程度問題でイチかゼロかという話ではありませんが、端的に言うと「住んでいる世界が違う」ということ。 先ほど、「一流の料理人は両方できるが、そうでない料理人は調理しかできない」というのもそういうことです。 だから「理解できないのは書き手が悪いからだ」というのは半分正解だとしても、半分は不正解。

なぜなら、具体の世界でしか生きていないために抽象的な話が「わからない」わけで、こういう人には何を提示しても理解できないからです。 だから議論がかみ合わない。というか議論にすらならない。自分が見えていないことにすら気づいていないので当然です。そしてそのまま生涯を終える人がほとんどです。

そして具体の世界の住人はここで「お前が何を言っているのかわからない」「詭弁だ」という感想を持ちます。 彼らには富裕層関連の話を読んでも時間の無駄ですので、他をあたった方がご本人のためかと思いますが、なぜか読むんですよね…。

もしあなたが情報発信者で、同様の批判を受けたとしたら、時間の無駄ですのでスルーがおススメです。なぜなら、彼らは理解しようとしないどころか相手の揚げ足を取ることでしか自分を正当化できないので、永遠に平行線だからです。

丁寧に説明しても否定するし、「判断は自由ですよ」といってもさらに絡んでくる粘着性を持つのもこういう人です。

数字では見えないものを見る

先ほど「データで示せ。でないと信用できない」というクレーム(イチャモン?笑)が来たという話をしましたが、思考パターンや行動パターンから教訓を抽出する作業は、実は定性データの分析の方が適しているというのが私の実感です。

なぜなら「なぜそうしたのか」という、判断の根拠となった行動原理を想像しやすいからです。 たとえば「富裕層の8割は長財布を持っている」というデータがあったとして、では自分も長財布に変えれば富裕層になるかというと、なるはずがない、というのはおわかりいただけると思います。

「きれいにお札を並べ、レシートやカード類も整理しているから」というのも理由としては不十分で、「金銭管理をきちんとする習慣ゆえに、それが生活の全方位に発揮され、ついでに財布の中も整理されている」わけで、長財布は結果に過ぎないのです。

だから結果を見たところでほとんど意味はなく、「なぜそうしたか」を探る作業が必要で、それには個別個別の人をじっくり観察する必要があります。

それに、定量化すると平均化されやすいですから、突出した人の突出した傾向が埋もれやすくなります。突出しているがゆえに例外として切り捨てられることもあるでしょう。 記事の通り昨今は現金も財布も持ち歩かない富裕層が増えていますが、全体としては少数派です。

しかしそれが、将来の多数派になる可能性を秘めているとしたら? マスマーケティングに携わるマーケターならともかく、定量分析から得られる示唆にはほとんど意味がないというのが、これまで数百人もの成功者と、数千人もの(?覚えていませんが)一般人を見てきた感想です。

print
いま読まれてます

  • なぜ「抽象化が上手い人」は富裕層になれるのか?具体の世界は貧困の巣窟
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け