多くの職場で導入されているチェックリスト。使いこなせればこれほど強力なツールはないとも言われますが、残念ながら正しく活用できている現場はあまり多くはないようです。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では飲食店コンサルタントの中西敏弘さんが、「チェックリストにだたチェックを入れることが目的となっていることが多い」と指摘した上で、なぜそのようなことが起こるのかを解説。さらに目的意識の共有や仕事のゴールの状態をきちんと伝える大切さを説いています。
店のチェックリストが正しく活用されているか、チェックされていますか?
飲食店では、仕事のモレを防ぐために、様々な「チェックリスト」を活用している事と思います。
- オープン、クローズチェックリスト
- トイレ掃除チェックリスト
- フロア清掃チェックリスト
- キッチン清掃チェックリスト
- ウィーク清掃チェックリスト
- 温度管理チェックリスト
- 在庫チェックリスト
- 発注チェックリスト
などなどが思い当たります。
チェックリストを作る目的は、「仕事・作業のモレ」を失くすためです。また、もう一つの目的としては、「仕事への意識づけ」のためでもあります。ただ、活用している目的としては、「仕事、作業モレ」を失くすためであることが多いと思います。
ですが、店舗でこのチェックシートがどのような形で活用されているか?、常に管理(チェック)されているでしょうか?
「チェックシートは、仕事や作業のモレをなくすためにやっているものだから、それをさらにチェックする意味なんかあるの?」
と思われた方も多いのではないでしょうか?でも、現実は…。
例えば、飲食店の従事者でなくとも、店のチェックリストを見る機会ががあるのが、「トイレチェックシート」。
トイレを利用した際に、チェックシートがお客様に(あえて)目に見えるように置いている場合、たまに、見たりするのですが、5店に1店ぐらい、チェック項目をひとつずつチェックするのではなく、上から下まで線を引いている、というような形でチェックリストを活用している店があります。
きっとこの店では、「トイレの各所をチェックするためにチェックリストを活用している」のではなく、「チェックリストにチェックさえしていればいい」、という風土が店にあるのでしょう。
これでは、本来の目的を果たせるわけがなく、こういったお店ほど、チェックチートにはチェックはついているものの、ごみ箱が手拭き紙でいっぱいだったり、洗面台が水浸しだったりすることがよくあります。
僕がご支援先やセミナーでもよく話すことですが、チェックリストを作ってもいいけれど、チェックすることが目的になる可能性があるので注意が必要であると。
本部側からすれば、「仕事のモレ」をなくすために、チェックリストを作っているのに、現場は、そのチェックリストにチェックをするのが面倒で、ただ、チェックをするだけということがよく起こっています。
なぜ、このようなことが起こるかと言えば、
- そのチェックがなぜ必要なのか(目的)
- この仕事を怠るとどんなことが起こるのか
- その仕事のゴールの状態(あるべき姿)をきちんと伝えず、ただ、「このチェックリスト使って!」と指示のみの仕事をやらせている
からです。なので、仕事のモレをなくすために、チェックリストを作ることはもちろん大切ですが、どのようにチェックリストを活用するのか、また、各仕事の重要性をきちんと教えることも非常に大切です。
意外にこういうところから、店の質が低下し、売上が低下していくという事はよくあることです。
さて、あなたの店のチェックリストは、正しく活用されていますか?もしかしたら、チェックリストさえ使っていないかもしれませんよ!
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