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10月14日は鉄道の日。大手私鉄各社「最も古い路線」の意外な歴史とは

10月14日は「鉄道の日」ですが、日本で初めて鉄道が開通したのは9月12日です。では、なぜ10月14日が鉄道の日なのか、その由来をご存知でしょうか? 今回の鉄道・軌道系無料メルマガ『Magazine de Station』では、著者のM.Gさんが、鉄道の日がこの日になった由来と大手私鉄の歴史振り返りながら、知って得する豆知識を紹介しています。

まもなく「鉄道の日」

今年も間もなく「鉄道の日」を迎えようとしています。新橋横浜間鉄道が開通したのは明治5年の9月12日なのですが、これは太陽太陰暦=天保暦での数字であり、翌年から施行されたグレゴリオ暦に直すと10月14日になるからというのでこの日が「鉄道の日」になりました。

なお、新橋横浜間鉄道は現在の現在の東海道線の新橋駅~横浜駅間の大部分および根岸線の横浜駅~桜木町駅が該当します。「大部分」というのはご存知の方は御存知の通り当時の新橋駅は現在の汐留ジオサイト=旧汐留貨物駅の場所にあったからです(汐留ジオサイトの一角に当時の新橋駅を復元した「新橋停車場 鉄道歴史展示室」があります)。

♪汽笛一声 新橋を はや我が汽車は離れたり
愛宕の山に入り残る 月を旅路の友として♪

ご存知、大和田建樹作詞の「鉄道唱歌(第一集=東海道線篇)」の一番の歌詞です。曲については人口に膾炙しているのが多梅稚のバージョンなのですが、他に「一月一日」の作曲者でもある上眞行も作曲しています。…というか大和田建樹が多梅稚・上眞行の両方に作曲を依頼していたというのが真相のようなんですけどね。結果テンポのいい多梅稚のバージョンが世に受け入れられたようです。

さて、今回は「鉄道の日」ということで、大手私鉄で「その会社で一番歴史が古い路線」ながら「その会社の直系の先祖に当たる会社が開通させた路線ではない路線」を取り上げます。なお全て調べたわけではないので抜けがあるかもしれません。

西武・国分寺線

1894年(明治27年)・川越鉄道により開業。

※ 現在の西武鉄道の直系の先祖である武蔵野鉄道(=池袋線を建設した会社)の最初の区間が開業したのは1915年=大正4年。

※ なお西武鉄道の資本的な直系の先祖というべき多摩湖鉄道(=多摩湖線を建設した会社)の最初の区間が開業したのは1928年=昭和3年。

名鉄・尾西線

1898年(明治31年)・尾西鉄道により最初の区間が開業。

※現在の名鉄の直系の先祖である名古屋電気鉄道が開業したのは1894年(明治27年)。つまり尾西鉄道より名古屋電気鉄道の開業の年の方が4年古いのだが、名古屋電気鉄道の開業時の路線は後に名古屋市に譲渡して名古屋市電となった後廃止されたため現存しない。余談ではあるが…明治村にある3両の蒸気機関車のうち尾西鉄道1号機関車(六郷川鉄橋上に静態保存)と尾西鉄道12号機関車(SL名古屋駅とSL東京駅の間の線路上で動態保存)が同社の所有だった。なお12号機関車はそれ以前に新橋横浜間鉄道の開業2年後に同線を走らせるべくイギリスから輸入された機関車という輝かしい歴史を持つ機関車でもある。

近鉄・道明寺線

1898年(明治31年)・河南鉄道により開業。なお早くも資金難に陥ってしまったため翌年設立された川陽鉄道(後の二代目大阪鉄道)が事業を引き受けた。

※ 現在の近鉄の直系の先祖である奈良軌道→大阪電気軌道が開業したのは1914年(大正3年)。

南海・南海本線

1885年(明治17年)阪堺鉄道により最初の区間が開業。1898年(明治31年)に南海鉄道が設立されて阪堺鉄道の事業継承。

※ 現在の南海電鉄の直系の先祖である高野山電気鉄道が開業したのは1925年(大正14年)。この高野山電気鉄道は現在の高野線の高野下駅~極楽橋駅及び鋼索線の極楽橋駅~高野山駅を開業した会社で、南海鉄道の子会社ではあったものの、南海鉄道が戦時中に関西急行電鉄と合併して近畿日本鉄道となった際に何故か合併されずに残っており、この会社が「南海電気鉄道」と改名して戦後近鉄から旧南海鉄道の路線を引き受けたもの。なので現在でも南海電鉄では阪堺鉄道の明治17年ではなく高野山電気鉄道の大正14年を「開業の年」としている。

いかがだったでしょうか。

合併を繰り返してきた会社では「一番古い歴史を持つ路線」と「直系の先祖の会社の開業の年」が食い違うのはまあ当たり前としても、特に南海の南海本線が意外だったと思いますよ。

では、この辺で(^^)/~~~

image by: Shutterstock.com

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【著者】 M.G 【発行周期】 不定期(ほぼ月刊)

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