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マンション管理士が教える無料サイト「長期修繕ナビ」の賢い使い方

マンションを預かる管理組合の重要な仕事のひとつである、大規模修繕工事などに向けた将来の資金計画。そんな計画策定の助けとなるサイトが先日公開されました。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』ではマンション管理士の廣田信子さんが、住宅金融支援機構が公開したサイト「長期修繕ナビ」について、使い方を含め詳しく紹介しています。

将来の資金計画が簡単に算出できる「長期修繕ナビ」

こんにちは!廣田信子です。

住宅金融支援機構が将来必要となる修繕積立金等がすぐわかる「長期修繕ナビ」を先日、公開しました。

マンションライフサイクルシミュレーション~長期修繕ナビ~

正式には、「マンションライフサイクルシミュレーション」といいます。

このシステムは、管理組合が簡単に無料で、将来の資金計画ができるように…と
考えられたものです。具体的には、自分たちのマンションの規模、築年数、工事内容に応じた「平均的な大規模修繕工事費用」や、今後40年間の「修繕積立金の負担額」、「修繕積立金会計の収支」などを試算することができます。

また、修繕積立金会計の収支が赤字となる場合は、修繕積立金の増額や借入金により収支を改善させた後の資金計画が併せて表示されます。住宅金融支援機構が作成したものですから、資金計画に重きを置いたシミュレーションができるようになっているのです。

このシミュレーションの基となっているデータは、支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を2013~2018年に利用したマンションの大規模修繕工事費データ(約1,500件)です。修繕工事に必要な額は、形状、共用施設の充実度、建物の劣化状況などによって違ってきます。それによって必要な額も違ってきますので、このシミュレーションの試算結果については、参考資料として用いることを想定している…とされています。

「長期修繕ナビ」による数字が独り歩きしないように、かなり用心した紹介の仕方になっていますが、サンプル数が多く、物価変動の補正もされているので、かなり、信頼できる数字が出てくるのではないか…と推測します。何度でもシミュレーションできるので、いろいろな場合を想定して、比較材料をつくるのにも役立つだろうと思います。

ただ、どんなマンションにも当てはまるかというと、そうではなく、想定している範囲があります(この範囲外だと、解離度が高くなります)。

想定しているのは…

  1. 階数 30階以下
  2. 平均専有面積 100平米以下
  3. 戸数 100戸以下
  4. 住棟タイプ 単棟型

*タワーマンションについては乖離幅が大きくなることが想定されます
*団地型のマンションの場合は、各棟ごとに試算を行ってください
*試算結果の範囲には、コンサル料、調査・診断、設計、工事監理費用、長期修繕計画作成費用は含まれていません
*将来の物価変動はないものとして算出しています

シミュレーションにあたっては、以下の情報を入力します。

  1. 戸数、面積、外壁の仕様など
  2. 工事実施時期、予定している工事の項目など
  3. 修繕積立金徴収額、残高など

そのために準備する必要があるのは…

*マンションすまい・る債を利用している場合は

*既存の借入がある場合は

想定している「30階以下、平均専有面積100平米以下、戸数100戸以下の単棟」というのは、対象マンションのボリュームが多いゾーンですから、利用できるマンションはかなり多いと思います。

小規模の財政基盤が弱いマンションにとって、無料で何度でも使えるシステムは、特に役に立つだろうと思います。40年と言う長期を見通せるのも、これまでになかった試みだと思います。入力に必要な資料は、理事の方なら間違いなく手に入る資料ですから、セカンドオピニオンとしても活用してください。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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