在宅でのリモートワーク(テレワーク)が新しい働き方として普及し、職場やビジネスシーンにおける対面でのやりとりが減少しているが、そんな中、セクハラの“新様式”が出現した。リモートセクハラといっても、「部屋をもっと見せてよ」「今日すっぴんなの?」などという不快な言葉のハラスメントではない。また、デスクの下で下半身丸出しといった昭和な古い手口でもない。では何か?それは「ディープフェイク」技術を用いたセクハラだ。この新たなセクハラでは、女性が自分でも知らないうちにアダルトビデオに“出演”させられてしまうという。
【関連】大地震の予兆を専門家が観測。異臭騒ぎ関東や東南海より切迫した地域とは
セクハラ目的に「ディープフェイク」を悪用
新垣結衣や橋本環奈、石原さとみなどの偽ポルノ動画を無断で作成し販売したとして、男2人が逮捕されたことで、その名が一気に知れ渡った「ディープフェイク」。
ディープフェイクとは人工知能(AI)に動画データなどを大量に読み込ませ、本物そっくりの動画を作成する技術で、ハリウッドでは映画製作の最新技術として活用されている。
しかし、実際には96%がフェイクポルノ目的で流用され、日本でも有名女性芸能人がターゲットとなり、逮捕者が出る騒動になってしまった。
だが、話はここで終わらない。映像編集に詳しい専門家によると、ディープフェイクを悪用する輩が増え、学校の同級生や会社の同僚女性などが被害を受けているという。
特にテレワークの普及により、Google MeetやZoomを使ったオンライン会議の動画や静止画が、ディープフェイク作成の“素材”として利用されているというのだ。
「ディープフェイク」は誰でも作れる
AIだ、Deepfakeテクノロジーだなどと言われてしまうととても難しいものだと思われがちだが、実は全くそんなことはない。もちろん、プロフェッショナルレベルに仕上げるか簡易的なものかなどにもよるが、ディープフェイクが作れてしまうソフトやアプリは有料版から無料版までたくさん出回っている。
前述の専門家によると、「パソコンのスペックで必須となってくるのが、高性能なグラフィックボード(GPU)。大量のデータを高速で処理することができる。あとは大容量のメモリ。CPUはそこまでハイスペックでなくて大丈夫。一般的なパソコンより高価ではあるが、個人で十分買えるレベル」だとし、特別な知識がない一般のユーザーでも作成可能だという。
リモートワークで“素材”集め
これらのディープフェイクソフトやアプリを入手してしまえば、あとは素材となる動画や画像を集めるだけとなるが、ここにリモートワークの功罪がある。
通常のオフィス勤務であれば、同僚の写真を撮ったり、ましてや動画を撮影したりという機会は滅多にない。しかし、リモートワークを取り入れる企業が増えたことで、パソコンの画面上から“素材”をゲットすることがいとも簡単になってしまったのだ。
アカウントの種類などによって違いはあるものの、Google MeetやZoomも録画機能がついている。これらは勝手に録画することはできず、たいていは会議の主催者や出席者の同意が必要だったり、通知が届く仕組みになっている。
しかし、これを回避する方法はいくらでもあり、黙って録画されてしまう危険をはらんでいるのだ。誰も気づかない間に勝手にリモート会議を録画され、ディープフェイクの素材を集められてしまう…恐怖としか言いようがない。
他にも、素材集めをする手法はある。リモートワークになったことで、自宅からでも会社の共有フォルダやサーバーにアクセスできるよう設定されている人も多い。
【関連】池田エライザがリベンジポルノ被害か?動画流出に疑問と怒りの声
例えば、この共有フォルダの中に、忘年会の写真だったり会社のイベントの動画などが入っていたら要注意だ。オフィスにいる時はなかなかデータを個人のPCにダウンロードしづらいものだが、自宅で作業していれば、誰にも怪しまれることなくできてしまう。
このように“盗撮”手法はいくらでもあり、リモートワークをしている以上、防ぐことは難しいといえるかもしれない。
知らない間にAV出演させられている
自分で作成することが難しいとしても、最近は他の手段があるようだ。中国では制作を代行する業者なども出現しているといい、素材となる顔写真や動画を渡せばあとは勝手に合成してくれる。
リモート会議でパソコン越しに喋っていただけなのに、いつの間にかディープフェイクの素材集めに自ら協力してしまう。もはや何も信じられなくなってしまう。
ディープフェイクを利用したセクハラがもはや現実の脅威となっているだけではない。さらに恐ろしいのが、ディープフェイク動画をネットで拡散されたり、ファイル共有ソフトなどを介して意図せず流出させてしまう可能性があることだ。
こうなってしまうと、自分ではまったく身に覚えがないのに、いつの間にか、さも自身がAVに出演したかのような“前科”がついてしまう。交際すらしていないのに、リベンジポルノをされるような酷い仕打ちだ。
AV出演歴のある芸能人がディープフェイク説を言い訳にしているという見方もあるが、一方で一般人が知らぬ間にAV出演“したことに”なってしまう。恐ろしい時代である。
「ディープフェイク」セクハラの防衛策は?
では、どうすれば被害を防ぐことができるのか?残念ながら完璧に防衛するということは難しいかもしれない。
しかし、ディープフェイクの作成方法を逆手に取ればよい。
動画作成には豊富な元素材が必要となる。1枚や2枚しかなければそれはアイコラレベルにしかならない。さまざまな角度から撮影した動画や静止画がなければクオリティの高い動画が作成できないため、これを阻むことはできるだろう。
例えば、リモート会議中は必ずマスクをする、音声のみで参加する、イラストを利用するなどは、その防衛策として機能しそうだ。
リモートワークが広く浸透する中で生まれた、セクハラの新様式。悪用するために最新技術を活用することは許されるべきではない。
Twitterの反応
ディープフェイク?ヤバくない???こわい
— ぴぴ (@_Flower05) October 17, 2020
ディープフェイクポルノすげーな
橋本環奈に広瀬すずにめちゃくちゃやんこれイタチごっこで次から次に作られるパターンのやつ芸能人は大変やねー— ゆうやくんっっ (@ruru05383749) October 18, 2020
ディープフェイクポルノはなくなれ‼️
ディープフェイクポルノはなくなれ‼️— 八巻もいち@もも課四国支店 (@HachimakiMoichi) October 19, 2020
この世に存在しない人のディープフェイクってヤバいレベルに来てるな https://t.co/To2ywfw0mg
— ǝunʞoɯıɥs (@kawatare) October 17, 2020
ディープフェイク犯罪これからどんどん被害者が増えます気をつけましょう。https://t.co/4iGZxxao0x
— tadasni (@B9jOzV7SaWt077k) October 15, 2020
これだけディープフェイクが発達してるのなら、そろそろカウンターテクノロジーとして、ディープフェイクを見破るソフトウェアが大々的に開発されても良いような。偽札発見機みたいに、けっこう儲かるのでは? https://t.co/G1uRUwAH76
— K.Hara13_レモンサワー5ミリで泥酔可能 (@SheiYaogennimen) October 17, 2020
ニュースでは一般人女性が被害に遭った事例が紹介されていた。
技術進歩の代償、或いは弊害、と表現して良いものか否か…。
ディープフェイクを始めとした『最新技術の悪用』は、
今後は起こって欲しくないものである。#ディープフェイク— 道派民 (@taka_siba) October 15, 2020
ディープフェイクってないものを捏造出来たりするから近隣諸国が悪用するだろうね。
— せいぱる (@seiparu_200010) October 17, 2020
image by : shutterstock