新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって変わってしまった社会構造や習慣はいくつもありますが、その中には我々の「消費に対する意識」というものも含まれています。今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では著者の真井花さんが、これからの「新しい生活」によって、日本人が忘れてしまっていた「あるスキル」が日の目を見るかもしれない、というお話を紹介しています。
コロナ禍で「ダーニング」に脚光ふたたび
さて、本日は失われたスキルに脚光が当たるお話。
先日、グレーのカーディガンを取りだしてみたら、袖グチに虫食いの痕がありました。くすん。
こういうとき、服をちょっと繕うことを
・ダーニング
って言うんですが、ご存じでしょうか。たとえば
・セーターの虫食い
・シャツの袖グチのすり切れ
・薄くなったデニムの膝
・靴下の指先に空いた穴
など、服にできた
・捨てるには惜しいけど、そのままでは着られない
部分を補修する技術のことで、ヨーロッパ発祥のものを言うようです。まあ、日本語で言えば、いわゆる
・繕い物
ってヤツですよ。
これまでの時代は、大量生産大量消費の時代でした。まあ、資本主義はたくさんモノを購入して消費してくれないと回らないシステムなのでこれはもう、資本主義の宿痾というべきでしょう。
しかし、時代は変わりましたね。新型コロナという、ビックリするような外敵の襲来によって、外出もままならず生産も購入も消費も以前と同じようにはできない時代がきたのです。しかも、低消費生活をやってみたら、これはコレで回ったんですよね。なので、新型コロナが去ったあとにも、
・完全に元のライフスタイルに戻ることはない
だろうと予測しています。
大量生産大量消費の最も大きな影響を受けていたものは、おそらくアパレルでした。毎シーズン、ビミョーな差しかないトレンドを追いかけて昨年買ったばかりの服を着倒さないまま、新しい服を買っていましたよね。それが終わろうとしているんですよ。
・良いモノを適量買って
・長く着る
というスタイルに。
もしこのようなスタイルが定着するなら、お気に入りの服を修繕するというスキルは
・必須のもの
になるでしょう。それどころか、どの修繕方法を選択し、どのような色・形で
補修するのかによって
・個性を主張するアイテム
になる可能性さえあると思っています。同じ白のシャツでも、襟元にピンクの糸でハートマークを刺繍してあるものと、襟元に別布をあててあるものでは異なりますよね。それが本人の好みや思考を窺わせるアイテムになるということです。
新型コロナに端を発した低消費なライフスタイルの中では上質な服を修繕して使い続けるようになるのではないかというお話でしたね。
低消費だと、モノを買う時に厳選するはずですね。そのため、おそらくそこそこ高価で上質なものが選ばれることになると思うんです。だってめったに買わないわけですから、長持ちして納得できるクオリティのものが欲しいですよね。モノが高価である分、ちょっとくらいのキズは修繕して使い続けようと考えるはずです。服の虫食い穴くらいじゃ捨てたりしないわけです。ファストファッションとは真逆の方向性ですね。
つまり、こうしたライフスタイルでは、
・モノの修理
が家事のひとつになるのではないでしょうか。
しかも、服だけでなく、
・家具
・電気製品
・バッグ
・アクセサリー
など、現在片付けられなくて困っているもの全てが対象になりうるでしょう。
片付けられなくて困っているということは、数が多すぎるということであり数が多すぎるということは、購入時にも使用時にもそれほど思い入れを持っていない可能性が高いはずです。これは服だけではなく、あらゆるモノの購入にいえることです。
こうしたモノたちが、吟味して購入されるようになれば、そのモノたちとのその後のつきあい方も変わってくるはずです。
・即処分ではなくちょっと修繕
になるでしょう。
そして、この修繕をスキルとして身に付けようとする前にやることは
・モノを大切に使うこと
です。いや、当たり前なんだけど。モノの修繕が必要にならないよう大切に使うことです。
正直言って、私自身少し反省しているんです。ぞんざいに乱暴に扱ってきたとは思いませんが、修繕という方法をまったく考慮せずにモノに向かい合ってきてしまっていたなと思います。
もっとも身近な修繕・ダーニング。手始めにセーターの虫食い穴に挑戦してみてはどうでしょうか。
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