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中国の情報操作・浸透工作はここまで来た。各国マスコミ買収の実態とは

米国との「経済覇権争い」が激化している中国の勢いが止まりません。安い人件費で「世界の工場」となった隣国は、輸出で得た資金で世界中の大企業や土地などを買収し、浸透工作や情報操作をおこなって、じわじわと私たちの生活の中に入り込んできています。この中国の恐ろしさに警鐘を鳴らすのが、メルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さん。坂口さんは、中国が世界で力をつけた背景と、各国のマスコミを「買収」して情報操作を繰り返すやり口を批判しながら、何かしらの恩恵を受けているであろう日本のマスコミの偏向報道ぶりにも苦言を呈しています。

「選択と集中」から「分散と自立」へ

競争の果てにある独占

現代人は「競争の世界」に住んでいる。米国も中国も日本もEU諸国もASEAN諸国もアフリカ諸国も例外なく競争している。

かつての、ソ連、中国等の人民は平等に貧しかったが、一部の支配階級は富を独占していた。社会主義、共産主義のままでは、経済成長が見込めず、中国は改革開放政策を打ち出した。ビジネス面では資本主義国家と変わらない競争社会を造り出し、中国経済は成長した。

競争が進むと、競争の範囲が拡大する。地区大会で優勝した人は県大会に進み、全国大会へと勝ち抜いていく。更に、アジア大会、世界大会と進み、世界一を目指す。しかし、一度も負けない人は一人だけで、大多数は敗者だ。

スポーツならこれで良いが、これがお金の勝負になると、一人の超金持ちと大多数の貧困者が生れることになる。

こうなったら社会は硬直し、発展が望めない。競争が終わり、一人の独裁者が残るだけだ。

独裁的な世界は、大多数の人々が不幸になる。そこで、常に競争が行われる環境を整備し、人々が努力し、技術を向上させ、多くの人が幸せになることを目指するのである。

健全な競争を継続するために、独占禁止や不正競争防止などの政策が必要になる。しかし、一度富を手にした者は、それを手放したくはない。更に巨大な富を生み出し、それを維持したいと思うだろう。

それを実現したのが共産主義である。共産主義とは全ての人が平等になるシステムではない。共産党は、一部の人の独占的な富を守り、大多数の人を管理、支配し、革命や反乱による支配者の交代をさせないことが目的である。

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被支配者に「選択と集中」をさせる

富を集中し、獲得するためには、グローバリズムが必要になる。世界で最も生産コストの低い国で生産し、最も高く売れる国で販売する。それにより、最大の利益を獲得することができる。グローバルな競争の果てには、世界的な大富豪が生まれるのだ。

グローバルサプライチェーンをコントロールするのは、一部のグローバル企業であり、その他の多くの企業は下請になる。素材、部品、加工、組み立て等の部分的な工程を担うだけで、完成品は生産できない。価格決定権もなく、自らのビジネスをコントロールすることもできない。下請同士の競争により、常にコストダウンの圧力が掛かる。貧しい企業は常に貧しく、貧しい国は常に貧しい。巨大なビジネス全体をコントロールする者だけが富を得るのだ。

支配者は全体をコントロールし、被支配者は部分を担当する。決して、全体を見せることはない。

個人には人生全体を考えさせないようにする。仕事だけを考え、仕事に集中させる。仕事に集中することが幸せへの道だと信じ込ませるのだ。

国政や外交に興味を持たせず、自分の利益だけを追求するように仕向ける。起業や独立ではなく、組織の一部として働くことを推奨する。

自分の頭で考えるのではなく、マスコミの情報操作を素直に信じることが、独裁者の理想である。同時に、国民には自国が良い国であり、自分は幸せだと思わせる。そのために、マスコミを支配し、情報をコントロールしなければならない。

「選択」と「集中」のリスク

国民が幸せだと思っている国は良い国だ。それは間違いない。

国民が幸せだと思う条件は、一定レベル以上の文化的な生活が保障されることだろう。社会保障でもいいし、所得の分配でもいい。それさえ保障してくれれば、一部の支配者が富を独占したとしても誰も文句は言わない。

問題は、新技術の発明や進化によって、グロスーバルサプライチェーン全体が変更を余

儀なくされる時である。選択と集中によるグローバルサプライチェーンは、最適な経済合理性を追求したがゆえに、他の分野に転換することが困難だ。

ビジネス全体が機能しなくなると、支配者階級は莫大な富を失う。また、被支配者である一般国民も、企業倒産や大量失業が発生し、生活の維持が困難になる。こうなると、幸せだと思うことはできず、不満が溜まることになる。

もし、グローバリゼーションではなく、サプライチェーンが地域ごとに自立していれば、富も分散し、リスクも分散する。最も経済合理性の高いビジネスに集中するのではなく、生活に必要なビジネスに分散し、利益配分もそれに見合うように設定する。限りないコストダウンを追求するのではなく、生産者の生活を考慮した利益配分を行うのである。

アンチグローバルとは、単なる保守主義ではなく、リスク回避策でもあるのだ。

中国生産への集中と浸透工作

現在は、グローバリズムが行き詰まっている。その背景には産業の転換やデジタル技術の進化がある。

そもそもインターネットの思想は分散処理によるリスク回避である。独占的な企業が市場を支配するツールとしては向いていない。独占したければ、情報システムも中央集権的に設計しなければならないだろう。

インターネットは、集中ではなく、分散の方向に機能する。大企業しかできないビジネスを中小企業ができるようになり、最終的には個人のビジネスを可能にする。

もちろん、インターネットをグローバリズムのツールとして使うことも可能だ。資金さえあれば、いつでもどこでも世界中の企業から部品や商品が調達可能になり、世界中に販売できる。

このグローバリズムを最も有効に活用したのが中国だった。

世界の先進国に、低い生産コストと豊富な労働力を訴求し、生産機能を中国に集中することが最大効率を得るグローバルビジネスには適していると説いた。そして、中国は輸出が盛んになり、外貨を獲得し、富を蓄積した。安価な中国製品を輸入した国は、商品市場の価格水準が下がり、市場が収縮し、デフレスパイラルに陥った。多くの企業が倒産し、大量の失業者が発生した。業績の悪化した企業価値が下がり、買収が容易になった。中国は輸出で稼いだ外貨で、先進国の企業を次々と買収した。

更に豊富な資金を使って、海外への浸透工作や情報操作を行い、世界への影響力を高めた。

「分散」と「自立」と「サスティナブル」

そこにコロナ禍が起きた。世界市場が停止し、輸出も止まった。中国の最大の強みは,最大の弱みに変わった。そして、マスク外交や香港政策の失敗で、世界は中国に警戒の目を向けるようになった。その動きを拡大したのも、インターネットである。

既存のマスコミによる情報操作もインターネットが風穴を開けた。人々はマスコミのフェイクニュースに不信感を抱き、新聞やテレビのニュースを疑うようになった。そして、ユーチューブやツイッターの情報を重視するようになっている。

そして、2020年の米国大統領選挙を通じて、海外からの不当な選挙工作や、浸透工作、スパイ行為等が次第に明らかになっている。

この動きは世界中に拡大するだろう。米国だけが特別なのではなく、日本にも同様の工作活動や嘘が存在するのだ。

分散処理のインターネットは、巨大な組織を解体するだろう。世界的な経済合理性の追求は個人の幸せを阻害するという事実も明らかになる。

人々が幸せを追求するには、分散と自立が重要である。リスクを分散すると同時に、利益も分散する。利益の分散は無駄なのではなく、市場の安定と継続性、つまりサスティナブルな経済に必要なのである。

編集後記「締めの都々逸」

「幸せ探して ストレス溜めて 気がつきゃ老後が忍び寄る」

最近のマスコミはひどいですね。客観報道を忘れて、明らかに世論誘導しています。世論誘導や情報工作をするなら、自らの立場を明らかにして欲しいものです。そして、署名記事などニュースの責任を明確にしてほしい。

事実を報道せずに、情緒的な誘導や不安を煽ることだけを行い、反対意見を封殺する姿勢は、最早マスコミとは言えません。プロパガンダ機関です。

我々は自分で情報を選択しなければなりません。新聞やテレビに依存せず、信頼できる個人の発信を重視すべきでしょう。

インターネットは巨大な組織を解体し、個人の活動を後押しします。報道機関も同様であり、既存の権威は疑って掛かる必要があるでしょう。(坂口昌章)

image by: Alessia Pierdomenico / Shutterstock.com

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