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東京五輪延期で入居遅れ「晴海フラッグ」マンション購入者は泣き寝入り?当事者の今

東京五輪の選手村として使われた後に分譲される「晴海フラッグ」の引き渡し延長を巡り、購入契約者が補償を要求するも売り主側が拒否するなど、事態は泥沼化の様相を呈し始めています。五輪の開催自体が危ぶまれているとも言われる中、当案件は今後どのような展開を見せるのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』ではマンション管理士の廣田信子さんが、通常の売り主側の免責事項に入っているはずの項目等を鑑みつつ「補償」が認められるか否かを検証。その上で購入契約者へのアドバイスを記しています。

「晴海フラッグ」で引き渡し延期による民事調停申し立て

こんにちは!廣田信子です。

1月30日、東京オリンピックの選手村として使った後に分譲される「晴海フラッグ(販売戸数4,145戸)」で、約20人の購入契約者が「2024年以降に引き渡しが延びたことによる補償」を求める民事調停を申し立てたと報じられました。

東京オリンピックの開催延期に伴い、物件の引き渡しも1年ほど遅れるため、それによって増える家賃分の補償などについて、売り主側が説明と補償を拒んでいるため、民事調停を申し立てたといいます。

「晴海フラッグ」は、2019年に行われた第1期1次と2次の販売で、900戸以上の販売契約が締結されました。オリンピックの開催延期が決まって、「手付金返還でのキャンセルは可能」となったのが昨年の春です。それによって、どのくらいの人がキャンセルしたのかは発表されていませんが…。

マンションの購入は、子どもの小・中学校への入学や、転勤の予定、その他の人生設計を立てて決めるはずです。しかし、当初の引き渡し予定である2023年の4月でさえ、契約から4年近く先だったのに、それがさらに1年延びたのです。

売り出し当初、「晴海フラッグ」は、広さの割に、かなり価格が安いと注目され、購入した方がいいか知り合いから意見を求められたことがありました。その時に…4年先のことはわからない。社会状況や市場の動向、仕事や子供の状況も変わる。4年間、行動が塩づけにされるってちょっと覚悟がいるね…そこだけはよく考えて…と言った記憶があります。

その知り合いは、仕事の関係で都心居住は外せないけど、私たちの年収で、もう都心部であの広さのマンションは手に入らない…と、購入を決め、で、引き渡し1年延期が決まってキャンセルしたようです。

その理由は…子どもの中学受験の準備が中途半端になる。下の子供が生まれて、家の中がわさわさしていて、早く勉強できる環境をつくって上げたいけど今のマンションでは狭すぎる。自分は育休明けから、コロナ禍でほぼリモートワークになったので、都心居住にこだわる必要がなくなった。しかも、「晴海フラッグ」って、都心といっても、最寄駅から20分もあるのよ(それは、前から分かっていたことですが…)!2023年も待てないぐらいだから、引き渡し延期で無料でキャンセルできてよかった…と。で、今、新たな物件を購入予定です。

引き渡し遅延は、例えば、前出の家族が、今のマンションの広さではもう無理だから…と1年間、広いマンションを借りたとしたらその分家賃が発生する…。

また、1年引き渡しが伸び、今のマンションを売る時期が1年遅くなったことで、売値が下がってしまった…というようなこともあり得ると思いますが、通常、新築マンション購入契約書には、売り主側の免責事項に「天災や戦争など売り主側の責に帰されぬ事象が発生」という項目が入っているはずです。

今回の新型コロナは「天災」に近いものですし、オリンピック延期も、売主にはどうしようもないこと。損害賠償請求は認められるかな?…。それよりも、手付金を全額返してもらい、他の方向に切り替えた方がいいように思うのですか…。

4年、5年の間にはいろいろなことが変化します。やはり、新たなマンションの購入は、長くても購入後1年半以内で入居できるものがいいと改めて思いました。

image by: yoshi0511 / Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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