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Back to school after quarantine concept. Backpack with school supplies and sanitizer and medical protective mask. the beginning of the school season.

コロナ完治後も人間の「差別意識」と戦わなければいけない現実

もしコロナウイルスに感染してしまったら─。その対応はさまざまな場所で語られていますが、「完治した後」にも気をつけなければならないことがあります。現役小学校教師の松尾英明さんは自身の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の中で、ウイルスだけでなく人間の「差別意識」とも戦わねばならない現状を憂い、予防的アクションを起こしていくよう呼びかけています。

感染症の「その後」を予防的に指導する

今日は「スルー」できない感染症の「その後」の対策について。特活部の仲間が考えたものを、道徳で実践したものである。

「もしも自分がかかってしまったら」ということを考えていった。想定としては、自分が感染したが完治した、あるいは疑いがあって検査したら陰性だった、という場合である。つまり、数週間教室に来られない状況の「その後」である。

そこで「自分がその立場だったら、どんなことが怖いか」をノートに書き、全員が順に発表していった。

・いじめられる(仲間外れ・無視・避ける)
 →自信を失って不登校になってしまう
・距離を置かれる、遊べなくなる
・学校や習い事などの人たちの迷惑になる(特に受験生の多い塾)
・うつしていないか心配
 →他の人がその後にかかった時にも自分の責任だと思ってしまう
・デマを広められる

大体、これらのことが挙げられた。そしてこれらは、大人社会でこそ起きている現象である。小さな社会である学級でこそ、きちんと対策をとっておくことが大切である。

次のように問うた。

「いじめるのは誰ですか」
「仲間外れにするのは誰ですか」
「デマを広げるのは誰ですか」

それは「隣の人」だと気付く。つまりは、クラスの仲間である。それは、隣の人からすれば、自分自身のことである。

何をされたくないかを、共有した。つまり、理論上、自分がそれを人にしなければ、それは起きない。

行き着いた結論は「自分のされて嫌なことは、人にしない」という、日常から言っている、当たり前のことである。

まとめに、市のページで、差別に立ち向かう宣言をしている2本の動画を流した。

参考:千葉市H.P.「新型コロナウイルス感染症に関する人権への配慮について(コロナ差別がゼロのまち宣言の発出) 

片方は市長、片方はスポーツ選手たちからのメッセージである。子どもたちは、真剣にきいていた。我々にとって、ウィルスそのものだけではなく、人間の差別意識こそが立ち向かうべき相手である。

この実践のポイントは、誰もその状況になっていない内に行うことである。つまりは、予防的指導である。治療は予防の100倍の労力を要する。予防に力を入れておくのが上策である。その点は、感染症対策と同じである。

この実践には、特別な準備は何もいらない。思いの共有こそが肝である。事が起こるその前に、予防的アクションを起こしておきたい。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

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