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大地震に遭遇しても「マンションのトイレ」にだけは逃げ込むな。その理由

いつ発生してもおかしくないとされる、震災級の地震。自分の身を守るためには、普段からの備えが重要なのは言わずもがなの事実ですが、例えば自宅で大地震に遭遇した際のシミュレーションは万全でしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』ではマンション管理士の廣田信子さんが、マンション管理センター作成のチェックリストを共有する形で、大地震発生時の行動についての確認を促しています。

大地震発生、あなたはどこに逃げ込みますか?

こんにちは!廣田信子です。

首都圏は緊急事態宣言が2週間延長になりました。3月1週~3週の週末、人が集まる行事の予定を組んでいたところは判断に追われたと思います。

私のセミナーや講演の予定は、予定通り実施、中止、オンライン併用に形を変える…と3通りに分かれました。先日のセミナーは、「多様化する災害にどう備えるか」というテーマで、主催自治体が広い会場を確保し、人を配置して、万全の体制で実施されました。

今年の3月11日は、東日本大震災から10年の節目、テレビでも様々な特番が組まれています。そのタイミングのセミナーだからこそ、コロナ禍の中で大地震が発生したらどうするか…ということをお話ししたいと思っていたので、実施できてかったと思います。

今日は、原点に戻って、大地震発生時の行動を確認したいと思います。

(公財)マンション管理センターで作成した「管理組合のための震災対策チェックリスト」の中の地震発生時の行動原則(例)から共有したいと思います。

一番重要なのは、身体を守るということです。ですから…

そのために、ガスコンロ等から離れていて、ガラスの破片が散らばる心配がなく、近くに高い家具がない安全なスペースを日頃から考えておきます。

以前は、地震が来たら、すぐガスコンロの火を止めにいく、ダイニングテーブル下にもぐる、というような広報がされていましたが、これは、かえって危険です(さすがに、最近はあまり見なくなりましたが…)。ガスコンロに近づいて、かかっている鍋の熱い油等を浴びたら、大やけどをしてしまいます(ガスコンロは、一定以上の揺れが来たら自動的にガスの供給が止まるので、火事になる心配はありません)。

また、ダイニングルームには、食器や細々したものがあってそれが飛んだり割れたりすると破片が飛び散った状態になり危ないので、ものが少ないリビングルームのソファーの後のようなスペースの方が安全だと思いますいざと言う時に逃げ込む安全なスペースを意識してつくっておきましょう。私は、家具を置かない部屋を一つくっています。

また、トイレの中に逃げるというのも、マンションでは不適切です(戸建てだと、トイレは柱や梁や壁に囲まれていて、2階や天井が崩れても持ちこたえられる安全な空間だという理屈も立つかもしれませんが…)。もし、大きな揺れで扉の枠や錠の部分が変形したら、ドアが開かなくなってしまいますから、かえって心配です。もし、家に一人だったら、トイレに閉じ込められたことを、誰にも知らせることができまません。

私の知人は、閉所恐怖症なので、トイレのドアは閉められないし、締めなくてはならない場合は、かならずスマホをトイレに持ち込むと言っていました。普通の方はそこまでしませんから、地震発生時にわざわざトイレの中に逃げ込むのは、意味がないと思います。

あえて「トイレ」のことを書いたのは、まだ、マンション居住者のワークショップで、大きな揺れが来たら、室内のどこに逃げれば安全か…というテーマのときに、「テーブルの下」というのと同様「トイレの中」と答えられる方がいるからです。室内の安全な避難スペースを具体的に考えて、家族で共有されていますか?

大震災直後は、怪我をしても救急車もこられないことを想定しなければなりません。ですから、一番重要なのは、とにかく怪我をしないことです。自分の身を守る行動を再確認するきっかけになればうれしいです。

「管理組合のための震災対策チェックリスト」は、マンション管理センターホームページのトップページにあるボタンからダウンロードできます。すごくシンプルで見やすい構成になっていますので、活用してください。

マンション管理組合のための震災対策チェックリスト

image by: Osaze Cuomo / Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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