またしても中国の卑劣な技術窃盗の手口が明らかになったようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国企業が違法な手段で台湾の半導体人材を「密猟」していたという事実を紹介。さらに世界各国で露呈した中国によるスパイ工作の数々を挙げるとともに、日本に対しても対策強化を呼びかけています。
※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年3月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【中国・台湾】中国人・中国企業の「なりすまし」に警戒せよ
● 聯發科、台積電都中鏢!中資藏身台灣挖半導體人才 檢調搜索(メディアテック、TSMCも!台湾企業と偽り半導体人材を密猟する中国)
台湾の「自由時報」は、台湾国内で違法に企業を設立し、半導体の人材を密かに集める中国企業の実態を報じました。
疑惑の対象となっているのが、中国の仮想通貨マイニング大手でAI産業も手掛け、半導体企業でもあるビットメインです。
台湾では中国の企業や半導体メーカーが台湾に投資したり、支社を作ったりすることは「両岸人民関係条例」や「大陸地区人民来台投資許可弁法規定」などによって規制されており、所管官庁の許可を得なければ台湾での事業活動ができないことになっています。
しかしビットメインはAIチップ開発のためとして許可なく台湾での拠点づくりを行い、共同投資を行う台湾企業を隠れ蓑に人材を集め、半導体設計会社の元担当者を中国で新設された企業の会長や副会長として招き入れ、さらにはその人脈を利用して台湾半導体企業の従業員をハンティングしている疑いが浮上してきているのです。
過去3年間で200人以上の人材を「密猟」してきたとされ、半導体大手のTSMCやメディアテックの社員も含まれているといいます。
台湾の新北地検は、これに関連して北市市内の智能科技有限公司、芯道互聯有限公司を捜査し、約19人から事情聴取を行いました。
台湾にとっては、半導体は主力産業です。その頭脳流出は国の一大事です。ですから、中国の半導体企業が台湾に投資したり、事業を行うことなどに対しては厳しい規制をかけています。しかし、ビットメインは違法に拠点をつくって台湾の半導体人材を「密猟」してきたというわけです。
米中貿易戦争により、中国のハイテク産業が国際市場から締め出される動きが加速するに従って、急速に伸びてきたのが台湾の半導体産業です。
世界最大の半導体受託生産企業TSMCは、コロナ禍で世界各国が被害を受けるなか、2020年には5Gとリモートワーク拡大が追い風となり、前年比25.2%増、最終利益も約50%伸びて過去最高を記録しました。
● 半導体大手 台湾TSMC 売り上げ 最終利益とも過去最高に
一方、TSMCは2020年9月から、アメリカ政府の対中制裁に応じるかたちで、中国のファーウェイに対する半導体供給を停止しました。
アメリカ政府は2020年5月、ファーウェイとその関連企業114社を輸出規制の対象とする「エンティティリスト」に掲載、同年9月以降、これらの企業と取引する企業は外国企業であっても、アメリカ企業との取引ができなくなるとしたのです。
8月にはさらにファーウェイ子会社を含む38社をエンティティリストに加えています。
こうしてTSMCはファーウェイへの半導体を出荷停止するにいたりました。また、台湾メディアテックも同様に、ファーウェイ向けの出荷を停止しました。
こうして台湾メーカーによる半導体を使用できなくなった中国は、違法に台湾で拠点を作り、台湾人技術者を密かにヘッドハンティングしているわけです。
中国はさまざまなかたちで浸透工作を行い、情報や知的財産を盗み出そうとしています。3月5日にはアメリカ議会上院は、アメリカ国内の大学に設置された孔子学院について、管理強化のための法案を全会一致で可決しました。大学側の管理権限と義務を強化、管理が不十分な場合には連邦政府の補助金が削減されるというものです。
これも孔子学院がスパイや中国のプロパガンダの温床になっているという懸念がたえないからです。
また、最近はネット通販などで聞いたことのないメーカーの製品も増えてきました。住所が欧米だったと思ったら、中国企業の関連会社だったということもあります。
世界各国で、中国人留学生や帰化中国人がスパイ容疑で逮捕される事件が起きていることはご承知のとおりでしょう。
2020年7月にはカリフォルニア州とインディアナ州の大学で、中国人留学生が人民解放軍との関係を隠してビザを取得していたことが発覚、スパイとして逮捕されましたし、2019年にはカンザス大学で中国系の教授が中国に情報を流したり、ハーバード大学に留学していた中国人のがん研究者ががん細胞のサンプルを隠し持って中国に帰国するところを逮捕されたこともありました。
● 社員の肩書でじわりと盗む 組織に入り込んでいく、中国・経済スパイの実態
ドイツでは情報当局が「毎月、中国のスパイを摘発している」と年次報告で警戒を強めています。
● ドイツ情報当局、「毎月、中国のスパイを摘発」年次報告で警鐘
イギリスでは今年2月にスパイとみなした中国人記者3人を追放しています。
その他、オーストラリアでは2019年、政治的干渉を行うために、中国当局が帰化した中国人をオーストラリア議会に送り込もうと工作活動を行っていたことが発覚しました。この事件は私のメルマガでも何回か取り上げています。
台湾は中国が施行した国家安全維持法によって実質的に主権を失った香港からの移住を歓迎していますが、中国のスパイが香港人を偽って移住してくることについては非常に警戒しています。
そのため、香港からの移住者であっても、もともと中国本土出身者かどうか、スパイやその他の違法行為に関与していないかどうかの審査を2020年8月から厳格化しています。
ちなみに、台湾では中国から送り込まれたスパイが約5,000人いるとも言われています。
中国人スパイや中国企業の「なりすまし」は世界的に非常に危険かつ厄介な問題です。日本も対策強化を急ぐべきです。
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