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世界が注視。中国の脅迫に屈し台湾を見捨てた日本を待つ生き地獄

4月16日、ワシントンでの実現に向け調整が進んでいる日米首脳会談ですが、中国から強烈な「横槍」が入ったようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、台湾問題で日本がアメリカと共同歩調を取るならば、日中関係は確実に悪化するだろうと主張する中国共産党系機関紙の記事を紹介。その上で菅政権に対し、日本がかつて犯した歴史的大失策を繰り返さぬよう警告しています。

菅総理は台湾問題にどう対応すべきか?(迫る真実の時)

菅総理、もうすぐ訪米されるのですね。この訪米、よくも悪くも、日本にとって「歴史的」になるのは間違いありません。

なぜ?

中国は、菅さんの訪米に先立ち、「日本は、台湾問題でアメリカ側につくなよ!」と脅迫しています。ニューズウィーク4月1日。

台湾をめぐる中国とアメリカの対立が激しさを増すなか、中国共産党系機関紙人民日報系のタブロイド紙「環球時報」が日本に向けてメッセージを発信した。台湾問題でアメリカの側につくならば、日本は「重大な」結果に直面することになるだろうと警告したのだ。

どういうことでしょうか?

Nikkei Asiaの報道によれば、日本の菅義偉総理大臣とアメリカのジョー・バイデン大統領は、4月上旬にワシントンで開く日米首脳会談の際に出す共同文書で、台湾海峡の安定が重要だとの認識を明記する方針だ。環球時報は3月30日付の論説の中で、そのような共同声明は日中関係を「確実に」悪化させると主張した。
(同上)

日米首脳会談の際、「台湾海峡の安定が重要だ」と共同文書に明記する。それをやったら「日中関係が確実に悪化する」そうです。

論説の筆者は、台湾について立場を表明することにした日本政府の決定は「中国の国益を損ねる」と主張。「菅・バイデンが首脳会談後に出す共同声明の中に、台湾に関する記述が含まれれば、その打撃は大きいだろう」と警告した。

 

同論説はさらに「中国は対抗策を取るつもりだ」と述べ、米政府の立場を支持するならば「日本としては、得るものよりも失うものの方がずっと大きいだろう」と続けた。

(同上)

菅総理は、どうするのでしょうか?もし総理が、アメリカ政府の立場をはっきり支持すれば、菅さんは、いい意味で歴史に残るでしょう。もし総理が、中国の警告にビビッてアメリカ政府の立場を支持しなければ、悪い意味で歴史に残るでしょう。だから「いい意味でも、悪い意味でも、この訪米は『歴史的』だ」というのです。

日本は、かつて過ちを犯した

この問題は、とても重要です。

かつて日本は、覇権国家イギリスと「日英同盟」を結んでいました。イギリスは、日露戦争で、大いに日本を助けてくれた。1914年、第一次大戦が勃発。イギリスは、ドイツ帝国からの猛攻で、史上最大のピンチに陥ります。日本は、海軍を派遣し、大活躍しました。しかし、イギリスは日本に陸軍の派遣も要請したのです。日本政府は、この要請を何度も何度も断り、結局一兵も派遣しなかった。それで、どうなったのでしょうか?イギリスは、「こんな同盟国はいらない」と激怒し、日英同盟は解消されることになったのです。日本の強い味方だったイギリス。以後、イギリスは、アメリカと共に、日本を壊滅させる方向に舵を切りました。

私は「自虐史観」の持ち主ではありませんが、「日本はいつでも正義に従って行動した」と考えるほどナイーブではありません。日本が負けたのには、負けた理由があった。その一つが、「第一次大戦時、同盟国イギリスを助けなかったこと」なのです。

今回は、どうでしょうか?世界一の親日国台湾が、中国に攻撃されたら?インドやオーストラリアが攻撃されたら?「私たちは平和主義者だから、何もできません」といって何もしないのでしょうか?そうであれば、尖閣有事の際、アメリカ、インド、オーストラリアからの支援は期待できません。

私たちは、「平和主義だから」とか「憲法の制約が」などといって、世界一の親日国台湾を見捨てた。結果台湾が反日になるだけでなく、アメリカ、インド、オーストラリアは、「日本は、自分だけ安全な場所にいて、俺たちの兵士が死んでいくのを傍観するのか?自分さえよければいいのか?日本人は、なんと狡猾な民族なのだろう…」と正当にあきれることでしょう。

もちろん、中国が尖閣に侵攻しても、「苦しい時に日本は俺たちを見捨てた。なぜ今俺たちは日本のために命をかけなければいけないのか?」となるでしょう。私たちは、「平和ボケ」から目覚めて、「どうするべきなのか」と真剣に考える時期に来ています。

image by: 首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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