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ペッパーくんのようなロボット型も。人間が「AI裁判官」に裁かれる日

法曹界でも話題になっているという、竹野内豊主演のドラマ『イチケイのカラス』。その第4話の劇中、「AI裁判官」が重要なワードのひとつとして取り上げられましたが、将来的には裁判官もAIに取って代わられる日が来るのでしょうか。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 成長編』では、その可能性や課題等を会話形式で考察しています。

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AI裁判官

新米 「この春から新しいドラマが始まっているじゃないですか。『イチケイのカラス』って見てます?」

E子 「私は見てるわよ。あんたも見てるのね」

新米 「はい、ボスも見ろっていうし、法曹界のドラマは、気になるので見てます」

大塚T 「『イチケイのカラス』?何それ?」

E子 「竹野内豊さんが主人公の裁判官のドラマよ。たしか、東京地方裁判所第1刑事部が舞台で、通称:イチケイっていうらしいわ。そうよね、新米くん」

新米 「え?わかってなかったです。すみません…」

大塚T 「カラスっていうのは…?」

新米 「黒い法服の袖が広がっていて、手を広げるとカラスのようだからですよね」

E子 「黒は公平さを象徴する色なんだって。でも、カラスの意味はそれ以外にもあるらしくて、それは、ドラマの中で明かされるようよ」

大塚T 「へぇ~、そうなんですか。私も見てみようかな…」

新米 「ところで、この間の回でAI裁判になったらどうのこうの…って話が出ていたんですが、それってあり得るんですか?」

大塚T 「いろんな仕事がAIにとって代わるというのは、言われているけど、裁判官もってこと?ちゃんと判断してくれるのぉ~、心配!」

新米 「絶対に冤罪を生むことの無いよう、そういうのってAIでできるのかな」

E子 「日本の裁判制度は、訴状の提出、答弁書の提出、証拠書類の提出など、書面での情報交換が原則で、弁論の調書も書面として記録される。裁判官は判決文を作成するのに、多くの書類の中から関連の書面を探すことになる。ある意味効率が悪いわよね。裁判官の裁判の進行でも、裁判結果の公開の点でも、裁判所の業務でも、非常に効率が悪く、かねてから裁判業務でのIT化は望まれていたわ」

大塚T 「ITは、どの分野でも進んでいて、司法においても例外ではないってことですね」

E子 「そう。日本政府は2017年に決定した未来投資戦略において、民事裁判のIT化を検討することとなったそうよ。

まずこの3点が検討されるようね」

大塚T 「司法情報の電子化ができてくると、大量のデータベースからの情報検索や文書からの争点整理など、いろいろできるようになりますね」

E子 「米国のROSS Intelligenceが開発した法律相談システム ROSSは、相談したい事件を英語で入力すると、関連の文献や資料を検索してくれて、その回答を確信度付きで行うシステムなんだって」

新米 「要するに、どういうものなんですか?」

E子 「たとえば、『従業員が無断で長期に休んでいるが、本人の同意なしに解雇できるか』という質問に対して、どのような条件がそろえば解雇できるか、というような回答を行うそうよ」

大塚T 「今までも個別相談ではあったでしょうけれど、これらがデータとして扱われるんですね」

E子 「ROSSはIBMのWATSONをベースに開発されていて、米国の法律事務所がこのシステムを採用したことから『初めてコンピュータ弁護士が就職した』というニュースになったそうよ。AIは、法理データと比較すると、約8割正しいそうよ」

大塚T 「へぇ~、8割の正確さですか。なかなかやりますな~」

新米 「ふーん、僕はまたペッパーくんみたいなロボット型裁判官が法廷に立つのかと思ってました」

E子 「そういうロボット型の裁判官も考えられていないわけじゃないようよ」

新米 「やっぱりそうですか。焼肉屋さんでお肉を持って来てくれる配膳ロボットもある世の中ですからねー」

大塚T 「何の話よ」

E子 「『AI裁判官が持つ思いやりが与える信頼度への影響』なんてテーマで同志社大学も研究しているわ」、

新米 「AI裁判官の『思いやり』ですか」

E子 「思いやり、信頼、能力、誠実さという項目でも調査がされているのよ」

大塚T 「『AI裁判官は果たして可能か?』というテーマの論文も出てますね」

新米 「人工知能の研究を行っている人は『裁判官もAIに取って代わる』という人が多く見られるが、法律家の間では懐疑的な意見が多い。って、あります」

E子 「他に身寄りのない病気の老夫婦が自分の死後を懸念して配偶者を殺してしまうような事件については、情状酌量で執行猶予付き判決にし、実刑を伴わないようにすることが多々あるけど、そういったケースをAIはどう判断するのか?ってことが難点と言われているわ」

大塚T 「わぁ、こんなケースも書いてます。実父から性的虐待などありとあらゆる虐待を受けていた娘が父を殺してしまった例です。実父との間に5人の子供を出産させられ、中絶も何回もさせられたという尋常では考えられない状況。そんな女性に対しても求婚してくれる男性が現れたが、父親は激怒し暴力をふるう。たまりかねた娘は…。この父親殺しの一件も、実刑とするにはあまりにも酷であると誰もが思うはずだが、果たしてAI裁判官は…ってことですよね」

新米 「どうなんでしょうねー」

image by: Shutterstock.com

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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