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まさに搾取。「クラウドソーシングでライターデビュー」に大きな落とし穴

クラウドソーシングといえば、自分のペースでスキルを生かし自由に働けるという良好なイメージが先行しがちですが、その実態は極めて厳しいもののようです。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、一般の方がこれから努力してスキルを身につけたとしても、クラウドソーシングで稼ぐことはできないと断言しその理由を解説。さらに「現状のシステムのままでは、派遣社員よりも劣悪な労働環境になってしまう」との批判を記しています。

スキルがあっても、稼げない時代が来る

自身のスキルが活かせる分野の仕事を、自宅にいながら受けることができる「クラウドソーシング」。リアルな仕事に就くことが難しいいま、新しいカタチの働き方として注目を集めています。

就職できずに困っている人たちが、「クラウドソーシング」を知れば、“ぜひ、やりたい”と飛びつくことでしょう。自宅で仕事ができれば、時間も自由に使えて、理想的な仕事にも思えます。

しかし、そんな都合の良い仕事は、一定のスキルを持った人たちでないと受けることができません。ホームページ制作、アプリ開発、広告制作、イラスト制作などの専門分野の働き手が求められているのです。つまり、普通に就職するより難しい世界なのです。

就職探しで疲れ切っている人たちは、難しそうだと思いながらも、自宅でできることに夢を見てしまいます。

「クラウドソーシングで働く」「SOHOで稼ぐ」。

そんな言葉のカッコ良さに憧れ、“スキルを身につけ、フリーランスで働こう!”と、努力し始めるのです。

やる気になって勉強するのは、非常に有意義なことですが、「クラウドソーシング」には大きな落とし穴があるように思えます。料金の安さです。いくつかのマッチングサイトを見てみましたが、ネットを介さない仕事の依頼に比べると、半額、3分の1、5分の1程度が多いようです。

中でも「記事作成」という仕事では、記事1本が150円と書かれているものもあリました。この金額は、どのように算出したのかが不思議なくらい、非常に安い。私もネットで書く仕事をしていて、その安さに驚くことが多いのですが、この金額はあり得ません。

ネットで記事を書く場合の原稿料は、一般の仕事依頼の場合とはひと桁違うのです。この150円というのは、さらにそのひと桁下の金額なのです。こんなことが平然とまかり通っているなんて、非常に腹が立ちます。仕事のない人の足元を見ています。

しかし、そんな仕事でもありつける人はマシな方で、スキルを身につけても、仕事を得ることができない人も多くいます。それは、従来高い料金で仕事を受けていた人たちが、こうした安い仕事を受けるようになってきたからです。不景気でプライドを捨てなければならなくなったのです。

言わば、プロ中のプロが、クラウドソーシングにも手を出してきたので、実績のない新人がいくら頑張っても、仕事を得ることはできないのです。すなわち、いまから努力してスキルを身につけても、稼ぐことはできないということです。

この「クラウドソーシング」は、企業側に都合の良いようにだけ作られています。仕事が簡単にいつでも発注でき、しかも安い。さらに、ネットの向こう側には、選び放題の人材が待っている。言葉は悪いのですが、使い捨て状態で次々に代えることができるのです。非常に便利なシステムなのです。

利用者側のメリットを挙げるとすれば、ただひとつ。安さに納得できるのなら、やりたい仕事だけを受けることができる、ということです。プロが空いた時間を利用して、小遣い稼ぎとしてやるのなら、その利用価値はあるのかもしれません。

いまのシステムでは、それが限界です。新しい仕事のカタチとして、確立させたいのなら、正当な報酬を提示しなければなりません。いまのままでは、派遣社員より劣悪な労働環境となってしまいます。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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