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ヤマダ電機創業者・山田昇氏、幸運の女神に愛された男の軌跡と奇跡

ビジネスで成功した者の多くは、意外にも合理的な過程を踏んで成功したわけではないようです。今回のメルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では著者の浅井良一さんが、 大手家電量販店「ヤマダ電機」の創業者である山田昇氏の足跡を辿りながら「幸運の女神」に愛される方法について紹介しています。

幸運の女神が愛する人々

多くの成功者の足跡をみておもしろいことに気付くのですが、それは必ずしも合理的な過程を踏んでの実現ではないということで、勇気をもってたまたま決断してやったことが、はからずも「時代の要求」に合致し、それをやり続けたこと、Edge:果敢に決断して Execute:実行し続けたところに“幸運の女神”が訪れたというのが有体です。

このことは、持つ者であろうと持たざる者であろうと関係なくて、ある意味では、持たざる者のほうが決断しやすく優位だとも言えそうです。古今東西、多くの先入観少なく何かを成したいと思う“持たざる人”が、新奇なことやり始め、やり通すときに“たまたま”訪れています。この「たまたま」の絶対要件は、それは「時代の要求」への合致です。

例えを上げればきりがなく、多くの成功者にこれが当てはまります。松下幸之助さん、本田宗一郎さん、井深大さん、孫正義さん等々で、また、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズを始めとする、アメリカで勃興したIT企業は、すべてこのパターンでの成功者です。共通するのは、幸運の女神に“愛される”ことをしたということです。

時代は常に変化するもので、そこに「はまる機会」を果敢に手に入れた人だけが“幸運の女神の微笑み”に出会うことができます。多くの苦難と失敗があればだけの成功では、決してないのです。

そのことを実行して、家電チェーン業界の1位になった人がいます。「ヤマダ電機」の創業者である山田昇さんが、その人で、山田昇さんの、これまでに至った境涯を追ってみると、幸運を得るためのEdge:果敢な決断と Execute:実行とそして「時代の要求への合致」の意味が、そこはかとなくとはいえ納得させられます。

ここであらためて言えるのは、それらの実行は必ずしも合理的判断のもとに行ったことではなく、何度も繰り返して言うのですが“成り行き”で決断し実行したことが「的にはまった」という状況でもあります。

 

1.松下系列店として電器店開業

山田さんの社会人としてスタートは、実業家としてではなくてビクターにサラリーマンとして入社したことが始まりでした。後、脱サラして電気店を始めるのですが、さてどこの系列に入るを決めたのは、結婚したばかりでおなかに子供がいて食っていかなきゃいけないということで、その要件に合う「松下系列」を選んだのでした。

2.チェーン展開

山田さんの強みは、ビクターに勤めたことで技術に関心を持ち、また品質管理をかじり、マネジメントについても経験があったことでした。「お客さんを第一」に徹したことで顧客が増え、一人では対応しきれなくて人を雇用して育てていき、当時はメーカーがチェーン店化を支援していたのでこれに乗って多店舗化したのでした。

3.チラシ広告

チラシ広告を行うについては、おもしろい経緯があります。「人材教育」も松下に期待したところ「それは自分でやることだ」と言われ、それでは自分でと店舗数を縮小したところ商品が本店に溢れかえったので、それを売り捌くためにチラシ広告を打ったのです。するとそれが大ヒットして、新しい販売方式となったのでした。

4.複数メーカー商品取り扱い

チラシ広告での販売は思わぬ大成功をもたらしたのですが、この繁盛は思わぬ災厄も呼び込むことにもなったのでした。周辺のメーカー系列店が文句を言い始め、商品供給が止まったのでした。しょうがないということで、他のメーカーに協力を求め商品を入れることになったのですが、これが複数メーカー選択の道を開いたのでした。

5.全国へのチェーン展開

それまではメーカーの系列店政策が効果的に機能し、小売店もそれなりの恩恵を受けていたので、枠組みを超えての試みはなかったのでした。しかしこの枠組みを超えた時、また大店法の改正によって「大規模な量販店」の設置が可能ともなったとき、ベンチャーキャピタルより積極的に投資を受けて北海道から沖縄まで一気に出店を加速させました。

というように、Edge:果敢に決断し Execute:実行し続けることで、売上高2兆円の日本一の家電量販店に成長したのでした。

マキャベリはこんな問題発言をしています。

慎重であるよりは、果敢であるほうがよいと断言する。運命の神は女神なのだから、主導権を得ようと思うなら、乱暴に扱うことが必要なのだ。

さらに問題発言を続けますが

運命は、冷たいほど冷静にくる者よりも、征服したいという欲望を露わにしてくる者のほうに、なびくのである。要するに、運命は女に似て若者の友である。若者は、思慮に富んでいないがために後々のことを考えず、より激しく、より大胆に、女を支配するからである。

と、どうも理性的だけの人では不利なようです。

image by: Shutterstock.com

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戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。

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【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

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