受け入れ条件を緩和するだけで外国人労働者が多数来日し、人手不足など容易に解消されるといった考え方は、もはや時代にそぐわなくなっているようです。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、賃金面においては日本と東南アジアの国々との間に差がなくなりつつある事実を指摘。さらに日本が観光地として優れていることに疑いはないが、働く場所として魅力的かは別問題という厳しい見方を記しています。
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日本で働きたい外国人がいなくなる近未来シナリオ
日本でも外国人労働者をどれぐらい受け入れるべきかはよく議論されます。もちろん、合法移民に限った話です。
人種問題で悩む他の国をみて、「簡単に受け入れるべきでない」という人もいれば「受け入れるべきだ」という人もいます。
しかしその前に考えるべきことがあります。
そもそも日本が労働ビザの条件を緩和して、どれぐらいの外国人労働者が日本に働きに来たいかという問題です。
今までは非常に厳しい許可条件だったので、少し条件を緩和しただけで外国人労働者は増えたでしょう。しかし今後も同じように増え続けるでしょうか?
この問題に気付いたのはもう20年ほど前にアメリカのナーシングホーム(看護・介護施設)に行った時です。暖かい雰囲気の素晴らしい施設でしたが、その壁に大きく各国の言葉で「看護師募集」と書かれていたのです。
アメリカでさえこれほど人集めに苦労しているのかと驚きました。通常は難しいアメリカの外国人労働許可もこういった職種に関してはすぐに発行されるとのことでした。
今、日本は先進国の中で最低賃金が安い部類になってきています。そして東南アジアの国々の賃金はどんどんと上がってきています。賃金の差がなくなってきているのです。
何よりも日本語の壁は高いです。喋るだけならまだしも読み書きまで求められると大きなハードルになります。
それでも日本で働きたいと思う外国人はいるでしょう。親戚が日本にいるからといった理由です。しかしそのような外国人労働者は限られています。
つまり外国人の労働許可条件を緩和したところで人の供給が続くとは限らないのです。
ご存知の通り中国では3人まで子供を産めるようになりました。若い人が足りなくなっているからです。今後は中国も大規模に外国人労働者を受け入れる側になるかもしれません。そんな米国や中国と比べて日本が働く場所として魅力的かどうかは疑問です。
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そんな中で、サウスチャイナモーニングポストの6月16日の記事、韓国政府が外国人の市民権の獲得を容易にする法改正を考えているとの記事です。将来の働き手の減少を心配して、長く韓国に住んでいた外国人の子供の市民権取得を認めるという案です。
しかしこれに30万人という反対署名があっという間に集まりました。
法改正によって対象となるのはわずか3,930人なのですが、そのうちの3,725人が中国籍だということが分かったからです。最近の経済的な脅かしやキムチや韓服の起源が中国にあるという主張に韓国人が反発しているのです。
これほど左様に移民や外国人労働許可の問題は、その国の人を強く刺激します。簡単に結論が出る問題ではありません。
日本は観光地として魅力的であることは間違いありません。しかし働く場所として魅力的かは別問題です。
中国や東南アジアを含む世界中の国で高齢化が進み、働き手の取り合いになった時に、それでも日本を選んで合法的に来てくれる外国人がどれぐらいいるのでしょうか。
外国人労働者の条件を緩和したところで、人が来るとは限らない事は頭の片隅に置いておいて良いです。外国人にとっても魅力ある職場としての日本を作るには相当な時間がかかるのです。
(メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 6月20日号より一部抜粋)
社会の分断化を推し進める「バランスを欠いた報道」を見極めるために
メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 では、在米14年の経験と起業家としての視線、そして大学教授という立場から、世界で起きているさまざまなニュースを多角的な視点で分析。そして各種マスコミによる「印象操作」に惑わされないためのポイントを解説しています。6月中であれば、6月配信分のメルマガ全てが「初月無料」でお読みいただけます。この機会にぜひご登録ください。
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