8月30日の東京都の新規感染者数が1,915人となり8日連続で前の週の同じ曜日を下回ったものの、未だ予断を許さない状況にある新型コロナ第5波。医療現場の逼迫、自宅療養者の増加など問題はなお山積状態ですが、この先どのような手を打っていくべきなのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、政府がロックダウンも私権の制限もせず、加えて子供たちの新学期が始まる中で講じるべき手立てを考察しています。
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コロナ感染爆発の対応
東京はコロナ新規感染者数が27日4,227人であり、ピークを打った可能性がある。しかし、東京や沖縄は感染者数が減少したが、その他地域は感染が拡大している。
日本全体では1日2万人以上になり、日本の1日あたりコロナ新規感染者数では世界第6位で、米国、インド、英国、イラン、ブラジル、そして日本の順になっている。コロナを過小評価する知識人たちの「日本は、欧米に比べて感染者数が少ない」という評論は、現時点では大嘘である。
やっと、医療機関も本気になってきたが、まだ、コロナ患者を見ない病院が多くあるようだ。最低でも軽症者を見る必要がある。抗体カクテル療法を軽症者に行い、中等症、重症にさせないことである。
政府もロックダウンをしないし、私権の制限もしないというので、残るは、病床の大増設しかない。エクモや呼吸器なども必要である。このため、野戦病院を開設し始めた。急ピッチで進める必要がある。多くの病院も病床の増設をしてほしいものである。
今は20代30代の若い人も重症化して、それを助けるためにはエクモや呼吸器が必要であり、あれば死なないで回復している。今は感染者数に比べて、死者数が相対的には少ない。
しかし、自宅待機では45人も死んでいるので、いかに呼吸器が必要かがわかる。中等症患者の入院が必要なのである。今後、感染者数が減っても累積的に増える中等症や重症患者が、これ以上増えると治療ができなくなり、死者も増えるはずだ。
その上、新学期が始まり、子供間での感染拡大が起き、子から親に移すことになる。このため、新規感染者数が増えてくる。
これを防ぐためには、日本でのワクチン接種を急ぐしかない。若者もワクチン接種に積極的であり、日本人全体でワクチン接種を拒否する人は11%に留まるし、インセンティブがあれば、拒否者の半分が接種するという。
ということは、世界は7割の壁があるというが、日本は95%程度の接種率になる可能性がある。世界トップに躍り出ることになる。10月には80%にすると菅首相は言っているが、この状況にいつなるかでしょうね。
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石破氏の立候補で状況は大きく変わる。自民総裁選挙はどうなるか?
現時点では、菅首相、岸田さん、下村さん、高市さんの4人の立候補であるが、石破さんも出る可能性がある。石破さんが出ると、状況が大きく変わることになる。
衆議院選挙も近く、8月21日と22日に自民党本部が行った世論調査の結果は、次期衆議院選挙で減少する議席数は50±10と言われているが、「それは修正された数字で、実態はもっとひどい」ようで、70議席減以上もありえるようだ。これでは、まるで2009年夏の政権交代前夜のようである。
このため、自民党幹部は、公明党が反対するのに、維新の会を政権に入れようと考えているようだ。
自民党は、飲食店を中心とした中小企業の多くを助けることもなく、潰してきたことで、自民党の中核的な支持層を失っている。GoToイート、GoToトラベルの予算が30兆円も余っていることでもわかる。これにより、多くの企業が倒産したし倒産予備軍になっている。
この支持層を自民党に戻すためには、自民党が大きく変わることをアピールしないと無理がある。そして、余っている30兆円を飲食店、旅行業界に給付する方法を考えないといけない。ワクチンパスポートによる飲食・旅行奨励も1つの方法である。
しかし、アピール力が菅首相にはないことが判明している。国民にまともに向き合わない姿勢で、いつも強気で謝ることをしない対応に、国民の多くが辟易している。自民党政権であってほしいが、菅首相はいやだというのが、国民の多くの気持ちであろう。
だが、自民党の支持率が落ちているので、議席減は仕方がないとして、菅首相で衆議院選挙を戦い、その敗北の責任から菅首相を辞任させて、次を自民党内中心に選んだ方が良いという意見もあるようだ。
しかし、これでは、国民の気持ちを忖度しない自民党幹部たちとなり、その結果は、予想以上の自民党大敗になる。政権交代の可能性もある。逆に、野党は菅首相で選挙になってほしいと望むことになる。そして、その裏付けとして、野党の世論調査では政権交代の可能性もあると出ている。
しかし、二階さん、安倍さんも菅首相でと考えているようだ。しかし、それでは、落選の可能性がある多くの議員は納得しない。このため、現時点で菅派、二階派、石原派は菅首相を押すようであるが、二階派内では、一本化の調整をしないようである。できないといった方が良いかもしれない。
安倍前首相と細田さんは菅首相を押すが、細田派内の一本化はしないようである。また、麻生派は態度保留である。そして、細田派の20名は高市さんを押すようだ。下村さんも細田派であり、推薦人20名の確保をするようである。
ということで、まだどうなるのかはっきりしない混沌とした状況である。
ここで、石破さんが立候補すると、状況は大きく変わる。今回は党員票も383票あり、議員票383票と同数になっているので、石破さんが出ると、党員票の半分以上は石破さんになる。
世論調査でも期待する自民党次期首相として石破さんは1位である。推薦人の20名が確保できれば、200票以上が石破さんになる。党員票では、4分の1は高市さん、それより少なく岸田さん。そして菅さんは少ないはず。
安倍前首相は、絶対に石破さんだけは当選させないので、岸田さんか菅さんを選ぶしかない。多くの安倍チルドレン達の当選には菅さんでは無理がある。最後には細田派、麻生派、岸田派がまとまって、岸田さん推薦になると見たい。
さあ、どうなりますか?
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