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ついに乃木坂46にまで難癖をつけ始めた中国・習近平政権の大迷惑

国内のみならずアジア圏でも絶大な人気を集める乃木坂46。そんな日本が誇るアイドルグループに、中国が強引とも言うべき「難癖」をつけ始めていることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国サイドの呆れた主張を紹介するとともに、彼らが日本のアイドルグループ叩きにまで走る理由を解説。さらに中国の「歴史戦」に対して我々が取るべき姿勢を提示しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年9月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【中国】日清戦争の仇討ちを狙う中国の槍玉にあげられた乃木坂46

《私は親日ではありません。中国人です!》“謝罪事件”で中国メディアが「乃木坂46に難癖」のスジ違い

中国の人民日報系メディアである「環球時報」が、8月25日の記事で、日本のアイドルグループ「乃木坂46」を、乃木希典将軍からちなんだ「乃木坂」という名称を使っているということで、難癖をつけたことが話題になっています。

発端は、中国の俳優である張哲瀚(チャン・ジァハン)が、2019年に乃木神社で友人の結婚式に参加したことをSNSに上げていたこと、そしてその前に靖國神社で記念写真を撮っていたことが発覚して大炎上したことでした。張は謝罪に追い込まれ、微博などのSNSのアカウントも停止されました。

靖國神社はともかく、乃木神社のなにが問題だったかというと、日清戦争で第一旅団長を務めた乃木希典を祀ってある神社であり、また、日清戦争の結果、中国からもぎ取られた台湾で、台湾総督(1896年)にもなっており、中国にとっては仇敵だからだという理由です。

そうした騒動を受けて、環球時報は「注意!日本には戦犯を祖先として祀っている神社が他にもあります」という記事を出し、そこで乃木希典将軍を日清戦争や台湾統治での「死刑執行人」と評し、アイドルグループ乃木坂46のグループ名や、メンバーが毎年初詣や成人式を行っていることを問題視しているのです(その記事は以下のリンクです)。

警惕!在日本,把犯当祖宗供的神社

環球時報は、「東京朝日新聞」の記事だとして、「乃木は金州に逃れた清軍を追いかけ、途中で362人の清兵を殺し、老鉄山付近に埋葬、軍参謀が3,000人以上の埋葬を報告した」などと書いています。

朝日新聞にそのような記事があったとは知りませんでしたが、これは大山巌率いる陸軍による旅順口の戦いのことでしょうか。確かにこのときは、アメリカのメディアが「旅順で日本軍による清国の一般市民虐殺が起きた」と報じたことで、日本への批判が起こりました。

しかし各国の従軍記者や従軍武官から、戦争の巻き添えを食った一般人はいたものの、虐殺などはなかったといった報告が相次ぎ、また、日本政府も清兵が軍服を脱ぎ捨てて便衣兵(ゲリラ化)していたことや、住民は交戦前に逃げており、残ったものは清から戦うよう命令されていたといった反論から、「虐殺」はデマであるとされたものです。

ところで、環球時報にニュースの出どころとして名指しされている朝日新聞ですが、乃木坂46とは、2013年ごろに「乃木坂と、まなぶ」というコラボを行っていたようです。このときは、中国からお叱りは受けなかったのでしょうか。

乃木坂と、まなぶ~乃木坂46×朝日新聞

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また、環球時報は「第3代台湾総督に就任した乃木希典は、抗日勢力を弾圧し続け、『雲林大虐殺』では3万人近くの現地人が犠牲になった」とも書いています。

乃木の時代に台湾で抗日運動が盛んだったのは確かです。しかしそれは、日清戦争後に台湾が日本に割譲されたことが気に食わなかった清の軍官が主導したものです。

下関条約で台湾割譲が決定すると、これを不服とした清の勢力は、台湾巡撫の唐景崧を総統、日清戦争時に台湾防衛を任されていた劉永福を大将軍とする台湾民主国の建国を宣言して、日本に抵抗したわけです。

いかにも現地の台湾人が抵抗したかのように書かれていますが、実態は、台湾に既得権益をもっていた清の軍官民が主導して日本に抵抗していたのです。

しかも、日本軍が台湾統治のために上陸すると、唐らはまっさきに大陸に逃亡してしまいました。そして残された劉永福ら台湾民主国の軍は土匪と化し、日本軍に白旗を掲げて向かい入れるふりをして、襲いかかるといったゲリラ戦を展開していたのです。

このときの戦いは「乙未戦争」とも言われますが、日本側としては日清戦争後の残敵掃討戦でした。言うまでもなく、ゲリラに対しては、問答無用で処刑することが国際法でも認められています。

記事に出てくる1896年の雲林蜂起も、台湾民主国の残党を中心とした1,000人以上の土匪が、日本人商店を襲い、多くの日本人死傷者を出したことが発端でした。これに対して日本軍は掃討作戦を行ったことで、6,000人近い死者が出たとされています。もちろんゲリラの処刑なども含まれています。犠牲者3万人というのは、白髪三千丈が過ぎるでしょう。

また、4,000近い民家が戦火にまきこまれたと言われていますが、後に台湾総督府はそのほとんどに見舞金や救済金を支給しています。

環球時報は、これらの「虐殺」をもって、乃木希典を「血塗られた処刑人」と呼び、乃木将軍が祀られている乃木神社を問題視し、さらには日本には戦犯が祀られている寺社が多数あるとして、高野山観音院や熊本や愛媛の護国神社などを挙げているのです。

いまになって中国でこのような難癖をつけるような記事が出るのは、ひとつには中国芸能界で粛清の嵐が起こっていることがあります。

先日のメルマガでも中国で「文化大革命2.0」が始まったことを紹介しましたが、「親日派」が攻撃の対象となっているのです。これは、毛沢東時代の文革でも日中戦争時の「日帝協力者」が糾弾されたのと同じ構図です。これまでも、胡耀邦などが親日派というレッテルを貼られて失脚に追い込まれたことがありました。

【関連】毛沢東の文革時代に逆戻り。自ら進める変革で“ラストエンペラー”となる習近平

もうひとつは、習近平政権が日清戦争の報復戦を行おうとしていることです。イギリスにアヘン戦争で敗れて失った香港については、中国はすでに取り戻しました。そして去年には、言論の自由や香港人の自治権を奪って、中国化を強行しました。

しかし、日清戦争で敗れて失った台湾については、まだ奪い返せていません。台湾を奪い返すことで復仇を狙う習近平政権としては、中国人に台湾を失った原因を自覚させ反日意識を高め、台湾統一を改めて意識させるために、乃木神社などを叩く必要があるということなのでしょう。

加えて、尖閣諸島も、日本に編入されたのは日清戦争中の1895年だったということで、中国はドサクサに紛れて奪ったと主張しています。もちろん、日本は徹底的に調査したうえで、どの国にも属していないことを確認した上での編入でした。

つまり、台湾統一も尖閣諸島の奪取も、日清戦争で負けた恨みを晴らす意味があるのです。乃木大将をことさら貶めるのもそのためです。

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ところで、乃木希典は日露戦争で203高地の激戦を戦ったことでも有名ですが、日本海海戦で大勝利したもうひとりの英雄といえば、東郷平八郎です。その東郷は日清戦争では豊島沖海戦では戦艦浪速の艦長として出撃、清兵を乗せた高陞号を臨検、随航を命じたものの、これに応じなかったため撃沈させています。

中国のポータルサイト百度は、東郷平八郎を祀っている東郷神社を問題視し、東郷を「日本軍の中国侵略の先鋒的人物。日清戦争、義和団の乱鎮圧に関わり、手を中国人の血で染めた。そして、日露戦争ではロシア艦隊を破って戦勝に大きく貢献、その後の中国侵略を導いた」と評しています。

しかし、孫文は東郷の日本海戦について「アジア人の欧州人に対する最初の勝利」であり、アジアの歴史を変えたと絶賛しているのです。

中国は孫文を革命の父として敬っていますが、そうなると、中国は孫文の評価を変えざるを得なくなるはずです。この矛盾をどうするのか。孫文を「日本の侵略を正当化した人物」として批判することになるのか。それともご都合主義で、知らぬふりをするのか。

いずれにせよ、中国は日中戦争以前に、日清戦争の歴史的清算を行おうとしています。もちろん、中華民国も、中華人民共和国も、満蒙の清朝とは関係がありません。しかし清朝の遺産を引き継いだと詐称し、現在も清朝時代の最大版図を復活させようとしているわけです。

偽りの歴史を持ち出して領土・領海を詐称するのは、中国の得意技です。チベットやウイグルなどもその犠牲になってきました。南シナ海も「漢の時代から中国が管理してきた」と主張していますが、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所からは「根拠なし」という結論が下されました。

「正しい歴史認識」を持てば、中国の主張はウソだらけだということがわかります。中国の歴史戦に対して、論破していくことが重要です。

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