トンガ付近の海底火山「フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ
「今回も遠い南の島の噴火か」と安心してしまった日本国民も多かったのかもしれないが、今回の噴火によって「ある懸念」が現実のものとなる可能性がでてきた。それが、「南海トラフ地震」と「伊豆・小笠原海溝アウターライズ地震」である。
衝撃波による気圧の変化と「南海トラフ地震」
今回のトンガ噴火により、日本でも「衝撃波」の影響で気圧の変化が観測されたという。下記のウェザーニュースが公表した動画がその衝撃を物語っている。
これだけの衝撃が世界各地で観測されたということは、地震を起こす各地のプレートや海中の火山帯にも何らかの刺激が与えられたであろうことは想像に難くない。しかも、このタイミングで噴火の2日前にあたる13日、政府の地震調査委員会が驚きの発表をしている。
それが「南海トラフ巨大地震、40年以内の発生確率「90%程度」に引き上げ」という、東京大学名誉教授の平田直委員長の会見だ。同委員会は南海トラフで今後40年以内にマグニチュード8から9級の地震が発生する確率を、前年の「80~90%」から「90%程度」に引き上げたのである。
そして今回のトンガ大噴火である。この衝撃により、地震の発生時期はむしろ早まった可能性さえあるのだ。40年以内とは、明日かもしれないし39年11ヶ月後かもしれない。いずれにしても遅かれ早かれ、南海トラフで巨大地震が起きる可能性は今回の会見で「100%」により近づいたのである。13日の会見で平田委員長は「日本は世界的にみて地震が起きやすい場所だ。どこで起きてもおかしくないので備えを進めてほしい」と呼びかけた。
小笠原海溝とアウターライズ地震
また先日、東京・小笠原沖で発生した地震を覚えているだろうか?4日、東京・小笠原村の父島近海で午前6時8分頃、マグニチュード(M)6.1、深さ77km、最大震度5強の地震が観測された。この震源地よりも本州寄りで、同じく「伊豆・小笠原海溝」沿いの鳥島(東京都青ヶ島村)近海では2021年12月ー2022年1月現在、過去に例がないほどの群発地震が頻繁に発生している。独立行政法人防災科学技術研究所(NIED)が公表している、気象庁一元化震源要素(2日前以前)およびHi-net地震観測システムによる自動処理結果(前日・当日)の震源要素を使用して作成された「Hi-net自動処理震源マップ」によると、ここ30日間で鳥島近海で群発地震が発生していることがわかる。
つまり4日に発生した小笠原村震度5強がトリガーとなって、鳥島近海の伊豆・小笠原海溝でアウターライズ地震が発生する可能性、あるいはその前兆である可能性が出てきたのである。
アウターライズ地震とは、海溝の外側付近でおきる地震のことを指す。この「アウターライズ」とは、海洋プレートが折れ曲がって海溝から沈み込む際にできる隆起帯を指し、その部分を震源域とする地震を「アウターライズ地震」と呼んでいる。この鳥島近海で群発地震が起きているエリアは、伊豆・小笠原海溝のアウターライズ(外側)にあたり、もしこのエリアでM8クラスの地震が発生した場合、東日本大震災で発生したものと同規模の巨大な津波が発生し、房総半島や東京湾、伊豆半島などの関東周辺から南は九州まで津波被害が出る可能性がある。
地質学者「マリアナ諸島は沈没するかもしれない」
MAG2 NEWSでは2020年8月、地質学者の「日本沈没」に関する可能性について学会発表された論文に関する記事を公開したが、その中で「今後、マリアナ諸島は沈没するかもしれない」という仮説を紹介した。今回のトンガ大噴火からそう遠くはないマリアナ諸島付近のプレートで、何らかの変化が起きている可能性もあるだろう。
【関連】地質学者が懸念する「令和関東大震災」と日本沈没の可能性。首都直下地震は近いのか?
4日の小笠原周辺の地震発生により、日本近海では今後何が起きても不思議ではないのかもしれない。ドラマの中で描かれたような「日本沈没」は無いにしても、3.11で多くの被害を出した津波地震の脅威がまだ完全に払拭されたわけではない。
思い起こされる3.11直前の「クライストチャーチ地震」
昨年2021年3月5日の日本時間午前4時28分頃、ニュージーランド沖のケルマデック諸島でM8.1の巨大地震が発生したことを覚えている人は少ないだろう。この地震の場所こそ、今回のトンガ大噴火のすぐ南西のエリアで発生していたのだ。このエリアの地殻変動は約10ヶ月前から始まっていたのかもしれない。
ニュージーランド周辺の地震と聞いて思い出すのが、あの東日本大震災発生の17日前に起きた、2011年2月22日にニュージーランドのカンタベリー地方で発生した「カンタベリー地震」(通称:クライストチャーチ地震)だ。この地震で日本人留学生ら28名が命を落としたことを記憶している人も多いだろう。
この地震のわずか17日後に、東北沖でM9.0という日本周辺における観測史上最大の地震「東日本大震災」が発生したことで、ニュージーランド周辺の地震と日本付近の地震発生が連鎖している可能性を唱えている地震学者も多い。
今後も、遠方の地震とたかをくくることなく、日本および太平洋周辺の地震や噴火に注意を払う必要があるだろう。
Twitterの反応
環太平洋地震帯、
昔、習ったなあところでトンガの大爆発が、南海トラフ地震の引金にならなきゃいいのだが、
この前は、コロナで試験日が延期、
しかし、こればかりは延期どころの話では済まないだろう急遽、試験場が日本海側に変更したりして、能登とか佐渡とか😮
過去問よりまず命の確保か!
— Clean Yama (@yamaclean2) January 17, 2022
トンガの揺れに乗じて南海トラフも来たりしてね。
— NON@わたあめ団 (@_6118860933511) January 17, 2022
トンガ大噴火そしてまた大噴火🌋!!
そろそろ南海トラフ来るかもねー— るーくHIRO (@YVH6022) January 17, 2022
阪神・淡路大震災からもう27年ですか。
『まさか』神戸で地震に被災するとは。
『まさか』自分が被災してしまうとは。そんなまさかが起きた日でした。高校受験の年だったので大変でした。
先日のトンガでの噴火。
そして南海トラフ。
今後も『まさか』に対して備える必要があります。。 https://t.co/LhI1snT62z— 中井宏俊(なかいひろとし/Hirotoshi Nakai) (@passion_nakai) January 16, 2022
トンガの噴火の気圧の影響で富士山の噴火や南海トラフ、東京直下型地震が起きなきゃいいけど😱
— アッキー (@akys_1110) January 16, 2022
トンガでの海底火山噴火が、南海トラフ地震の引き金なりそーだよねー
東北のときも1月にニュージーかオーストラリアあたりで大地震あって日本人なくなってたからなぁ
今年の3月15日辺りは注意しといたが
いいかもねぇ、とりあえず— Re:Q (@Re_Q_West) January 16, 2022
備えあれば憂いなし
気象庁などの公的機関の情報を参考にするのはもちろん、地震の予知に関する研究を続けている機関の発行するメールマガジンを購読することも、防災に繋がる準備の一つ。避難経路の確認、防災グッズの準備、そして地震メルマガの購読などで事前に情報を得ておくことは、来るべき巨大地震への備えになるだろう。今一度、改めて身の回りの「防災準備」をチェックしてみることをオススメしたい。日本の地殻変動はまだ始まったばかりだ。
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image by: NOAA, Public domain, via Wikimedia Commons