小学校でもタブレットを使って授業を行う時代になり、SNSなどを利用する層の低年齢化はますます進んでいます。今回のメルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者で家庭教育アドバイザーの柳川由紀さんは、デジタル性犯罪に巻き込まれる子どもたちが増加傾向にあることを挙げ、その対処法を紹介しています。
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デジタル性犯罪に巻き込まれないために!
コロナ禍でステイホームが続き、大人も子供も少なからずストレスが溜まります。そんな中、デジタル性犯罪に巻き込まれる子供たちが増えているのをご存知でしょうか?
後を絶たないデジタル性犯罪に巻き込まれないために、親としてどうサポートすればいいのかについてお伝えします。
1.デジタル性犯罪って何?
デジタル機器を利用した性犯罪のことです。性的動画や画像が自分の元に望まないのに送り付けられたり、盗撮や、自分の動画・画像が拡散されたりするなど様々です。
SNS上にアップロードされた画像や映像は、加工や偽造がされていることもあり、世界中の誰もが自由にスクリーンショット(SS)を撮ることができ、いつでもどのウェブサイトでも、そのSSを共有することができるため、画像や映像は止めどなく拡散される可能性があります。
被害は永遠に続くため、SNS性暴力、デジタル性暴力などと呼ばれています。
そして、ターゲットは子供全般です。「普通の女の子」はもちろん、「隙のないような女の子」や「男の子」も被害に遭っています。
誰にでも起こりうる危険がある、と言うことを認識してください。
自分の子供とは関係ないこと、などと思わないことです。
2.デジタル性暴力の危険性
交際中、お互いに性的画像や動画を撮影したり、送り合ったりしていても、
交際が終わった後に相手が「リベンジポルノ」として、ネット上に拡散するという例は後を絶ちません。中高生の被害も多くなっています。
一方、SNS上で知り合う場合もあります。その手口は「グルーミング」(手なづけ)とも言われ、「同性」や「同年代」を名乗り、悩み相談に乗るなど信頼させ、子どもをうまく丸め込み、自分の思い通り操るために近づくのが典型です。
例えば、相手が「自撮り」と称した裸体写真を「この体型が悩み」と送りつけ、自分にも写真を送るよう要求します。
写真を送ると、態度を一変させ、会わなければ写真を拡散するぞ、と脅すなどの事例もあります。※1
悪用されたSNSはTwitterが最も多く3割以上を占めています。※2
1位、Twitter 35.3%
2位、インスタグラム 12.14%
3位、ひま部 8.79%
4位、TikTok 4.17%
5位、KoeTomo 3.46%
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3.子どもが被害に遭ったら?
◆感情的にならないこと
子どもが、裸体などの写真を自撮りして送ってしまった場合、親は「なんて馬鹿なことしたの!」と叱りたくなりますが、その一言は、子どもに「やっぱり叱られた」と思わせてしまいます。そして、今後一切口を閉ざし、一人で抱え込んでしまう可能性があります。
あなたの感情を伝えたところで、何の解決にもなりません。感情的になるのではなく、「起きてしまったことは仕方ない、一緒に考えよう」と、冷静に子どもと一緒に対処しましょう。
◆まずは、冷静に現状を把握する
・どのSNSで、
・いつから、
・どんなやり取りをし、
・何を要求され、
・何を送ったのか
◆次に、漏れた個人情報を確認する
文字情報で伝えていなくても、送った写真や動画に、特定できるものが映り込んでいる可能性があります。
瞳に写った建物から、被害者の住所を特定されてしまったという例もあります。
お子様と一緒に冷静に確認しましょう。
4.親としてできる予防策
このデジタル性犯罪の被害者は「本人に問題があるんだろう」「もともと問題児だったんだろう」などと誹謗中傷されることが多々あります。
被害者を責めるような風潮があると、実際に犯罪に巻き込まれたとき、その子供たちは、相談しにくくなってしまいます。
子どもが被害に遭ったとき、
「どうしよう、怒られる」
「私が悪いから、親に言えない」
などと思わないよう、日ごろから
「トラブルがあっても親は怒らない」
「被害者は悪くない、加害者が悪い」
ということを、子どもに理解させておきましょう。
また、日ごろから性的なことでもオープンに話せる環境を作っておくとよいでしょう。そのためにも「つ」のつく年齢までに、しっかり性教育をすることをお勧めします。※3
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5.ネットリテラシーを養う
インターネットは便利で重宝ですが、犯罪者にとっても同様に便利です。
例えば、中年男性が、女子中学生に「なりすます」ことなど簡単です。大人が子供に、男性が女性に、悪者が善人になることだってできてしまうのです。
子どもたち自身も、SNSの便利さや楽しさを知っているからこそ、「いいね」の数を求めたり、自分の写真や動画をシェアしたりします。
それらをシェアすることに、さほど抵抗が無いのかもしれません。
親として、その「抵抗がない」ことにもう少し注意を払うよう促すことが大切です。
そのために、子どもには、インターネット上では、身元が特定されることを伝えましょう。(デジタル記録があるためです)
つまり、名札をつけて歩いているのと同じです。ですから・・・
今から送信しようとするものは、その名札同様に、胸につけて不特定多数に見せていいものですか?
不特定多数に見せていいものなら送ってもいいでしょう。送る、送らないの基準を子どもにしっかりと伝えておくことが有効です。
また、子どもが利用しているSNSを実際に自分のスマホに入れて使ってみることもお勧めします。
使いこなせなくても結構です。いざ、と言うときに全く知らないよりは役立つからです。
こうしたことを日頃から意識し、相談しやすい環境を心がけ、デジタル性犯罪からお子様を守りましょう。
※1:警察庁統計資料
※2:警察庁生活安全局資料
※3:「1つ、2つ・・・9つ」の9歳まで(思春期前まで)
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