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いい関係を築いて損はない。親が新しい担任とうまく付き合う方法

新年度を迎える子の親御さんのこの時期だからこその心配事といえば、新しい担任の先生のことではないでしょうか。今回の無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』では漫画『ドラゴン桜』の指南役として知られ、23年間の公立小学校勤務の経験を持つ親野智可等さんが、 新しい担任教師との付き合い方について語っています。

新しい担任教師との付き合い方

新年度を迎えて、子どものクラスを受け持つ新しい担任がどういう先生か、心配している親も多いだろう。特に、新任の若い先生だと不安に感じることが多いようだ。

新任教師は確かに指導の技術的な面では不十分なこともあるが、一方で若さのエネルギーがある。子どもはそれだけで楽しい。休み時間も一緒になってたっぷり遊んでくれるし、子どもと発想が近いので、子どもが生き生きしてくることも多い。

教師は人間性がもろに出る職業だ。授業があまりうまくなくても、人間性がよければ問題はない。

実は先生も大きな不安を感じながらの毎日だ。教師や学校が親やマスコミからたたかれることが多いなかで、不安が高まるのも当然だろう。

そんな時代に、それでもあえて教職を選んだ若者たちは、この仕事に身をささげて子どもたちのためにがんばりたいと心から思っている場合が多い。だから、お父さんやお母さんには、ぜひ、若い先生を応援して育てるという視点も持ってもらいたい。

わたし自身の来し方を振り返ってみても、親たちに育てられたという気持ちを持っている。いい親たちに恵まれてきたという気持ちでいっぱいだ。

だが、ある学校の校長先生がPTA総会でそういう話をしたところ、「教師を育てるのは校長や教育委員会の仕事であって、親の仕事ではない」といった発言があったそうだ。

なんともさみしい人生観だ。消費者絶対至上主義が教育現場に丸ごと持ち込まれると、こういうギスギスした発想になるのかという感じだ。

若い先生は褒めて育てる

若い先生を育てる上でまず必要なのが、子どもと一緒で、褒めることだ。

「今度の先生は若くて元気がいいね」「優しそうな先生だね」などと、子どもに向かって先生を褒める。すると、子どももその気になる。

さらに、1カ月に1回でもいいから、連絡帳にひと言、先生に対する褒め言葉を書く。例えば、こんな具合だ。

「先生に受け持っていただいて、子どもがやる気になっています」「先生のジョークが面白いといつも子どもが言っています」

特にお父さんから褒められると教師は格別にうれしい。お父さんが授業参観などに参加して感想を書いてくれると、担任も喜ぶだろう。

5月半ばごろになると、なかには問題を起こす先生も現れることがある。そのときには慌てずに、まず情報を収集する。

子どもや妻や他の親の話を聞き、冷静に判断するべきだ。そのためにも日ごろ、学校に顔を出しておくと、的確に対応できる。お父さんはお母さんとは違った視点で物事に対処できる。

もし明らかに問題があって、直接担任に話すことがためらわれる場合、学年学級などクラスの代表の親に代わりに言ってもらうといい。そうすれば、発言が誰のものか分からずに済む。

問題点を伝える場合、いきなり副校長や校長に言うのではなく、まずは本人に伝えるべきだろう。本人を飛び越えて上に言うと、担任と腹を割って話し合う機会を失い、それは子どもにとってもよくない。

担任の得意を最大限発揮させる

よく、親が担任に言う文句は「他のクラスと同じ指導をしてほしい」ということだ。

担任によって、得手、不得手があり、同じ学年でも1組は園芸に熱心だが、2組は体育、3組は読書ということがある。教師は自分が得意なことをてこにクラスをまとめたい気持ちがある。いわば、先生にも「売り物」があるわけだ。

それを無視して、同じことをやってくれと言われると、先生が売り物を発揮できない。

例えば、体育の得意な先生に読書をもっと指導してくれと言っても、その先生のよさを殺すだけだし、どっちつかずになってしまうことが多い。

教師だって人間だから、自分が得意なことの方がやる気になる。だから、得意を殺さずに、それを褒めた方がいい。

公立学校は毎年、いろいろな先生に変わるよさがある。わたしは、担任は毎年変えた方がいいと思っている。

というのも、やはり子どもと教師の相性もあるからだ。相性がよくないのに、何年も同じ担任では子どもがかわいそうだ。私立では、毎年、同じ担任ということもあり得る。

先日、あるお母さんたちと座談会を行ったが、何でもかんでも教師に要求する親が多い。確かに親も不安なのだろうが、一人の教師に体育も読書もすべてやってほしいというのは無理だ。

すべてのクラスで足並みをそろえるよりも、あまり極端でなければ、その先生のいいところを最大限発揮させる方がクラスは生き生きとしてくる。平均がいいわけではない。その年ごとに、担任のいいところを子どもが吸収するように親が手伝ってあげるという発想が大切だろう。その方が子どもは伸びる。

担任の教え方や、学校の雰囲気を知るためにも、お父さんたちは一度、早い時期に授業参観に参加してはどうだろうか。そこで、担任にあいさつしてほしい。「うちの子が先生のジョークが面白いと喜んでいますよ」とさらにひと言、褒めれば完ぺきだ。

初出「親力養成講座」日経BP 2008年5月16日

image by: Shutterstock.com

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5年連続でメルマガ大賞の「教育・研究」部門賞を受賞!家庭教育メルマガの最高峰。教師生活23年の現場経験を生かし、効果抜群の勉強法、子育て、しつけ、家庭教育について具体的に提案。効果のある楽勉グッズもたくさん紹介。「『親力』で決まる!」(宝島社)シリーズは30万部のベストセラー。

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【著者】 親野智可等 【発行周期】 不定期

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