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BTSを最も消費したのは韓国ではない。時間と金をつぎ込んだ“意外な国”とは?

世界的な人気を誇る韓国の男性アイドルグループ・BTS(防弾少年団)。彼らが進んできた道は、そのあとに続くK-POPアーティストの道標となっています。今やグラミー賞にもノミネートされるほどの人気を勝ち得た“世界化”はどのようにして成し遂げられたのでしょうか。無料メルマガ『キムチパワー』の韓国在住歴30年を超える日本人著者が、その秘密を紐解いていきます。

BTSを最も好きな国は?

読者の方々はKポップに関心がおありだろうか。BTS(防弾少年団=バンタンソニョンダン)ぐらいはご存じかもしれない。

かく言う筆者自身、ほとんど関心はない。しかしこういうものも文化の一つなので今回ちょっと触れたいと考えた(中央日報ベース)。

BTSの人気は今や世界的だ。それならBTSを最も多く消費した国はどこだろうか。1位は韓国でもアメリカでもなく日本人だった。中央日報が動画共有プラットホームユーチューブ音楽チャート統計を活用し、この1年間(2021年3月-2022年2月)の主要Kポップグループのファンダム(ファン集団)を分析した結果だ。

BTSの公式ミュージックビデオ、公式音楽を利用したユーザー制作コンテンツ(UCC)、歌詞動画などはこの期間に計151億回再生されたが、このうち20億回以上が日本で発生し、BTS消費国第一位を記録した。BTSの本家である韓国は7億6,800万で6位につけた。全体の5%に過ぎない。

BTSに続き、ユーチューブで音楽動画が最も多く再生されたKポップグループ2位は、BLACKPINK(計85億9,000万回)だ。同グループを最も注目したところはインド(8億2,000万回)だった。TWICE(日本が1位)、Stray Kids(メキシコが1位)、ITZY(イッジ)(日本が1位)、SEVENTEEN(日本が1位)なども海外再生数が韓国を圧倒した。韓国がヒット数1位となっているのはアイユーとエスパマンだった。

このような国際化に支えられてアルバムの販売量も急増している。昨年、アルバムの販売量は史上初めて5,000万枚を突破した。キム・ジンウ・ガオンチャート首席研究委員は「アルバム全体販売量のうち半分ぐらいは海外輸出量」とし「Kポップアルバム輸出国は2012年23カ国から2021年88カ国に増えた」と話した。関税庁によると、昨年韓国が輸出したアルバムは2億2,085万ドル(約2,703億ウォン)に達する。

Kポップの世界化は偶然ではない。産業研究院のチェ・ボンヒョン先任研究委員は「BTSはある日突然降ってわいたわけではない」とし、「エンターテインメント企業を中心に育成から創作、音楽活動、芸能活動、休息、再び創作へとつながる音楽商品のサイクルを確立し、この過程でグローバル競争力を備えることができた」と説明する。

BTSが開拓した道は、ほかのKポップグループにも道しるべとなっている。JYPエンターテインメントの8人組ボーイズグループ「Stray Kids」が28日(現地時間)に発表された米ビルボードアルバムチャートで1位になった。

Stray KidsはBTSとスーパーエムに続き、ビルボード200で1位になった3番目のKポップアーティストになった。ビルボード200は、米国内で発売されたアルバムの販売量とストリーミング回数などによって順位をつける。Stray Kidsが18日に発売したミニアルバム「オーディナリー」は、24日までに米国国内けで実物アルバム10万3,000枚が売れた。

Stray Kidsの今回のアルバムは、発売後1週間の販売量が85万3,000枚を記録し、自己最高記録を更新した。これは韓国をはじめ全世界で販売された量だ。

今年に入って、Kポップグループの初週のアルバム販売記録が相次いで更新されている。アルバムの販売量増加は最近、Kポップ市場で目立つ現象だ。SMエンターテインメント所属のボーイズグループ「NCTドリーム」の正規2集は28日、発売初日の1日間で70万枚が売れ、先行注文の数量も200万枚に達した。

歌『Red Flavor』でよく知られているSMの9年目のガールズグループ、「Red Velvet」は21日に発売したアルバム「フィル・マイ・リズム」で、1週目だけで44万枚を販売した。これは歴代ガールズグループ2位にあたり、昨年の「クイーンダム」アルバム販売量(1週目20万7,000枚)の2倍を超える。

ハンターチャートのシム・セナ広報チーム長は「BTS以降、グローバルファンの流入でKポップアルバムの販売量は増え続けている」とし「最大の音源市場である米国をはじめ、ほとんどの音楽市場が音源・ストリーミング中心でアルバム市場自体が減っている傾向だが、Kポップファンだけがアルバムをますます買っている」とし、「公演がなかった最近は、アルバム発売直後にファンが集まって記録を作ろうとし、アーティストの収益を上げようとする意図が加わった影響も一部にある」と説明している。

歌手志望の若者たちが「命を削って」練習している場面が、こちらのテレビでよく映っている。勿論どこの国でも一生懸命やっているのは同じだろうけど、韓国のテレビに映る子どもたちの練習風景を見ていると、「鬼気迫る」という表現がぴったりだ。これぐらいやれば世界でも一等賞が取れるんだなと独り言ちる筆者だ。

image by: Featureflash Photo Agency / Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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