36年前に公開された映画『トップガン』。全世界から絶賛された名作の続編がついに公開されました。それを何より楽しみにしていたというニューヨークの邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さん。高橋さんは、今回のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』でトップガンについての熱い思いと、ジャパンプレミア、記者会見の感想をネタバレなしで語っています。
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36年待った『トップガン』続編
映画『トップガン マーヴェリック』のジャパンプレミア、記者会見に行ってきました。
個人的に待ちに待った作品の、記者先行スクリーニングでした。別件で東京出張が入り、それに合わせて行ってきました。
いや、正直にいうと、こっちが本命。この試写会と記者会見に合わせて、他の仕事を入れた、というのが正直なところでした。
本来であれば2019年に公開予定だったところ、監督のジョセフ・コシンスキーが、本物の戦闘機による、より高度でよりリアルなスカイアクションを撮影したい、と2020年に公開を延期。さらに延期。
当初は2020年の6月公開が決定されていたものの、そして、コロナが始まり、さらに延期。2021年の11月に公開と正式にオフィシャルされたのち、コロナも収束せず、結果、2022年の5月に落ち着きました。
スイスのテレビ番組でトム自身が「トップガンの続編を撮ることになっている」と漏らしたのが2018年。そこからファンにしてみれば、4年以上待たされたことになります。
とは言うものの、僕個人からすると、「いやいや、こっちは36年間待ってきたんだよ、たかが4年くらい」って気持ちです。
36年前。瀬戸内海のただの不良中学生が市内のきったない映画館で観た衝撃は、アメリカを、人生を、意識させてくれました。
間違いなく人生を変えられた前作は(今観たらただのミュージッククリップだけど・笑)バカな12歳に「こんな世界があるんだ」と教えてくれた。アメリカも、今の仕事も、今の自分もなかったと断言できます。この作品と『Fight Club』に出会えてなかったらと思うと、ゾッとするくらいです。
宗教にハマらなかったのも、12歳からマーヴェリック教だったから(笑)。「自分自身に誓ったことは必ずやり遂げることが流儀だ」「自分の道を決めるのは他の誰でもなく自分だ」「もしどちらかを選ぶなら、挑戦する側の人生でありたい」etc..
大切なことのすべてを教えてくれる映画でした(もう一回言うけど、大人になってから見直すと、ただのプロモーションビデオだよ・笑)。
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当時、VHSが擦り切れるくらい丸暗記した全セリフが、今の僕の英語の基盤になっています。そのくらい、田舎の小さなテレビで何度も、何度も観ました。
いつか必ずトムクルーズにインタビューする。当時、周囲の友人に宣言しまくっていました。
当時の英語の成績は1か2でした。そこから26年後、2011年の12月。ニューヨークはマンハッタンのジーグフェルド・シアターにて、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコ』」のプレミア・レッドカーペットで、直接1対1で約7分間でしたが、インタビューすることになります。
直後、中学校の同級生から「息子に夢ばっかり追わずに、もっと現実を見ろ、と教育してきたけれど、今日から改めるよ」と連絡をもらいました。彼の息子は、当時の僕たちと同い年とのことでした。
その後、2014年の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』、2015年の『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』でもプレミア・レッドカーペットに招待され、生トムを至近距離で見るも、インタビューするには至りませんでした。
改めて、2011年のインタビューは奇跡的だったのだなと振り返ります。
そして、今回はそのどれよりも勝手に緊張していた。だって、あの『トップガン』の続編なのだから。そんな同世代のボンクラ親父、日本中に、いや、世界中にいるのだと思います。
プレススクリーニング数日前から、期待というより緊張でよく寝付けない。いよいよなんだ、またマーヴェリックに会えるんだ…、ニューヨークの妻に「バカなの?」と電話で突っ込まれつつ。
プレススクリーニング会場は、IMAGICAの竹芝メディアスタジオ。
イマジカって、芸能人からよく聞く制作会社だ。とんねるずやナイナイのラジオでもしょっちゅう、貴明さんが、岡村さんが発してました。
そこのスタジオ。田舎育ちの僕は、当然建物の前で、自撮り。東京出張中は、ニューヨークに旅行で来る日本人くらい“おのぼりさん”になります。ニューヨークで自撮りなんて絶対しないけど。
最前列のど真ん中に座る。至近距離で大迫力映像を体感したい、というより、自分とスクリーンの間に何の遮蔽物も入れたくない。
だって、だって、あの『トップガン』の続編なのだから。しつこいけど。
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前作で現役トップガンレベルの海軍パイロットになった主人公マーヴェリック。36年の時を経て、今回は教官として、後進の育成を務めることになります。
若きエリート候補生に、当時の自分を重ねるのですが、その中には元相棒で命を落としたグースのひとり息子がいました。そこに生じる葛藤。そして出撃命令。命がけの戦いに、マーヴェリック、彼の教え子たちが身を投じる―。それがストーリーライン。
特にアイスマン派の方は劇場で観る必要があります。『トップガン』におけるアイスマンとマーヴェリックの関係は、『あしたのジョー』の力石徹と矢吹丈の関係に重なります(誰がわかるんだよ、こんな話)。
もちろんネタバレはしないけれど、ひとつだけ。
最初のオープニングシーンで、号泣してしまいます。トップガン ファンなら間違いなく、100%。オープニングシーンだけで、前作に対する愛とリスペクトを感じます。
デカしたコシンスキー監督。前作の監督である、いまは亡きトニー・スコットへの追悼、尊敬、愛情まで感じました。
上映中、周囲が気づかない36年ぶりに回収されていく伏線の連続に、隣の記者のおじさんが心配するくらいずっと号泣しっぱなしでした。コイツナンナンダ、な顔で見られたよwww。
もし、劇場で鑑賞予定であれば、そして前作をうろ覚えであれば、もう一度観なおしてから映画館に足を運ぶことをお勧めします。感心するほど、前作に対するリスペクトを踏襲していたからです。
140分間、すべてのシーンに、オールドファンへの、そして新規のファンへのメッセージが画面全体に広がりました。
本来ならば、サンディエゴのプレミアに出席するところ、たまたまとはいえ、東京出張中でよかったかもと思いました。英語苦手な僕には、鑑賞1発目は、日本語字幕スーパーがあった方がよかったのだと思います。
前作とは36年の時間が経過しています。作品内の世界も同時進行なので、舞台は当然、現代です。前作の“敵キャラ”だったソ連という国ももうありません。冷戦終結した今、ストーリーも現代に添った話になります。
冷静に考えると、全世界で大ヒットした前作は、結構なアメリカ・プロパガンダ映画。世界情勢もまったくわかってない田舎の中学生が熱狂するには、そこそこ危険な作品だったのだな、と感じます。
もちろん当時夢中になったのは、レイバンのサングラスやMA-1、KAWASAKIのバイクなどファッションなどで、戦争そのものに興味をもったわけではありません。
逆を言えば、戦争映画をあんなファッショナブルに描くなんて、めちゃくちゃな作品だとも言えます(笑)。
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日本とニューヨークの映画館のいちばんの違いは、エンドロール時の観客の対応。日本はなぜか、延々とエンドロールの最後の、最後までずっと黙ってみなさん席に座っています。英語苦手な国民が、スタッフの名前の羅列だけの映像をしっかり最後まで見届ける。
対するニューヨークは本編終わったら、そそくさとみんな席を立ちます。劇場自体、エンドロールが始まるや否や、館内の明かりをつける。
なので、最近の作品にありがちな、エンドロール後の、おまけ映像、追加シーンをニューヨーカーは見逃しがちになります(笑)。
余韻もへったくれもないニューヨークもどうかなとは思いますが、咳払いせず、延々と人の名前の羅列だけをじーっと全員で見続ける日本も、少し怖いと感じていました。
ただ今回に限っては、その沈黙の時間がありがたかった。
目を真っ赤にしている中年オヤジの表情は日本では“後指さされモノ”ひょっとすると、違法かもしれません。エンドロールが終わるギリギリでなんとか表情を取り戻し、鑑賞終了。
思い入れはわかったから、作品自体は客観的にどうだったの?観賞後、ニューヨークにいる妻やスタッフにそう聞かれるも、36年間待った作品を客観的に冷静に見れるかバカヤロウ。
観た直後のテンションも影響してるかもだけれど、作品自体、出演作45作品のうち、BESTだと思ってます(客観視は無理だゴメン)。
十分満足できるエンターテイメントでした。戦闘機の空中アクションをCGナシでやる時点で、劇場入場券を購入する価値があると思います。それになにより
マーヴェリックが現役でまだ飛んでいた、その事実だけで。
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翌々日の記者会見、会場は六本木の東京ミッドタウン。記者は全員、抗原検査を受けます。
この2年半、あらゆるところでPCR関連検査を何度も受けましたが、この時ほど陰性を願いつつ検査薬をガン見した時はありませんでした。陽性であれば、当然即退出です。
陰性の結果判明直後は、他の記者たちとの「良い席争奪戦」が始まるとおもいきや、ここは日本。ニューヨークの記者たちのような好戦的な人種は皆無。
みなさん列に沿って、きっちり順番どうりに移動するので余計なストレスがない。日本って平和でいいな、って改めて思います。最前列の中央席をゲット。
トムとプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが入場した瞬間、やはり会場の空気が変わりました。ここまでわかりやすいスーパースターはいない。オーラの凄さが逆に玄人肌の賞レースを遠ざけているのではないかなと思うほど。
あくまで個人的な意見ですが、スマートフォンが発明されて以来、本物のムービースターは誕生しなくなるのではないかと思っています。
そう考えると、最後のわかりやすいハリウッド・スーパースターなのかもしれません。
記者会見での印象に残った言葉だけ、抜粋します。
(メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』2022年5月27日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)
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