「二兎を追う者は一兎をも得ず」と言いますが、二兎を追いかけ、しかも成功しているお弁当屋さんがあります。そんなお弁当屋さんを繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが紹介。自身のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、お店の秘密に迫るとともに、店内風景を24時間ライブ配信する理由を明かしています。
店内風景を24時間ライブ配信する弁当店。売りは激安＆1kg弁当
東京下町のとある24時間営業のお弁当屋さん。「激安」と「1kgの大盛り」で知られています。店内に入ると、驚くほどの数のお弁当が並んでいます。
- カレーがけハンバーグと唐揚げ2個
- コロッケ2個と焼き鳥2本
- メンチカツ3個とコロッケ
- アジフライと唐揚げ3個
- 麻婆茄子とコロッケ
- カレーがけハンバーグとアジフライ
などのお弁当が350円。激安なのですが、かなりのボリューム。
1kgの大盛り弁当は、
- 牛カルビとピリ辛ホルモン 1300円
- 牛タンとソーセージと唐揚げ 1600円
- かにチャーハンと唐揚げとかに身 1200円
- 牛カルビとアイガモ 1300円
など。
お弁当の他にも、肉じゃがやエビフライ、焼き鳥、唐揚げ、たこ焼きなどの惣菜や、1kgの爆弾おにぎりシリーズがあります。
このお店は、激安が売りなのか？大盛りが売りなのか？マーケティング的には、狙う客層によって、どちらかに絞る場合が多いのですが、このお店は二兎を追い掛けています。
下町なので、安さで勝負するのがセオリーですが、大盛りを同時に販売することで、PRの二乗効果を狙っています。激安は話題になりやすく、大盛りも注目度が高くなります。
大盛りを欲するのは、基本的には大食いの人なのですが、家族で分け合って食べる人が結構いるのです。みんなで食べれば、割安になるという考えです。
つまり、大盛りであっても、安さを求めた結果なのです。両極端な品揃えに見えても、客層は同じである場合が多いということです。
このお店は、たくさんのお客さまがやって来るのですが、お弁当の種類の多さに圧倒され、購入を決定するまでに時間が掛かります。とにかく迷ってしまうのです。
日替り弁当もあれば、次々に新しい商品も生み出されます。選ぶのが楽しいお店です。多くのファンがついているのも納得です。
また、このお店はファンを増やすために、お弁当以外のアイデアにも力を入れています。
特徴的なのは、店内の様子をライブカメラで写し、24時間YouTubeで配信していることです。これは、現在の品揃えを映像で確認できるようにするためです。
食べたいと思った時に、わざわざ足を運んで、商品が少ないとガッカリしてしまいます。そんなことがないようにして、満足度を高めているのです。
さらに、イベントを開催して、お客さまの囲い込みにも成功しています。大食い選手権やAmazonギフト券プレゼントなど。こちらは、Twitterを活用して、広くPRしています。
いまでは、YouTubeのチャンネル登録者数とTwitterのフォロワー数は、ともに7万人超えとなっています。
失礼ながら、チェーン店でもない弁当店のファンがこれだけの数になることは、まずあり得ないと言えます。
お弁当のアイデアにプラスして、ITを上手に活用した結果なのです。非常にユニークなお店なので、長く続いて欲しいものです。
image by: Shutterstock.com