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なぜ、年金制度や介護保険はここまで欠かせないものになったのか

食品代など物価の高騰が続く中、6月に支払われる年金が前年と比べて0.4%減額しました。引き下げは2年連続となり、高齢者からは不満の声があがっています。そんな年金について詳しく教えてくれるのがメルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』。著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、今回は年金制度や介護保険が人々の生活に欠かせなくなった理由について解説しています。

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時代が変化した事で人々に欠かせないものとなった年金制度や介護保険と、旧年金制度を絡めた事例

こんばんは!年金アドバイザーのhirokiです。

不可欠となっていった年金制度

現代において約4,000万人以上の人が年金を受給しており、年金は特に高齢者にとっては必要不可欠なものとなっています。

65歳以上の高齢者の総所得に対して年金は約60%ほどであり、総所得のうちのすべてが年金であるという人が48%ほどとなっています。

年金のみで暮らしている人がそれだけの割合いるわけで、かなり重要な収入となっています。

年金なんか必要ないよっていう声もありますが、誰もが前もってキチンと備えられるわけではありません。

日本は資本主義の国ですが、資本主義というのは競争の社会です。

競争をする事で良質な商品などを開発する事で発展してきましたが、そんな中で競争をするという事は脱落してしまう人も出てきますよね。

基本的には誰かが勝者になって、他の人は敗者になってしまう弱肉強食の厳しい社会。

しかしそんな勝った者が生き残る世界じゃあまりにも不安定な社会ですよね。

特に働く事が難しくなってしまうとか、収入が思うように手に入らない高齢者の人や、障害の方、大黒柱を亡くした、失業した…などなど急な不幸が降りかかる事があります。

全て自己責任だから…とは言えない事も多いわけです。

そんな時にこの社会から弾き出されてしまったら本当に理不尽な社会になってしまうので、そういう人が安心して暮らして行ける社会を提供しているのが社会保険でもあります。

東西冷戦が終わって、資本主義が勝利して社会主義国は衰退していきました。

もちろん資本主義は発展していきますが、弱者が生きていきにくい社会という弱点があったわけですね。そんな弱点を社会保障が担っていると言えます。

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さて、昭和の時代と違って親子三世代が同居するという家庭は少数派となり、家族は核家族化が進んだため家族はバラバラとなりました。

工業化していく日本産業のために、農業から都会に出て働く人が増加していったからですね。

昔は子(特に長男)が両親の面倒を見ていたのですが、徐々に子が都会に独立していって、子自身の家庭を持ち始めるとなかなか親とは繋がりが薄れていくようになりました。

そうなると長男と同居して、両親の老後は子に面倒を見てもらっていたのが、それが適わなくなっていったために国が面倒を見なければならなくなりました。

年金を整備しなければ、高齢になった両親の生活の資金を確保できなくなりました。

子が私的に扶養していたものが、段々と社会的な扶養となっていったわけです。

私的な扶養となると、自分の給料から何とかする必要があるわけですが、社会的に扶養するとなると保険料の負担を増やして高齢者の面倒を見てもらうように変化していきました。

家族がバラバラになると年金を整備しなければならなくなったわけです。

年金制度なんてやめてほしいなあという声もあったりしましたが、年金制度が無くなってしまって困るのは高齢者だけではなく若い人だって困ってしまうのは同じ事なわけです。

ところで、よく「昔の人は保険料が低いくせに年金は高いなんてズルいよなあ…」という世代間不公平論が一時期話題になっていましたが、昔は年金なんてそんなに整備されていなかったし支給されても大した額ではありませんでした。

国民年金も昭和36年(昭和34年から税金による支払いは始まった)までは存在しなかったわけですからね…。

昭和36年4月からは国民年金が始まったから、主に自営業者や農業の人は保険料を支払い始めました。

でもまだ、高齢の親を私的に扶養していたし、その上さらに保険料まで払うとなると2重の負担になるのでそんなに保険料払って下さいよ!と求めるわけにもいきませんでした。

あまり保険料負担を求めるわけにもいかない中でも、将来しっかりとした年金制度にするためには給付を早い段階で改善していかなければいけませんでした。

このように、昔はその各々の家庭で高齢者の面倒を見る形からその手が離れて、国が面倒見ていこうとするようになったからこそ若い人はとりあえず毎月の保険料を支払うだけで、自分の仕事や家庭だけの事を考えていればよくなりました。

保険料さえ支払っていれば、肉体的な負担も軽減されていったという事ですね。

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介護保険が出来た事で個人の負担が軽減した

個人個人の肉体的負担が軽減されていったと言えば、介護保険なんかもそうですね。

介護保険は2000年に導入されたばかりのまだ新しい社会保険です。

40歳以上の人はサラリーマンであれば給料から天引きされたり、自営業などの人は国民健康保険と一緒に支払う事になっています。

ちなみに65歳以上の人は年金から天引きされます。

介護保険料も忌み嫌われる事が多いですよね。特に高齢化率が一層高めな地方では高負担の傾向があります。

若い人にとっては介護なんてまだ考える必要ない年なのに、なんで支払わなければならないの!?と^^;

それにすでに介護を受けている高齢者の人の中には、過去に介護保険料を支払った事が無い人もたくさんいるわけで、そうなると保険料支払ってなかったのに介護保険が使えてズルい…と考えるのでしょうか。

もちろんそれは短絡的な考えであり、介護保険がある事で多くの若い人の負担が昔より減った事で助かっている事は事実です。

介護というのは主にその家庭で私的に行われるものであり、しかも多くがお嫁さんがやるケースが多いものでした。

お嫁さんが介護の多くをやっていたので、それはそれはとんでもない重労働をこなし続けていたと思います。

お嫁さんに多くの負担がかかっていて、自分のやりたい事を犠牲にして介護に付きっきりにならなければいけませんでした。

介護地獄と呼ばれる事もあり、非常に負担が大きいものでした(もちろん現在も介護は非常に大変なもの)。

ところが介護保険が始まり、在宅サービスとか施設サービス、地域で密着したサービスなど社会的に支え合うようになっていヘルパーさんがやってくれたりとかですね。

昔はお嫁さんがほぼ一人でやっていたのが、なんとか介護保険により分散されていったわけです。

特に少子化が進み、高齢化が進む時代において、家庭内の人だけで介護を行うのはまさに共倒れしてしまいます。

昔は子供は4~5人とか多い人は10人いたという家庭もあったでしょうが、現代は子供は多くても2人…か1人のみという夫婦も多くなってしまい、子1人にかかる負担が大きすぎるわけです。

子供が居ないもしくは近くに住んでいないとなると、高齢者が高齢者の配偶者を介護するという老老介護のケースも出てきました。

介護保険料なんて「今の」自分に関係ないお金を支払いたくないなあ…と思ってしまうかもしれませんが、介護保険がある事である程度介護の負担を分散し、自分一人で負担を抱え込むという苦しみを分担してもらってるともいえます。

このように、昔は各家庭内でやっていた事が、時代の変化(核家族化や少子高齢化)により社会的にやるように変化していったという事ですね。

結局、社会保険が無ければ自分自身でやるしかないし、自分自身がやれないなら社会全体でやるしかない。
そのための年金であり介護保険などの社会保険なのであります。

ちょっと前置きの話が長くなりましたが、年金事例と少し介護保険の徴収を考えてみましょう。
(メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』2022年6月15日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

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