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AICHI, JAPAN - DECEMBER 7, 2016 : Fish-eye view interior of traditional Japanese housing in Shinshiro, Aichi Prefecture, Japan.

“人工芝”の畳が話題。ピンチの畳業界を救う画期的な新商品の戦略とは

あなたの家に和室はありますか?日本の住居の特徴であった畳の和室も、今ではすっかり需要が減少しています。今後はさらに先細りが予想されていく中、とある商品がリリースされ話題となっています。MBAホルダーで無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者である青山烈士さんが紹介するのは、 画期的な商品開発といえる“人工芝”の畳。話題になっているこの商品と戦略と戦術を分析しています。

注目の人工芝の畳(たたみ)「部屋芝」を分析

今号は、注目の人工芝の畳(たたみ)を分析します。

● 創業50年の畳店(細川製畳株式会社)が展開する「部屋芝

和室をうまく活用できていない方をターゲットに「伝統技術」に支えられた「和室が健康的なアクティブ空間に変わる」「設置が簡単」等の強みで差別化しています。

和室の需要が減少している中で、和室を伝統技術を活かした室内緑化で生まれ変わらせることで注目を集めています。

■分析のポイント

和室の需要が減少していて、畳離れが加速しているようです。私の自宅には和室がありませんが、新築で和室が無い家も増えているように感じます。

このような世の中の流れは変えることが難しいため、畳業界にとっては、新規顧客の開拓は厳しい状況と言えるでしょう。

となると、重要となるのが、既存の和室ユーザーのリノベーション市場となります。と言っても、古くなった畳の交換需要だけでは業界として厳しくなるのは明らかです。

そして、いままで畳業界において、新商品といったものが、リリースされることは少ない印象ですから、お客様に提案する機会も作りにくかったのではないでしょうか。

そのような状況の中で、リリースされたのが「部屋芝」です。

畳を天然芝に近いモノに仕上げるという発想は畳の常識からすれば、邪道かもしれませんが、畳業界にとっては、新しい価値提供に他なりません。

古い畳から新しい畳へという、需要が主流の中で和室の畳を「部屋芝」へという、新たな流れを作ることにチャレンジしていることが、素晴らしいと思います。歴史ある業界、変化の少ない業界でチャレンジしたことに価値がありますね。

「部屋芝」は“和室革命”を掲げていますが、過去の畳業界において、目に見えてわかるもの、お客様が見てわかるレベルでの革命と言うのは無かったのではないでしょうか。

ですので、和室革命という言葉も、とてもフィットしていると思います。今後、「部屋芝」がどのように拡がっていくのか注目していきます。

◆戦略分析

■戦場・競合
・戦場(顧客視点での自社の事業領域):人工芝の畳(たたみ)
・競合(お客様の選択肢):既存の畳、人工芝カーペット など

■強み

1.和室が健康的なアクティブ空間に変わる

・開放感が得られる
・部屋トレに活用できる
・子どもの遊び場になる。ペットも遊べる
・アウトドア気分を味わえる

2.和室がくつろげる場に変わる

・天然芝の足あたり
・適度なクッション性
・緑を感じられる空間
・より自然を感じられる空間

3.設置が簡単

・半畳サイズの軽量設計
・道具不要で簡単に並べられる

★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

・適度なクッション性を叶える5段構造で独自の新感触
・創業50年の技術力
 職人技法:かまち縫い製法でひとつひとつ職人の目で確かめながら丁寧に仕上げる→厳選した材料と人工芝を伝統製法で縫い合わせることにより、まるで天然芝のような踏み心地を実現。

上記のような、伝統技術が強みを支えています。

■顧客ターゲット
・和室が物置になっている方
・家の中にアクティブな空間を作りたい方
・家の中で子どもたちの遊び場を作りたい方

◆戦術分析

■売り物
「部屋芝(人工芝のたたみ)」

畳ごと人工芝にリフォームできる商品。天然芝に限りなく近い自然な仕上がりの人工芝。

・掃除機や水拭きの掃除も可能な芝高を設計
・脱臭、防カビ、ダニ予防のほか、腐敗ガス吸着機能や湿度調整の効果あり
・保温・保湿効果が抜群で快適性と省エネに貢献
・衝撃にも強く、消音効果にも優れた素材を利用
・無光触媒による長期抗菌

■売り値
・6畳セット(厚み27mm):209,000円

■売り方

・売り文句:「たたみを取り換えるだけで和室が健康的なアクティブ空間に」
・部屋芝をご購入のお客様限定で、たたみを下取りしてくれる
・発売記念キャンペーン

■売り場

・公式サイト

※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

image by: Rei Imagine / Shutterstock.com

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【著者】 青山烈士 【発行周期】 ほぼ 週刊

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