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Tokyo, Japan - July 9, 2022: Assassination of Shinzo Abe, former Japanese Prime Minister, being reported on front page of all Japanese newspaper as breaking news

安倍元首相の銃殺事件で中国国民に沸き起こる反日ナショナリズム

安倍元首相が亡くなった痛ましい事件は、中国で意外な動きを引き起こしたようです。中国出身で日本在住の作家として活動する黄文葦さんは、メルマガ『黄文葦の日中楽話』の中で、今回の事件が中国でどのように扱われ、中国人の中にどのような感情を起こしたのかを語っています。

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刺殺事件は、中国人の反日ナショナリズムを引き起こした

中国でも、安倍元首相は中国に友好的な日本政治家と反中国的な日本人という正反対の認識が存在する。注目すべきは、安倍元首相を好意的に評価している中国人の多くが知識人であることだ。

一部の「愛国心」以外の思考を持たない中国ネット民が安倍元首相を日本の右翼扱いして、安倍元首相は中国の敵だと言う。また、安倍元首相の逝去を祝う非人間的で愚かな人々もいる。彼らの言動を見て、今まで対日観を含める中国の教育は、何かが大きく間違っていると言わざるを得ない。

中国人の中には、イデオロギーからの影響を受け、安倍元首相が憲法改正を望んでいた、靖国神社に参拝したので、「右翼だ」と批判する人が大勢いる。このような見方は一面的であり、過激ですらある。中国人は、相手の立場に立って物事を見ることを学ぶべきだろう。右翼に対する認識も変える必要がある。右翼には急進派と穏健派がいる。

日中関係において、日本の政治家が日本を愛し、日本の立場から発言することは当然である。安倍元首相の政治的スタンスは右寄りのようだが、確かによく日本の利益を考えてくれていた。それは日本の政治家にとっては使命である。しかし、一部の中国人はこの常識を全く認識できないようだ。

現在、中国の反日・反米の感情は、過激、偏執的になりつつある。安倍元首相の刺殺事件は、一部の中国人の反日ナショナリズムを引き起こした。そのような非理性的な状態は、かえって国際社会に悪印象を与え、中国の利益を損ない、外交にも影響を及ぼすことになる。

隣国の不幸事件を喜んでいる人が多いことは、日本だけでなく、国際社会で反感を買うことになるはずだ。海外世論に関するメンタリティーの未熟さ、甘さを反映していると思う。中国政府がこの状態を無視すれば、中国の国際的なイメージに再び悪い影響を与えることになる。

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【関連】「あなたは中国人でしょ?」中国人が日本で遭遇した“さりげない差別”

安倍元首相に関する個人的な記憶

当方にとっては、安倍元首相は真の愛国者であり、日本のために力を尽くしたといえる。中国に対しては、友好的に礼儀正しくしてくれた。いい顔をしない中国のリーダーと握手したときも、顔色を変えず、笑顔で応えた。

第1次安倍政権が誕生して間もない2006年10月、安倍元首相が電撃訪中した。それを契機に、日中の間に、「戦略的互恵関係」が築き上げられた。それ以前に、多くの中国人が安倍晋三を「右翼」と見なしていた。「右翼」が敢えて中国へ「破氷之旅(氷を砕く旅)をした。日中の間の氷山を打ち切ってくれた。当時、多くの中国人が驚きと面白さを感じていたという。政治家が「ギャップ」と「矛盾」を示すのに一種の寛容だと思われる。

2005年ある日のことを思い出した。その頃、中国は反日デモの最中であり、朝ニュース番組に自民党幹事長代理だった安倍総理が出ていた。その手で持っている一枚の紙に大変驚いた。それは中国語新聞に載せている署名「黄文葦」の記事のコピー、「過激なナショナリズムを煽ってはいけない」というタイトルがはっきり見えた。その記事は中国の反日デモを反対するという主旨であった。

その時、安倍元首相が記事の主旨を同意してくださったと思った。自分の言論がこの世と繋がった、という感じた瞬間であった。無名な外国人記者の記事をテレビで紹介すること、気楽・寛容的な人だと感じた。これは安倍元首相に対する個人記憶である。

因みに、在日中国人には、安倍元首相に感謝の気持ちを抱いている。在日中国人の中には、安倍元首相と日本政府への感謝の気持ちをSNSに書き込んでいる人もいる。大病を患ったときは日本政府から補助金をもらい、この2年間はコロナ感染拡大で経営が苦しくなり、政府から資金援助をしてもらった。外国人に対する差別はなく、日本人の社会福祉を在日外国人が享受しているということ。

特に、安倍元首相について、特に印象的なシーンは、地震被災地を訪問する際、被災したおばあちゃんの前でひざまずいて話し合っている姿である。

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(『黄文葦の日中楽話』2022年7月18日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

image by:KenSoftTH / Shutterstock.com

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在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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