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尹錫悦、お前もか。結局韓国大統領は文在寅と同じ道を辿るのか

このままでは尹錫悦はやばいことになる─。就任から数ヶ月でそう思わせてしまうほど、韓国大統領の支持率が落ち込んでいます。今回のメルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、 その理由と今後の見解、対策を語っています。

尹錫悦の敵はユン・ソンニョルだ

このところ尹錫悦のやることがちょっとおかしい。自分の縁故を誰憚ることなく大統領室に採用したり、まるで文在寅政府をまた見ているような錯覚に陥るほどだ。このままでは尹錫悦はやばいことになる。文化日報にこれを警告するコラムが出ていた。以下がそれ。

そもそも世論は気まぐれだ。最近は世論調査の信頼性も墜落した。それでも世論調査は民心を読み取る便利で重要な尺度だ。尹錫悦大統領の国政遂行「肯定評価」が就任2か月ぶりに30%台に落ちたという調査が続く(連続して30%台だ)。

さらに注目されるのは、40%を上下する与党(国民の力党)支持率より低く出ている調査結果だ。もちろん世論調査は国政目的地ではなく当面の民心地形を示すため、一喜一憂したり左右される必要はない。世論の風向きに逆らわなければならない時もある。しかし、「念頭に置かない」という考えは間違っている。

尹大統領の支持度が「国民の力」より低いということは、保守性向国民の間で失望が大きくなったという意味だ。保守支持層は、「この5年間で崩れた法治の回復、断固たる自由民主主義守護措置を期待したが、あまり信頼できない」と背を向ける。

大統領室龍山移転と出勤途中の記者団との問答程度が目につくが、「ユンヘッカン(尹核幹=尹を慕う核心幹部たち)」のみっともない行動やキム・ゴンヒ女史の諸々の噂がそんなこともみな相殺してしまった。それでも尹大統領には不幸中の幸いだ。国政失敗ではなく、支持層の不満のため回復が可能だからだ。

初期の苦労は薬になることもある。世界の政治史を見ても、政権初期に困難を経験した偉大な指導者が多い。マーガレット・サッチャーは労働・財政改革を推進して支持率が18%まで下がった。フォークランド戦争がなかったら議院内閣制なので、すぐに追い出されたかもしれない。

ナルド・レーガンも減税と財政緊縮、スター・ウォーズ(米国の戦略防衛構想のことで、衛星軌道上にミサイル衛星やレーザー衛星、早期警戒衛星などを配備、それらと地上の迎撃システムが連携して敵国の大陸間弾道弾を各飛翔段階で迎撃、撃墜し、アメリカ合衆国本土への被害を最小限に留めることを目的にした戦略)などを推し進め、与党だけでなく自分の娘まで反対する抵抗に直面した。

それでも英国病・米国病の治癒のためには「この道しかない(TINA、There is no alternative)」としてひるまなかった。レーガンは生前に首都ワシントンに自分の名前のついた空港が作られ、サッチャーも生前に自分の銅像が英国議事堂に建てられる初めての記録を残した。

尹大統領は悔しいだろう。最近の経済危機は自分の過ちのせいではなく、グローバル要因に文在寅政府の失政が重なった結果であるためだ。

前政権が犯した脱原発、所得主導成長、財政蕩尽、働き口作りと称した税金の無駄遣い、不動産価格暴騰、地域・世代間の分裂、現金散布などの後始末をするのに汲々としている。しかし国民は知っている。ここに答えがある。

支持率の暴落は電気料金や食品価格の上昇に対する不満ではない。野党の挑戦やマスコミの批判も、まだ脅威的ではない。人事(文在寅時代と同じような縁故人脈の採用)やコミュニケーション問題(人の言うことを聞かない)のためだ。今、尹錫悦の敵はユン・ソンニョルだ。

問題の根が尹大統領自身にあるという事実さえ認めれば、すぐに正すことができる。直ちに傾聴と疎通の姿勢から始めねばならない。それで国政支持率を上げてこそ年金・公共・労働・教育・金融など5大部門構造改革も始めることができる。

一つだけ成し遂げても成功した大統領に仲間入りするには難しい。改革に対する反発は即刻的だが、効果は退任後に現れるからだ。緻密な実行戦略と国民の説得がなければ成功できない。

ノーベル文学賞を受賞したウィンストン・チャーチルさえ、国民をより説得できる「単語一つ」でも多く探すために多くの夜を明かした。

そして謙虚な姿勢で「大きな政治」を学ばなければならない。検察総長と大統領業務の特性はボクシングとサッカーほど違う。いくら卓越したボクシングチャンピオンでも、1年でメッシのような技量を身につけて発揮することはできない。

幸い、2年近く大きな選挙がない。野党も「オデミョン(どうせ代表は李在明という意味で=その心は、民主党の代表に李在明は出馬するなという党内の意見がかなりあるが、出馬すればどうせこいつが代表になるし、という民主党内の内部矛盾を表現したことば)」気流から見て、内部紛乱にエネルギーを消耗する可能性が高い。

尹錫悦は汝矣島政治(日本で言えば永田町政治)に携わってこなかったため、政派を越えた大道無門政治(太っ腹で器量のでかい政治)ができる。

最も良い方法は各界の元老たちに「課外授業」を受けることだ。写真撮影用に呼び集めるのではなく、与野党を超えて随時数人ずつ招待してマッコリを一杯飲みながら知恵を学び、借りればいい。

政治的野心と無関係な元老たちには国家のための衷情と老摩地誌がある。険しい時期を経て今日の大韓民国を築き上げただけに、実力も最近の政治家よりかなりある。何かのポストを要求することもない。

授業料なしで学ぶことができ、それ自体で世間に肯定的なメッセージを送ることになる。

野党関係者にたくさん会った方がいい。民主労総とも対話を回避する理由はない。考えが違っても野党がむやみに食い下がっても、傾聴し説得しなければならない。

それが民主国家指導者の宿命であり、成功する指導者の道に向かう出発点だ。(文化日報イ・ヨンシクコラムより)

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年7月18日号)

image by:尹錫悦 - Home | Facebook

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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