父方が天皇の血を引く男子のみにしか皇位継承を認めないとする男系固執派ですが、その主な論客と旧統一教会との関係が明らかになってしまったようです。今回のメルマガ『小林よしのりライジング』では、『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』等の人気作品でお馴染みの漫画家・小林よしのりさんが、自らが呼びかけたネット上での「論破祭り」で判明した、男系派識者の多くが旧統一教会系の団体で講演をしていたという事実を紹介。さらに無意味な反共のためなら旧統一教会とも組み、自虐史観でさえ許すという自民党・保守派・ネトウヨらを厳しく批判しています。
この記事の著者・小林よしのりさんのメルマガ
よーしゃなき【論破祭り】男系固執派の保守層は統一協会と関係か?
皇統の男系派に対する「論破祭り」が、ものすごい盛り上がりとなっている。
8月12日、『男系固執派の「論破祭り」をせよ!』と題してわしが書いたブログがその出発点で、ここにその理念が凝縮されているので、改めて全文掲載しておこう。
8月7日放送の「そこまで言って委員会NP」の議論内容を「論破祭り」せよという指令を総合Pに出した。
笹さんにも言っておいたが、とことん「論破祭り」をやってくれ!
実名を出して論破するんだ。倉田真由美、山口真由なども容赦せずにガンガンやってほしい。
我々は今まで「常識と論理」で戦おうとしてきた。
それで何が変わった?
男系固執派には「常識と論理」がないが、「狂気」がある。
女系公認派には「常識と論理」があるが、「狂気」がない。
そこがダメなんだ!
戦いは常識ある一般国民とではない。
敵は一部の男系固執派なのだ。
メーリスでも論破祭りをせよ!
「愛子天皇サイト」でも論破祭りせよ!
『小林よしのりライジング』でも論破祭りする。
笹幸恵さんはブログで論破祭り、泉美木蘭さんと「淑女我報」で論破祭りせよ!
答えがいくらでも重なってもいい。
人によってどうせ語り口は違うんだ。
大衆に届く簡潔な解答の方がいい。
これを「東海ゴー宣道場」につなげる。
「論破祭り」「論破祭り」「論破祭り」「論破祭り」だ!
男系派はどんな人間であろうと、どんなデタラメな意見だろうと発言をしているから、全体としては「マイノリティー」にすぎないはずなのに、非常に「ノイジー」な存在となっている。
それに対して我々は、皇室に関わることなのだから節度をもって行動しようという意識があったものだから、「マジョリティー」であるにもかかわらず、「サイレント」な状態になっていた。
それでゴー宣道場では高森明勅氏が「サイレント・マジョリティー」から「ボーカル・マジョリティー」になろうと呼びかけ、昨年の衆院選や先月の参院選の選挙期間中には、候補者に対して「愛子天皇をお願いします!」と陳情する運動が、前例のない規模で行われた。
それは確かに意義があっただろうが、しかしこれもまた非常に節度を保った範囲内の運動であり、しかも今後2年以上は国政選挙も行われない。
ノイジー・マイノリティーの男系派に打ち勝つには、ここでもうひとつ殻を破る必要があったのである。
これまで女系公認派は、表立って発言して男系派と戦う人が高森明勅氏とわしくらいしかいない。「多勢に無勢」という思いをしていた。
だからこそ、「オドレら正気か?」の小規模の「巡業」を増やして、論客として戦える人材を発掘していくしかないとわしは考えていた。
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ところが、「狂気」を解放して男系派を論破せよとブログで呼びかけただけで、これほどの動きが起こるとは思ってもみなかった。
みんな常識と節度を保って発言を控えていただけで、本当は男系派の暴論・珍論の数々に反論したくてうずうずしていたようだ。
そしていざ反論を開始してみたら、みんなそれぞれに勉強していたから、たちまち男系派を圧倒し始めてしまったのだ。
男系固執派は数がいるように見えても、誰も自分の頭では考えておらず、同じ紋切り型の言葉を全員で繰り返しているだけなのに対して、女系公認派はそれぞれが自分の頭で考え、それぞれ自分の言葉で論破している。
わしは一夜にして幾万の味方を得たような気分だった。
そしてもうひとつ、「論破祭り」によって男系派の驚くべき実態が次々と晒されるようになったのも、非常に意義のあることだ。
中でも特に重大な問題が「統一教会」との関係で、驚くべきことに、男系派の主な論客はみんな統一教会系の団体で講演をしていたことが明らかにされた。新田均、櫻井よしこ、八木秀次、中西輝政、大原康男、竹内久美子、小川榮太郎、渡部昇一、そしてもちろん、竹田恒泰もだ。そして、保守系と言われる論壇誌も揃って統一協会の広告塔になっていた。
それだったら「保守派」がみんな男尊女卑になっていたのは当然だといえる。統一協会の教義が男尊女卑そのものなのだから。
統一協会の教義では、韓国が「アダム国」、日本が「エバ国」で、エバの日本はひたすらアダム・韓国に仕え、お金を貢がなければならないことになっている。
そして「合同結婚式」では、日本人の女は韓国人の一番劣等な男に嫁がされて、奴隷のような扱いをされているのだ。
保守系とされる連中は全員もともと男尊女卑の願望を持っており、その下地があるから、統一協会がどんなに男尊女卑の言動をしていようと、一切違和感を持たないのだろう。
だが、統一協会の教義においては、日本は「サタン国家」であり、韓国を植民地化した贖罪のために献金をしなければならないということにもなっている。
これは、「自虐史観の克服」を唱えているはずの保守派にとっては決して相容れないはずの歴史観であるのに、保守派がこの教義に対して何らの怒りも持たず、全く反応を示そうともしないのは、完全におかしい。
これは致命的な矛盾であり、一切正当化することが不可能だから、ダンマリを決め込む以外にないのである。
一方、統一協会と戦ってきたジャーナリスト・有田芳生氏と、わしのツーショット写真を、アンチがツイッターで拡散しているという情報も入ってきた。
沖縄の米軍基地に反対している有田氏と並んで写っているということで、「小林は有田と同じ、反基地の左翼だ!」とか言ってるらしい。
ところが、実は「反基地」への攻撃も統一協会の主張なのだ。
統一協会系の政治団体「国際勝共連合」の機関紙「思想新聞」では1996年には、沖縄の反基地運動に「過激派や県外からの左翼運動家が暗躍」しているという、現在のネトウヨの定番となっている主張を書き立てている。
同様に、「脱原発」も「思想新聞」は攻撃の対象としており、1989年の紙面には反原発運動を誹謗する記事が載り、福島第一原発事故以降は原発推進の主張を繰り返しているという。
その他、「夫婦別姓反対」だの「LGBTの権利拡大反対」だの、意味のわからない「伝統的家族観」だの、自民党・ネトウヨが主張していることは、統一協会が言っていることばっかりなのである。
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安倍晋三の祖父・岸信介が統一協会と結託した1960年代は、共産主義の脅威があったから「反共」で手を組んだのもやむを得なかったという見方もある。
だが、仮にそれが正しいとしても、現在において日本が共産化されるという脅威を感じている人など、どこにもいないはずだ。
もうイデオロギー闘争ではないから、反共は関係ない。中国やロシアですら、今や実質的には共産主義を捨てており、中国・ロシアとの戦いは共産主義との戦いではなく、「独裁権威主義」との戦いになっているわけで、現代において統一協会との協調点など、どこにもないのだ。
ところが保守派という連中は、今なお「反共」で統一協会と組んでいる。男女平等も、夫婦別姓、同性婚、反基地、脱原発も、全て日本共産党が賛成していることだから、共産党を敵として「反共」を掲げることで、辛うじて成立しているかのような形になっているのだ。
言ってみれば、共産党がいてくれるおかげで存在意義が維持できているようなものなのであり、統一協会は共産党に感謝すべきだろう。
そこまで無意味な「反共」のために統一協会と組み、「反共」であれば自虐史観でさえ許すという、転倒しまくっている連中が自民党・保守派・ネトウヨなのである。
「論破祭り」をやったおかげでいろんな情報がもたらされて、自称保守知識人・論壇から自民党・安倍政権まで全てがペテンで、統一協会と完全につるんでいたことが明らかになった。
安倍晋三が統一協会とベッタリの関係だったから、その子分の萩生田光一も安心して統一協会と「ファミリー」になっていたのだろうし、安倍の肝煎りで擁立した生稲晃子を落選させるわけにはいかないと、協会施設に連れて行ったのだろう。
その統一協会が何をやっている団体なのかということに、少しでも心を動かされることはなかったのだろうか?
わしは叔母が洗脳された被害者そのものの立場で、奪還作業までやったから、統一協会が「悪」だということが明確に分かっている。そして、そんな悪魔と平気で手を握れる奴がいるということがとても信じられない。
統一協会信者の家族などの被害者が語る惨状を聞けば、誰だって協会に対する憎悪を持つはずだ。
自民党の奴らには、なぜその憎悪が全く湧かないのか?もはや、人の心を失っているとしか思えない。票のために人の心を捨てた「餓鬼」と化しているのだ。
日本の自称保守はほとんどが統一協会である。
特に八木秀次は若い頃から頻繁に講演したりインタビューを受けたりしているのだから、これも「ファミリー」みたいなものだ。もはや、八木が統一協会を男系派に洗脳したのではなく、八木が統一協会の思想に洗脳されていたのだとしか思えない。
男系を唱えているネトウヨも、本当にそれがネットでウヨク気味のことを言っている一般人なのかどうかは分かったものじゃない。実際は「ネトウヨ=統一協会信者」だろう。あるいは、知らず知らずのうちに統一協会に洗脳されている者もいるだろう。
論破祭りと、安倍晋三殺害事件から注目されるようになった統一協会問題が奇妙にドッキングして、情報が次々明らかになっていき、男系固執派と統一協会はしっかりタッグを組んでいて、ほとんど一心同体になっているということまであぶり出されてしまった。
これはすごい功績であり、「論破祭り」は革命的な運動だったということになる。
今までわしは、男系固執派の中には極左が潜んでいると思っていたし、実際に極左もいるのだろうが、実は男系派を支配していたのは反日カルトだったのだ。
極左は、男系に固執すれば皇統は滅びるということが分かっていて全く自覚的にやっているはずだが、反日カルトもきっと同様であろう。
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だからこれからはもう、男系固執を唱えている者には「この統一協会め!」「統一協会の手先!」「統一協会、出て行け!」と、それだけ言ってやればいい。
本当は、統一協会とは関わりなく保守派に影響されただけのネトウヨかもしれないが、そんなことを気にする必要はない。誰だろうが「男系固執派=統一協会」と、レッテルを貼ってしまえばいいのだ。
これからは無名のザコがからんで来たら、「統一協会出てけ!」の一言を、言いさえすれば済む。
その相手が本当は統一協会信者ではないかもしれないとか、レッテル貼りはよくないとかいって躊躇するのでは、まだ狂気が足りない。向こうはこれまで我々に、何の根拠もないレッテル貼りでも誹謗中傷でも何でもやってきたのだ。それに対してこっちのレッテル貼りにはちゃんと根拠があるのだから、「統一協会、去れ!」と言っていいのだ。
これからは「統一協会め!」と言えば済むんだから、本当に叩きやすくなったのに、それすらやらないようなお行儀の良さでは、男系派の狂気には到底勝てない。
できれば無名のザコより、もっと右派論壇誌で有名な男系論客に対して、全員で総攻撃してもらいたい。
いや、もちろん話題になっているテレビ番組で、倉田真由美や、山口真由のような「有名な」馬鹿が男系を唱えていれば、イジメ倒してやるのはやぶさかではない。面白がろうじゃないか。
「狂気」がなければ、本当に狂った馬鹿や、反日カルト・統一協会には勝てない!
年中ヒートアップしてるわけにもいくまいが、燃料が投下されたら忽ち襲撃して「論破祭り」を開始する覚悟は持っておいてくれ。(『小林よしのりライジング』2022年8月23日号より一部抜粋・文中敬称略)
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