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Large raw onions in a box on a wooden background. Design concept. View from above.

玉ねぎしか勝たん。目的地にしたくなる「道の駅」驚きマーケティング法

日本各地で見かける、地元の物産品などを扱う「道の駅」。その規模や中身はさまざまですが、本来は「ただの休憩所やお土産屋」として使用されることの多い道の駅が「目的地」と化している場所があります。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、 その驚きのマーケティング方法を紹介しています。

休憩所から目的地へと変貌した道の駅。その秘密は、徹底した“玉ねぎ推し”!

淡路島・鳴門海峡のうず潮を見下ろす地に、「道の駅うずしお」はあります。うず潮観光に来た人たちに、淡路島の魅力を伝える施設としてオープンしました。地元の海産物や農産物、お土産などを販売する他、魚介類や野菜を使ったご当地グルメを食べることもできます。

こうした紹介だけでは、他の道の駅と何ら変わりがないように思えますが、ここはひと味ふた味違っているのです。正直、ダサいと言っても良いようなテーマを掲げ、それを徹底することで、大きな集客に成功しているのです。

“玉ねぎ推し”。淡路島の名産です。施設全体で、これでもかと言わんばかりに、玉ねぎを活用しています。

施設に近づくと、まず目に飛び込んでくるのが、「おっ玉チェア」と呼ばれる、オブジェ風のベンチ。中が空洞になった玉ねぎに座り、写真を撮るためのものです。

次に見えるのが、「玉ねぎツリー」。なぜか、玉ねぎがたくさん成っている木が立っています。

かき氷のキッチンカーも玉ねぎのカタチです。中に入ると、そこに並んでいるのは、「玉ねぎまるごとカレー」「玉ねぎポテトチップス」「玉ねぎせんべい」「玉ねぎのわさび和え」「玉ねぎ棒(うまい棒のようなもの)」「玉ねぎ柚子胡椒」「玉ねぎぞうすい」「食べる玉ねぎラー油」「玉ねぎ塩こしょう」「玉ねぎ七味」「玉ねぎステーキソース」「玉ねぎわさびドレッシング」などなど。玉ねぎだらけに圧倒されます。

また、レストランでは、他店で絶対に見掛けることのないメニューと出逢えます。「オニオンスライス」「オニオンステーキ」「蒸した玉ねぎのだし漬け」などが味わえます。

この施設でもっとも行列になっているのが、「あわじ島オニオンビーフバーガー」を販売するお店です。ご当地ハンバーガーランキング第1位になったこともあり、これだけを食べに来る人もいるほどです。

バンズの上に、レタスと「玉ねぎスライス」をのせ、さらに、「玉ねぎピクルス」「オニオンチップ」「玉ねぎカツ」、その上に甘辛く煮た淡路牛をのせ、仕上げに玉ねぎ入りトマトソースを掛けて、バンズをかぶせます。

5種の玉ねぎを使うという、徹底ぶりがお見事です。

かなり評判は良く、リピーターもたくさんいます。

ここで販売しているものの中で、特異と言うのか、笑いを取るためだけに売っているのではないかという商品があります。ソフトクリームのコーンに、生のまるごと玉ねぎをのせただけのものです。

「おっタマげ!ソフト(ハード?)」。ソフトクリームに見立てた玉ねぎです。SNS用として販売しています。

遊び心ですね。

この施設のすぐ近くに、姉妹施設の「うずの丘 大鳴門橋記念館」があります。ここでも、“玉ねぎ推し”でグイグイと迫ってきます。

まず笑ってしまうのが、「玉ねぎカツラ」。玉ねぎのカタチをしたカツラを貸し出していて、それをかぶり、外に設置された大きな玉ねぎオブジェの前で写真を撮るのです。こちらもSNS用フォトスポットです。

次に、「ストリート玉ねぎピアノ」があります。玉ねぎ模様のピアノに、玉ねぎ型椅子が置かれていて、誰でも弾くことができます。

そして、行列になっているのが、「玉ねぎキャッチャー」。玉ねぎを取るクレーンゲームで、玉ねぎをゲットすると、玉ねぎ1.2キロ分がもらえます。

ここまで“玉ねぎ”を推してくるのは、勇気のいることですし、かなりユニークだと言えます。

海のすぐ横なので、海鮮でアピールするのがセオリーなのかもしれません。しかし、敢えて地味な“玉ねぎ”で勝負を仕掛けています。それがかえって注目を浴びることとなり、大成功へと繋がっています。

私が感心するのは、徹底していること。あれもこれもとアピールすることなく、玉ねぎ一本。なかなかできることではありません。

その英断に拍手を送ります。素晴らしいアイデアです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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