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実は“隠れファン”も存在する?岸田首相を支持している人々の正体

10月4日で発足から1年を迎えるも、目立った功績は何ひとつないという厳しい見方もある岸田政権。このような状況にあっても、首相を支持する有権者は一定数存在します。一体どのような層が岸田首相を評価しているのでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では著者でジャーナリストの伊東森さんが、そんな疑問を深掘り。さらに首相が原発の再稼働と新増設に拘る理由を考察しています。

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岸田政権発足から1年 誰が岸田首相を支持しているのか 新しい資本主義をめぐる虚構

岸田政権発足から1年が経過した。ただ共同通信が行った世論調査によると、内閣支持率の低迷がつづく。

自民党内では、安倍晋三元首相の国葬後、政権支持率は「復調する」との考えもあったようだが、どうやらその思惑は外れたようだ。

岸田文雄首相は9月27日の国葬参列のために来日した38の国などの要人と相次ぎ会談。「弔問外交」を見せ場として支持回復を狙った。

さらに自民党内では菅義偉前首相の弔辞も好評だったようだが(*1)、世論調査では「どちらかといえば」を含め、開催を「評価しない」が計61.9%と、国葬前の前回(9月17、18日調査)と横ばい傾向がつづく。

支持率下落は、旧統一教会問題のためだとの見方が濃厚。公明党の山口那津男代表は、

「自民の説明が十分でない、後手に回っているとの印象が厳しい評価につながっている」(*2)

と指摘する。

内閣不支持についての理由では、

「経済政策に期待が持てない」

とする回答が前回の26.7%から36.1%にまで上昇。相次ぐ食品や電気代の値上げが影響している可能性も。さらに自民党自体の支持率も、前回の39.3%から34.0%にまで下落。

自民党内の若手からは、

「警戒しないといけない事態だ」(*3)

との声も。

目次

誰が岸田首相を支持しているのか

しかしながら、「岸田首相を支持する人」というのは、一定程度存在する。実のところ、「隠れトランプ」ならぬ「隠れ岸田」ファンという人が結構、存在するという(*4)。

岸田首相は、トランプ大統領や、あるいはあまりにも“悪役”過ぎた菅前首相や安倍元首相と比べても、“没個性的”。しかしながら、「そういう」ところが好きと“密かに”思っている支持層はある程度、存在する。

ただ、実のところ岸田首相は「女性人気」が高い(*5)。岸田内閣の4月の支持率は、男性54%、女性55%。しかし言い換えれば「嫌われない」ところが魅力である、「広くて薄い」好感度があるようだ。

さらにいえば、岸田首相の魅力は、相手に対する圧倒的な「戦意喪失促進能力」であるという。

「岸田さんがすごいのは『戦意喪失促進力』だ。野党の立場からすると、安倍さんや菅さんはこちらに向かってファイティングポーズをとってくるから、こっちもついつい戦意に火がついて殴り合いがおこりやすい。だけど岸田さんは違う」(*6)

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新しい資本主義をめぐる虚構

岸田首相といえば、「新しい資本主義」がその政策の中核をなす。そのコンセプトとは、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」だそうだ。しかし、それを意味するものは全くもって意味不明。

とくに岸田首相は、その新しい資本主義の意味するところのひとつとして「新自由主義からの転換」との言葉を使うが、しかしそもそも日本の歴史上、“本当に”新自由主義政策”が取られたことは一度もない。

むしろ、新自由主義政策を取り、「ダメな企業」にはさっさとご退場させてよかったのが、むしろ日本では不況期を生き抜いた「ゾンビ企業」がウヨウヨいる。

ゾンビ企業とは、健全な経営状況ではないにもかかわらず、銀行などから資金的な援助を受けることでなんとか市場で生き延びている企業のこと。

むしろ日本では、このゾンビ企業が多数存在し、市場経済の新陳代謝が阻害されていることのほうが、問題だろう。

そもそも、わざわざ“新しい”という枕詞を用いなくても、日本ではすぐにでも“まともな”資本主義政策と社会政策が求められる。

それはすなわち、教育と福祉と医療に国家がまともにカネをかけ、まともな雇用の創出と就労支援の両輪を柱にし、企業と人間とを天秤にかけるなら、「替えの効かない」人間を常に選択し、ダメな企業にはさっさと潰れてもらうことだ。

なぜ原発の再稼働・新増設に固執するのか

岸田首相は、かつてらの自身の政策の“目玉”であった原発の再稼働と新増設はやめるつもりはないらしい。

そもそも岸田首相の背後には、多額の交付金やOBの天下りなど“原発利権”を死守しようとする経済産業官僚が存在。

首相秘書官の嶋田隆(旧通商産業省、元経産事務次官)や内閣官房参与の今井尚哉(元安倍晋三首相秘書官)らが控えている。

しかし現在の日本のエネルギー危機は、自民党の完全な失政だ。 2011年の福島第一原発事故で日本中の原発が停止した結果、日本は世界と逆行し、化石燃料によりエネルギーの大半を賄わざるを得なかった。

ところが日本は原発事故から11年たった今も、エネルギーの化石依存を解消できないでいる。現在もエネルギーの約7割を化石燃料に頼り、再生エネルギーのシェアは2割にとどまっているのが現状だ。

一方、ドイツは2030年にはエネルギーの80%を、デンマークにいたっては100%を再生可能エネルギーで賄う計画を立てている。

さらに問題なのはエネルギー自給率の低さ。日本は一次エネルギーの自給率が12.1%にとどまっており、これは先進国中最低レベル。

アメリカやカナダのエネルギー自給率が100%を越えているのは別格だとしても、イギリスやフランスでも自給率は軒並み5割を越えている。

引用・参考文献

(*1)西日本新聞 2022年10月10日付朝刊

(*2)西日本新聞 2022年10月10日

(*3)西日本新聞 2022年10月10日

(*4) 朝比奈 一郎「『何もしていない』岸田内閣、なぜ高支持率を維持できているのか https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70426」JBpress 2022年10月12日

(*5)「『嫌われない』岸田内閣 広く薄い好感 経済政策がアキレス腱か https://digital.asahi.com/articles/ASQ4Q44N5Q4KUZPS016.html」朝日新聞DIGITAL 2022年4月23日

(*6)朝日新聞DIGITAL 2022年4月23日

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年10月16日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

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image by: 首相官邸

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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