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The missiles are aimed at the sky at sunset. Nuclear bomb, chemical weapons, missile defense, a system of salvo fire.

「核を使えば北朝鮮は滅びる」同時多発的脅威に怒りを露わにした米国

中国、ロシア、北朝鮮、イランの同時多発的な脅威に直面している国際情勢。米国はその対策として、いくつかの報告書を発表しました。その「内容」について、韓国在住歴30年を超える日本人著者が発行するメルマガ『 キムチパワー 』で詳しく解説しています。  

北の核使用は即ち北の終焉

米国防総省が27日(現地時間)、同時発表した「国防戦略報告書(NDS)」と「核態勢検討報告書(NPR)」、「ミサイル防衛検討報告書(MDR)」には、中国・ロシア・北朝鮮・イランの同時多発的脅威の中で、時々刻々変化する安保環境に対応しなければならない米国の苦悩と対策が盛り込まれている。

国防戦略報告書NDSで米国防総省は中国を「戦略的競争者」と規定し「米国の国家安保に最も包括的で深刻な挑戦はインド・太平洋地域と国際体制を自国国益と独裁的選好に合わせようとする中国の強圧的でますます攻撃的な試み」と評価した。

続いてロシアを「即時脅威」、北朝鮮・イランと暴力的極端主義団体を「持続的脅威」と挙げた。特に北朝鮮の核問題と関連しては、「核兵器を使用する場合、金正恩政権に恐ろしい結果があるという点を明確にしなければならない」とし、「米国またはその同盟・パートナーに対する北朝鮮のいかなる核攻撃も容認できず、これは金正恩政権の終末を意味する」と釘を刺した。「金正恩政権が核兵器を使用しても生き残れるシナリオはない」と断固たる口調で述べている。

核態勢とミサイル防衛検討報告書で、米国はこのような脅威を抑止・撃退する根幹は依然として「核戦力」であることを明確にした。戦略的脅威抑止、同盟・パートナーの安保保障、抑止失敗時の米国の目標達成という3つの目的では核兵器を使用することもありうると規定したものだ。

これには核兵器なしに進化する中国とロシアの脅威を防ぐことはできないという現実的な判断が大きく作用した。米国防総省当局者は「今後、我々は史上初めてロシアと中国という2つの核武装したライバルを抑止しなければならず、これは戦略的抑止と局地的戦争遂行の両方に新たなジレンマをもたらす」とし「このような背景の下、NPRでは核兵器の根本的役割は核攻撃を抑止することだという結論を下した」と述べた。

MDRで米国防総省は「地上基盤の外気圏防御(GMD)は、ロシアと中国が空中や海上で発射する精巧な大型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を迎撃するために作られたものではなく、その能力もない」とし、異例的にGMDでは中国とロシアを相手にできないという点を認めた。

このような脅威に対応する上で、米国は戦略的抑止、すなわち核兵器に依存せざるを得ないという話だ。GMDは、敵が発射したICBM(大陸間弾道ミサイル)が米本土に向かって飛んでくる時、中間段階でアラスカやカリフォルニアなどの地上に配置された迎撃ミサイルで、これを撃墜する防御システムだ。

これを受け、バイデン政権が一時採択を検討した「核先制不使用(NoFirstUse)」政策はきれいに放棄した。「米本土が直接核攻撃を受けない限り、先に核兵器を使用しない」と宣言した場合、同盟・パートナーに対するリスクが「容認できない水準」に達すると結論付けたのだ。敵国の核攻撃に対する抑止と報復目的にのみ核兵器を使用する「単一目的(SolePurpose)」政策もバイデン大統領の大統領選挙公約だったが、同じ理由で今回採択されなかった。

インド・太平洋地域ではむしろ米国の核兵器の役割が大きくなる様相だ。NPRで米国防総省はインド・太平洋地域の核抑止について「中国、北朝鮮、ロシアの核・ミサイル開発について漸増する憂慮を認識している」とした。このため、「より強い拡張抑制(核の傘)」が必要だとし、「米国は域内の核問題を抑止するのに適した柔軟な核戦力を引き続き展開する」と明らかにした。続いて「柔軟な核戦力」には「戦略爆撃機、弾道ミサイル発射戦略潜水艦、(核と通常攻撃がすべて可能な)二重用途戦闘機と核兵器の地域的、世界的前進配備」が含まれると述べた。北朝鮮と中国の核脅威に対抗して戦略資産を前進配置するという意味だ。

中国共産党総書記3連任を決めた習近平主席が台湾の武力統一を試みる憂慮が高まっている中、NDSは「国防総省は米国の『一つの中国』政策に符合しながらも進化する中国の脅威に比例する非対称的(台湾)防御を支援する」と述べた。「非対称的」という表現で核の傘の提供を暗示したと見ることができる。

北朝鮮の核・ミサイルに対する対応策として、米国防総省は「次世代迎撃機(NGI)開発などミサイル防衛の強化」と「直接的な代価賦課」を取り上げた。MDRで米国防総省は「米本土に対する北朝鮮の弾道ミサイル脅威は進化し続けている」とし「GMD力量と信頼性を改善する」と述べた。究極的には、現在米本土に配備されている地上基盤迎撃ミサイルに代わる次世代迎撃機を開発し、「核と非核(non-nuclear)手段を通じて直接代価を課すという信頼できる脅威」でこれを補完するという戦略だ。

合わせて「この10年にわたって韓国、日本、オーストラリアなどと樹立した拡張抑制対話を土台に協議強化のための実用的な措置を識別する」とし危機管理協議のための高位級会議定例化などを提案している。

特に韓・米・日の三者またはオーストラリアを含む四者情報共有および対話機会を模索しなければならないとNDSは力説している。これらの対話を通じて議論された内容をオーダーメード型抑制戦略および作戦計画開発に反映しなければならないという説明だ。

一方、今回のMDRで米国防総省は、従来のミサイル防衛システムでは探知すらできない極超音速兵器と無人機に対する憂慮も表明し、このような脅威に対応するための新しいセンサー開発、同盟間の協力も強調している。

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年10月29日号)

image by: Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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