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近づく破滅。ウクライナ危機を教訓に台湾有事に備え始めた日本企業

10月に行われた中国共産党第20回全国代表大会で、台湾統一のためには武力を行使することも厭わない姿勢をはっきりと口にした習近平総書記。もはや台湾有事は避けられない状況になりつつあると言っても過言ではありませんが、企業の間でも緊張が高まっているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、台湾で事業を展開中の日本企業が「その時」に向けて進める対策を、新聞記事を引く形で紹介。さらに日台両政府に対しては、有事への備えを迅速に開始すべきと強く訴えています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年11月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。 

日本企業も台湾有事に備え始めた

台湾有事に進出企業の半数が対応策 50社調査、備え拡大

中国共産党大会が終わり、習近平の続投が決定し、習近平の独裁化の色がより濃くなってきてから、「台湾有事」の声がより高くなってきています。

日経新聞電子版の記事は、台湾に進出している日本企業が、台湾有事に備えて様々な準備をしていると報じています。例えば、

駐在員とその家族全員が、日本にいつでも帰国できるように150人分の予約リストを作成した。(金融幹部)

有事下では、事業継続に当たり、通信の遮断も懸念材料だ。本国や取引先などとの連絡手段において、ウクライナ危機でも需要が高まった衛星電話が、台湾でも有効となる可能性がある。ある半導体関連メーカーの幹部は「既に衛星電話を導入した」と話した。

台湾で邦銀最大規模のみずほ銀行の村田温・台北支店長は「現段階から台湾人幹部と十分に話し合い、有事の際の日本人駐在員の帰国や、帰国後の事業運営方法についてあらかじめ十分なコンセンサスをとっておくことが重要だ」と指摘した。

台湾有事に進出企業の半数が対応策 50社調査、備え拡大

また、台湾は半導体生産では世界トップクラスの量を誇っています。有事となると、産業への影響は避けられません。

半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が先端半導体の世界生産の9割を台湾で担う。「TSMCの工場が止まれば、多くの進出企業の事業継続は不可能だ。世界的に甚大な影響を及ぼすのは間違いない」(半導体幹部)

● 台湾有事に進出企業の半数が対応策 50社調査、備え拡大

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中国の動きが注目されている水面下で、有事に備えて企業も政府もできる限りの努力をしているようです。世界は、万が一、有事になったら被害を最小限に食い止めたいと思っていますが、有事を引き起こす破壊者は、できる限り破壊したいと考えるものです。その心理をうまく言い表したのは、皮肉にもTSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏でした。

党大会前の9日放送の米CBSテレビのインタビューで、中国が台湾を統一した場合、TSMCは「国有化」されるのか、どうなるのかを問われると「戦争が起これば全てが破壊されるだろう」と述べ、影響の大きさを率直に指摘した。

台湾有事に進出企業の半数が対応策 50社調査、備え拡大

台湾の金門島と小金門と呼ばれる烈嶼を結ぶ全長約5.4キロの橋「金門大橋」がついに開通してしまいました。これは、海上橋としては台湾最大規模のもので、開通式典には王国材好通部長などに混ざって馬英九前総統の顔もありました。

全長約5.4キロの金門大橋、正式に開通 台湾最大規模の海上橋

この橋の開通には、防衛上の懸念を示す人も多くいました。実際、台湾のメディアは戦車も通れると報道しています。

金門大橋“正式通車” 國軍坦克也能過!鄉親盼了12年 民眾連接大小金門免再搭船 幕後功臣”工程師”曝施工艱辛:12年來沒休息過│記者 葉濟豪 蔡咏

表向きには、小金門の医療や生活の質の向上のためとなっていますが、軍事的に利用される可能性が危惧されています。中国は、かなり前からアモイと台北を鉄道でつなぐ計画を堂々と宣伝しており、この橋の開通がその足掛かりにされる可能性は否定できません。

加えて、国民党や台湾民衆党の党首で台北市の柯文哲市長などは、金門島とアモイを結ぶ「金門アモイ大橋」の建設を主張しています。この金門アモイ大橋の構想は1990年代からあったものですが、中国側もこれに乗り気でした。もちろん、台湾と中国を結べば、統一が早まるという思惑からです。

金門島 中国・アモイ「橋建設構想」波紋 地元は支持 政権は反発

中国共産党大会で、習近平は台湾統一を強調しました。そのチャンスを虎視眈々と狙っているのは確かです。金門大橋が開通してしまった今、台湾有事はまた少し現実味を帯びた気がします。台湾政府も日本政府も、迅速に有事に備えるべきでしょう。

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