MAG2 NEWS MENU

ナウシカ実写化へ? ジブリ&ルーカス「コラボ」が話題も、過度のルッキズム配慮でキャラ総ブサイク化、原作改悪の恐れにファン警戒感

たった15秒の動画が、世界中のスターウォーズファン、そしてジブリファンを騒然とさせたようだ。11日、スタジオジブリ公式Twitterがつぶやいた動画には「ルーカスフィルム」のロゴに続いて「スタジオジブリ」のロゴが……。2社が何らかのコラボをするというメッセージなのか、詳細は全く分かっていない。そのためネット上には様々な憶測が飛び交うと同時に、ある懸念点も浮上している。そう、ジブリ作品のリメイクによる「作品破壊」だ。

ルーカスフィルムがジブリ作品を実写化?

ルーカスフィルムは2012年にウォルト・ディズニー・カンパニーに買収され、創始者ジョージ・ルーカスの手を離れて「スターウォーズ」の続3部作が製作されている。

一方、スタジオジブリはディズニーと提携関係にあり、ディズニー傘下であるルーカスフィルムとのコラボが実現しても何ら不思議はない。

しかし「スターウォーズ」は、既に「スターウォーズ/クローン・ウォーズ」などで3Dアニメ化されているため、ジブリがルーカスフィルム作品をアニメ化するパターンは考えにくい。ジブリ作品をリメイクしてアニメ化する場合はディズニー、同じく傘下のピクサー社か20世紀アニメーションとの提携になるだろう。

となると、残る可能性は、ルーカスフィルムによるジブリ作品の「実写化」だ。

そのうち原作があるものは著作権の問題があり難しいため、ジブリのオリジナルで考えられるのは、「風の谷のナウシカ」(ジブリの前身であるトップクラフト製作)「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「紅の豚」「平成狸合戦ぽんぽこ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」、そして原作が古典の「かぐや姫の物語」と、グッと絞られてくる。

多くの作品は日本が舞台で、地域性がはっきりしてしまっている。たとえば、かぐや姫の舞台を外国に移したり、「千と千尋の神隠し」の千を欧米人の少女が演じてしまったら違和感しかないだろう。

異世界・無国籍が舞台の作品は「ナウシカ」「ラピュタ」「紅の豚」となるが、ここで懸念されるのが「原作クラッシャー(原作破壊)」だ。

ネット上では早くも「ジブリ作品が変な作品に改悪されてしまうのでは?」という不安の声があがっている。

漫画・アニメの「実写化」で、出来の良かった作品は無い?

「るろうに剣心」「テルマエ・ロマエ」などの例外はあるにせよ、そもそも日本製作でも漫画・アニメを実写化した作品で成功したモノは数少ない。

「進撃の巨人」「テラフォーマーズ」「ガッチャマン」「ルパン三世」など、オリジナルの印象が強ければ強いほど、その違和感とガッカリ感は激しいものとなる。

実写版「魔女の宅急便」(2014)は、いまや連ドラや映画で引っ張りだこの女優・小芝風花が主演で、実はジブリ版よりも原作に近い設定にもかかわらず、あまりにもジブリ版のイメージが強すぎるため酷評され、興行的にも大惨敗。同作品は小芝の「黒歴史」とも呼ばれている。

日本版でさえこの有様だが、これがハリウッドに移植されるとなると、オリジナルの良さを理解しないまま製作の都合で改変する「原作クラッシュ」が平気で行われる。今までにも「北斗の拳」「ドラゴンボール」「ゴースト・イン・ザ・シェル」など「失敗作の山」が築かれてきた。

唯一、元々オリジナルのゲーム自体が欧米を舞台にしていた「バイオハザード」は、ミラ・ジョヴォヴィッチ演じたヒロインが映画独自のものだったために成功している。

多くのファンに支持されリピートされる作品であればあるほど、オリジナルを壊す「原作クラッシャー」の監督や脚本家は警戒される。その名を見ただけで「映画館に行かない」というファンも多く、それが作品の出来や興行成績を左右するぐらいだ。

イメージと違う!行き過ぎた「ポリコレ」は作品をダメにする

ディズニーの傘下となったマーベルは、「エターナルズ」で様々な人種・性意識のヒーローを登場させているが、それでもやはり白人の美男・美女がメインであることには変わりなかった。

「スターウォーズ」の続3部作では、黒人のジョン・ボイエガがメインキャラ・フィンを演じたが、途中で脇キャラに格下げされた。ベトナム系アメリカ人ケリー・マリー・トランは「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」で、アジア系女性でちょいポチャ体型のティコ役で大活躍したが、なぜか大バッシングをうけ、最終作「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」にはほんの数秒しか映らないという結果になっている。

「ディズニー+」のメイキングドキュメンタリー「ピクサーの舞台裏」では、脚本から登場人物の男女比率を均等にするようにしていると語られていた。

男女平等を象徴するように、続3部作の主人公は女性レイになったが、やはり白人で美女。男女差別は少なくなったが、まだ人種やルッキズムは克服できていないとみえる。

「ポリティカル・コレクトネス」通称ポリコレは、社会の特定のグループに不快感や不利益を与えないようにする取り組みのことだが、まだ徹底されているとは言えない。結局はマーケティング要素が強く、大勢の意見に左右されるようだ。

ディズニーのポリコレも単なる「ポーズ」であり、本気で取り組んでいるようにはみえない。

 

ディズニープリンセスたちも、最近は様々な人種が主人公になっているが、アニメだったらいかようにもかわいく描けるし、実写版でも「アラジン」「ムーラン」など、どんな人種でもヒロインはみんな「美女」だ。いろんな差別を乗り越えられても、ルッキズムが最大の難関なのかもしれない。

「風の谷のナウシカ」は、日本の歌舞伎で尾上菊之助が演じた。「千と千尋の神隠し」の千は、舞台で橋本環奈と上白石萌音が演じた。しかし、ジブリ映画のキャラクターを人が演じるところは全く想像がつかないのが正直なところだ。

最大の「原作クラッシャー」は宮崎駿説

現在、例のジブリ公式Twitterの動画から推測するに、ジブリアニメをルーカスフィルムが実写化するという説が有力ではあるが、スターウォーズをジブリがアニメ化するという説を唱える人も少なからずいる。

しかし、実は過去最大の「原作クラッシャー」こそが宮崎駿その人で、その原点である「未来少年コナン」は、原作のアレキサンダー・ケイ「残された人々」を換骨奪胎し、設定だけ借りた全くの別ものだった。「魔女の宅急便」の時にも起きたとおり、クラッシャーどころか原作は影も形もなくなり、宮崎作品のイメージの方が定着してしまうから始末が悪い。

もし仮に「スターウォーズ」が宮崎駿の手にかかってしまったら、どんなになってしまうのか。見たいような見たくないような……やっぱり見たい気もする。

Twitterの反応

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

image by: 文部科学省ホームページ, CC BY 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け