老後の年金生活は「厳しいものになる」と思われがちですが、そんな中、月5万円で楽しく生活ができるというブログを書き始めた71歳の女性がいます。今回のメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』が紹介しているのは、その内容をまとめた一冊の本。少ない年金で不安のない暮らしをする秘訣とは?
【一日一冊】71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活
紫苑 著/大和書房
著者は月5万円という年金の少なさの中でも楽しく生活できるというブログ「プチプラ快適な日々を工夫」を書き始めました。
プチプラって何?と考えながら読み進めましたが、どうやら節約生活のことらしいと、ググってみると「プチプライス」。安くても質がよいという意味でした。
著者は中古の一軒家を購入して月13万円の家賃を0円としました。月2万円の生命保険も解約。洋服は自分でリメイクして、家の家具はDIYするようになったのです。
そして食費は月1万円以下と決めて、自分で安い食材を買い集め、それでも美味しく、栄養のある様々な食材を楽しんでいるという。お金を使いながら、お金の心配をしていた頃より、楽しく健康で元気になったというのです。
食費は月に1万円前後…安く、美味しく、かつ栄養のあるメニュー(p4)
それまで間食していた駄菓子はやめて、月4,000円の削減。それでも口寂しいのでチーズやナッツを食べるのが自分に合っていたといいます。
70歳という年齢もあると思いますが、化粧品も使わず、シャンプー、リンスも使わなくても大丈夫。そして、朝は散歩に出て、近くの土手の階段を駆け上がります。これで月1万円のトレーニングジム会費が削減できました。
3食自炊して、日々の掃除、ジュースではなく水を温めて白湯を飲むのです。こうした節約生活をすることで、それまでお腹の調子が悪く漢方胃腸薬を飲んでいたのに不要になったという。
朝、すっきり目が覚めて、体にダルさがなく軽く感じ、いろいろなことをやる気が出るように変わったというのです。節約生活で健康になるというのは不思議な真理なのかもしれません。
朝散歩と階段駆け上がり…月1万円払って週3回もジムに通っていましたが、この方法なら費用は0円です(p177)
興味深いのは、デパートやファッションビルで高価で素敵で心を動かされる着物や物が売られていたら、ここは美術館だと想像するようにしているという著者の考え方でしょう。
人の心の中には、欲望やもう少しがんばれば私にも手に入るといった嫉妬心や競争心があるというのです。
著者は素敵な「展示品」があっても、観て、楽しんで心の中のタンスに入れておくという。それをときどき思い出して、そのデザインやセンスを自分の家で活用してみる。それだけで十分と感じるようになったというのです。
所有しなくても自分の欲望を満足させることができるということなのでしょう。欲望のコントロールとして面白いと思いました。
お金がないときは、節約するか、収入を増やすしかありません。楽しみながら節約する生活を教えてくれる一冊ということで★4つとしました。
紫苑(しおん)さん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★★☆(80点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)
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