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日本で今後インターナショナルスクールが当たり前に?10年先ゆく国で見えた我が国の未来

学費の高さも相まって、日本ではまだまだ一般的な選択肢とはなっていないのが現状と言えるインターナショナルスクールへの進学。しかしそんな流れも加速度的に変化していく可能性があるようです。1月19日に創刊したばかりのメルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』では、マレーシアに11年以上滞在する文筆家で編集者ののもときょうこさんが、現在の日本の教育事情がかつてのマレーシアの状況と似ていると指摘。その後に同国で起きた諸々の変化を紹介する形で、日本の教育の今後について「予測」しています。

※本記事は有料メルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』2023年1月19日創刊号の一部抜粋です。本メルマガ創刊号では他にも「世界で宗教右派が増えている」「読者からの質問」など、私たち日本人に役立つ情報が満載です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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今の日本の教育は、10~15年前のマレーシアに少し似ているかも

日本にも続々とインターナショナル・スクールが増えています。全寮制の名門校が続々開校するかと思えば、学費の安いインターナショナルスクールも増えている――。

インターナショナルスクール、続々開校 英名門2校も 寮生活・英語で授業…「世界」見据えた学び

また、文科省が不登校は問題行動でないと各学校に通知し、フリースクールの利用を認めたことで、日本でも「ホームスクーラー」が増えてきました。

「不登校は問題行動ではない」全学校へ向けて通知、知られずに1年~国と現場がかみ合わないカラクリ~

この風景、どこかで見た……と思ったら、10~15年ほど前のマレーシアに似ているのです。

「これから世界はどんどんグローバル化するよ。日本で英語教育に対応した大学はいくつあるの?グローバル教育を受けた方がいい」と私が友人のマレーシア人に言われたのが、確か2000年代の半ばくらい。

子どもを産んで、公立学校しか考えてなかった私はびっくりしたのです。けれど、当時シンガポールで前首相だったリー・クアン・ユーさんも朝日新聞で似たようなことを言っていて、教育について真剣に考えるようになりました。

当時マレーシアでは、インターナショナル・スクールが雨後の筍のように増えて、同時にホームスクールがバンバンできて広まった時期。友人もちょうど子どもたちをインターナショナル・スクールに転校させたばかりで、韓国人の親の間では子供のマレーシア留学が流行っていたのでした。

2012年にはジョホール州に全寮制のマルボロ・スクールが開校し、私も取材に行きました。

開校して2年、「マルボロ・カレッジ」は今

そんなわけで、私はこれからのトレンド、東南アジアを見ていると、予測がつく気がしています。

何が起きるのか?今日はそのヒントです。

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マレーシアでその後起きたこと

その後の10年で、マレーシアで起きたのは、

という流れでした。

さらには、デベロッパーが不動産開発時に、インターを誘致する流れが相次いでいます。教育機関は不動産開発の「目玉」なんです。

また、庶民もインターを選択するようになり、マレーシアのカリキュラムだった私立学校がそのまま丸々インターに「変身」した例もあります。ただ、マレーシアのカリキュラムと、英国式のカリキュラムはもともと似ていますから、先生も「変身」しやすいのかもしれません。

インターは「お金持ちが行くところ」から変わっていく

インターは外国人やお金持ちが行くところから、庶民が行くところへ、という流れの一方で、その後、学費は10年でどんどん上がりました。昨今では、年間大体100万円以下のところを見つけるのが難しいほどです。

それでもマレーシア人が主流のインターがかなりあります。

また、留学生も増えました。15年前ほどは韓国人留学生が多かったのですが、そのトレンドが日本人や大陸の中国人に移りつつあり、今では「寮が日本人ばかり」「中国人ばかり」という学校の話を聞きます。

日本のインターにも、こんな感じで、これからアジアからの留学生が増えるかもしれません。

もう1つ、多分起きるのが、インター同士の先生の取り合いです。先生がすぐにやめてしまったり、引き抜かれたりします。特に費用が安いところでは頻繁に起きると思います。

「転校」が当たり前の選択肢になる

こうして選択肢が増えると、転校が増えていきます。「新しい学校ができたから行ってみたい」となり、学校を選ぶための「スクール・フェア」が毎年あちこちで開催されるようになりました。

インターにがっかりする親子もでてきます。

なぜなら「アジアの伝統教育」とはちがい「暗記教育」中心ではないからです。「アジアの伝統教育」を求める親には、インターの「新しい教育」の勉強量は量的に物足りないようです。そして、公立(または私立)に子どもを戻す例も見られます。マレーシアは公立学校の勉強が厳しいため、「もっともっと量を勉強させたい」親には公立も根強い人気。

インターの場合、値段が高くなればなるほど、設備が立派になり、スポーツや芸術が盛んになり、「遊んでいる」ように見えるかもしれません。

日本から来る方も、おそらく、大学受験のための「塾的」な存在をイメージすると、かなり驚かれると思います。

逆に、「勉強が緩いから」という理由でインターを選択する親もいます。

日本から来ると、「学費が高いのに、勉強が緩いとは??」とびっくりされる方がいますが、ガリガリ勉強させたいのなら、公立(それも中華学校)というのがこちらの一般的な見方です(実は教育哲学そのものが違うのです)。

マレーシアの場合、今の40-50代には完全に英語教育を受けた世代が多いため、「英語で教育してほしい」と思う親は多いと思います。

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そしてフリースクールも多分増える

文科省は「不登校は問題行動ではない」と通知し、民間のフリースクールとの連携を謳い始めました。

同時に、「そんなお金は出せない」人のために、小規模なホームスクール(日本で言うフリースクール)ができていくでしょう。マレーシアでもホームスクールは大人気。街を歩けばホームスクールの看板が見られます。

でも過渡期には問題が起きます。マレーシアでも、ホームスクールが乱立しすぎ、その質は大丈夫なのか?という問題が起きました。

日本でも、これからさまざまな問題が起きると思うのです。そうは言っても、親は「完璧な教育はない」と思うこと。過渡期には「ある程度の問題は起きるものだ」と達観した方が、多分世の中はフレキシブルになると思います。

※本記事は有料メルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』2023年1月19日創刊号の一部抜粋です。本メルマガ創刊号では他にも「世界で宗教右派が増えている」「読者からの質問」など、私たち日本人に役立つ情報が満載です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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image by: Shutterstock.com

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文筆家・編集者。金融機関を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」を経て以降フリーに。「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者として主にIT業界を取材。1990年代よりマレーシア人家族と交流したのときっかけにマレーシアに興味を持ち11年以上滞在。現地PR企業・ローカルメディアの編集長・教育事業のスタッフなど経てフリー。米国の大学院「University of the People」にて教育学(修士)を学んでいます。 著書に「東南アジア式『まあいっか』で楽に生きる本」(文藝春秋)「子どもが教育を選ぶ時代へ」「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。早稲田大学法学部卒業。

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【著者】 のもときょうこ 【月額】 ¥1,320/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 木曜日

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