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現役医師が徹底解説。糖尿病が「がんリスク」を上げる3つの理由

例えば肝臓がんでは2倍以上となるなど、非罹患者に比べ高いがんリスクを抱える糖尿病患者。その理由は一体どこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、糖尿病専門医で糖質制限の提唱者としても知られる江部康二先生が、国立国際医療研究センターのデータを元に、糖尿病ががんリスクを上げる3つの要因を解説。さらに糖質制限食がそれらを遠ざける根拠を記しています。

糖尿病で「がんリスク」が高くなる3つの理由

糖尿病患者にはがんが多いことが知られています。

今回は、「国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター」のサイトを参考にして、糖尿病とがんの関係について検討してみます。

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「がん」

~上記サイトから一部抜粋~

糖尿病の方は、神経障害、網膜症、腎症などの細小血管症以外にも、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、末梢動脈疾患などの大血管症を合併することがあることはよく知られています。

 

糖尿病はこれらの合併症以外にも、がんをはじめとして、多くの病気と関係していることが報告されています。

 

糖尿病とがんの関係を検討するために、日本糖尿病学会と日本癌学会が合同で専門家による委員会を設立し、2013年7月に委員会報告を発表しました。

 

ここでは、この委員会報告を中心に、糖尿病とがんの関係や糖尿病でがんのリスクが高くなる理由、がん検診の重要性について紹介します。

なぜ糖尿病だとがんのリスクが高くなるの?

まだ、糖尿病自体ががんの原因となるかどうかについては、よくわかっていませんが、仮に糖尿病ががんリスクを高めているとしたら、いくつかの理由が考えられています。

 

血液中のインスリン濃度が高いこと

 

2型糖尿病の方の多くは、インスリンが効きにくくなっているために血液中のインスリン濃度が高くなっています。

 

血液中の過剰なインスリンは発がんに関与する可能性があると考えられています。

 

血糖値が高いこと

 

高血糖そのものによる酸化ストレスが発がんに関係する可能性があると言われています。

 

炎症

 

2型糖尿病の方では、無症状ですが全身に慢性的な炎症がみられると言われます。

 

慢性の炎症は、発がんのリスクと考えられています。

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上記抜粋で、糖尿病でがんのリスクが高くなることの理由が3つあげられています。

1.血液中のインスリン濃度が高いこと

1-1)初期~中期の糖尿病では、インスリン抵抗性があることも多くそのために血中インスリン濃度が高値となります。

過剰なインスリンは活性酸素を発生させて、酸化ストレスとなり発がんリスクを上昇させます。

またインスリンは強力な細胞増殖因子です。それやこれやで、内因性インスリンの発がんリスクは強く疑われています。

1-2)一方、インスリン注射に関しても、ずっと発がんリスクが懸念されていたのですが、ランタスによる大規模な研究が2012年に発表され、無罪となりました。

世界40カ国、573施設から1万2,537人の糖尿病と前糖尿病疾患の患者が登録され、ランタス治療群と標準治療群、それに加えて、ω3脂肪酸の投与の有無を組み合わせた、4つのグループを6.2年(中央値)追跡調査した結果をまとめた、大規模な前向き試験です。

今まで、インスリンの発がん性の有無に答えを与える、これほど大規模な前向き試験はありませんでした。

結果は、がん死、発がん全体でも、部位別(肺がん、結腸がん、乳がん、前立腺がん、メラノーマ、皮膚がん全体、そしてその他のがん)でも、ランタス投与群ではまったく差が認められませんでした。

1-3)ともあれ、糖質制限食なら、追加分泌インスリンは必要最低限となりますので、内因性インスリンによる発がん性はかなり予防可能と言えます。

2.血糖値が高いこと

高血糖により、活性酸素が発生して、酸化ストレスとなり発がんリスクとなります。

一方、食後高血糖が糖質制限食実践により、リアルタイムに改善するので発がんリスクの予防が可能となります。

3.炎症

2型糖尿病では無症状で全身の慢性炎症が認められ、発がんリスクとなるということですが、これはあくまでも、血糖コントロールが良くない糖尿人のお話です。

私たち、糖質セイゲニストの糖尿人は血糖コントロール良好であり、慢性炎症もありません。

また、スーパー糖質制限食なら、ケトン体が高値となります。

ケトン体は近年、心臓、腎臓、脳などの臓器保護作用があることが示唆されており、炎症抑制作用も示唆されています。

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image by: Shutterstock.com

江部康二この著者の記事一覧

(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

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