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もはや手遅れの日本。中国に「政治介入され放題」でも暴かれぬ不可解

カナダやアメリカをはじめ、各国で次々と明るみに出る中国の政治介入。しかしなぜか我が国ではそうした問題が取り沙汰されることがありません。その裏にはどのような「力」が働いているのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、もはや中国共産党の政治工作は世界の常識になっているとして、彼らの手口を改めて紹介。その上で、日本の政治家に対して抱かざるを得ない「疑惑」の存在を指摘しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年2月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

中国に取り込まれ済みか。日本で中共の政治介入工作が表面化しない怪異

機密文件掲中國干預2021年大選 加拿大國會要査(カナダの選挙に中国が関与したという機密文書、カナダの国会が調査)

カナダ安全保障情報局(CSIS)は、2019年と2021年のカナダにおける総選挙に中国政府が介入したことを確認しました。2021年の選挙では、ジャスティン・トルドー首相率いるカナダの与党・自由党が引き続き少数政権であり続けるように、中国が何人かの保守党候補を落選させる工作を行ったことを明らかにしました。カナダ下院の委員会は、これに関する調査を開始する意向だといいます。

グローブ・アンド・メール紙によると、2021年9月の総選挙ではトルドー首相の再選が不安視されていたため、保守党の明確な勝利を恐れた中国が高度な戦略を用いて選挙に干渉したことを示すCSISの機密文書を入手したとのこと。

中国政府は駐カナダの中国外交官と共謀し、政治献金の提供や偽情報の拡散によって保守党議員を落選に追い込む一方、自由党を少数与党にとどまらせ、カナダの政治を膠着状態に陥らせようとしているとのこと。

また、同文書では、中国が選挙に影響を与える戦略として、特定の候補者に現金を寄付したり、企業経営者に中国人留学生を雇わせて選挙ボランティアに参加させたりするほか、ソーシャルメディアを通じて保守党が反中国政党であることを広めることも挙げてます。

トルドー首相に直接苦言。盗人猛々しいにも程がある習近平

同文書では、一つの党が多数与党になると中国に不利な政策を実施しやすくなるため、北京は少数与党を望んでいると記述しています。また、同文書は2021年、バンクーバーの中国総領事だったトン・シャオリンが保守党の議員2人を倒したと主張したことを紹介しているそうです。

トルドー首相は、2月17日の国会で保守党のピエール・ポワリエーブル党首の質問に答え、外国の干渉によって2019年と2021年の選挙結果が変わったわけではないが、連邦政府はこの脅威を深刻に受け止めていると強調しました。

このカナダの総選挙への中国の介入は、これまでも噂されていたことです。昨年11月には、インドネシア・バリ島で開催されたG20サミットで、中国とカナダの非公式首脳会談が行われ、トルドー首相がカナダの選挙への中国の干渉疑惑について「深刻な懸念」を示しました。

このことがカナダのメディアに伝わったことで、習近平主席がトルドー首相に「新聞にリークされるのは適切ではない」と直接不満を述べるシーンが話題ともなりました。

習氏、カナダ首相に苦言「新聞にリークされた」

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「我が国に対する悪意ある中傷」と言い張る中国総領事館の何様

しかし、結局、カナダの安全保障情報局は、中国の干渉が実際にあったという証拠を掴み、機密文書をメディアにリークしたわけです。

在バンクーバー中国総領事館は、カナダのメディアによる「中国に対する悪意ある中傷」の非難に強い不満と断固たる反対を表明し、中国は常に他国の内政に不干渉の原則を守り、カナダの選挙や内政にいかなる干渉もしたことがないと繰り返し表明してきたことを強調しました。

しかし、中国共産党が他国の政治に介入していることは、すでに「常識」です。オーストラリアでも、中国政府の選挙介入がつねに噂されており、モリソン前首相も「中国が外国の政治に介入した記録がある」と発言しています。

豪首相、中国の政治介入に言及 総選挙前に態度強める

また、オーストラリアのターンブル元首相も、2018年の在任中に成立した、外国勢力の介入を防ぐための法律(外国政府の代理人となる場合に登録を義務付けるもの)は、中国の活動を暴露することが「重要な目的」だったと明かしています。

外国勢の介入抑止狙った法律、中国が対象=ターンブル元豪首相

もちろんアメリカもイギリスも、中国が選挙に介入していると批判し、警戒を強めています。アメリカでは昨年11月の中間選挙を前に、米連邦捜査局(FBI)が、中国やロシアの政府系組織がアメリカの選挙制度に欠陥があるという誤情報を拡散していると警告しました。

米中間選挙に向け中ロの政府系組織が情報工作 FBIが会見

イギリスでは昨年1月、英情報局保安部(MI5)が、中国の工作員とみられる人物が献金を通じてイギリスの議会に食い込み、政治に介入しているとする警告を行っています。

英MI5、「中国工作員」が議会で暗躍と警告 中国は否定

中国の政治介入工作を日本の国会議員が問題視しない裏事情

このように、各国の情報機関や安全保障情報局が、中国による選挙や政治介入について警告を発していますが、なぜか日本ではそうした声が政府からもメディアからもほとんど聞こえてきません。

日本の政治家もメディアも、中国は日本だけには政治介入していないと信じているのでしょうか。スパイ防止法や諜報機関があり、日本よりよほどインテリジェンスに長けている英米でも中国の工作活動を完全には防ぎ切れていないのに、スパイ防止法もない日本は、中国の工作活動排除に成功していると考えているのでしょうか?

尖閣に中国公船が侵入してきたときもそうですが、日本の国会議員がまったく問題視していないのは不思議でしかたありません。英米やカナダ、オーストラリアで報告されていることから普通に考えれば、中国に取り込まれているとしか思えないでしょう。

先週のメルマガでも触れましたが、現在、アメリカのAIチャットサービスChatGPTが大きな話題になっています。一方で、このChatGPTの技術が中国に悪用され、フェイクニュースが拡散されるのではないかという懸念も広がっています。

專家:ChatGPT降低政治宣傳成本 恐淪中國假消息利器

政治リスクコンサルタント会社のユーラシア・グループは、2023年の世界リスクに関する報告書の中で、このChatGPTをはじめとする「生成型AI」を「大量破壊兵器」と呼びました。それは、ChatGPTのような製品によってAIを使うために必要な専門知識の敷居が下がり、より多くの人がその技術を簡単に使って偽のテキスト、画像、音声などを作れるようになったことを意味し、これが世界的なリスクを高めるからです。

もはや日本には安閑としている暇はありません。他国からの政治・選挙への干渉、さらには世論操作に対する早急な対策が必要です。

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台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!

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【著者】 黄文雄 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

 

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