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参加せねば地獄行き。元信者が語る統一教会「合同結婚式」の実情と5月7日開催への懸念

旧統一教会が5月7日、韓国で予定していることが明らかになった合同結婚式。信者にとって重要なイベントとされていますが、そもそもなぜ彼らは常識的に考えて不可解な行事への参加を望むのでしょうか。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、旧統一教会の元信者で合同結婚式への参加経験もあるジャーナリストの多田文明さんが、その実態を詳しく紹介。さらに文化庁に対しては、旧統一教会への合同結婚式前の解散命令請求を強く求めています。

統一教会「合同結婚式」5月7日開催への大きな懸念と参加強要の「違法判決」国会質疑

5月7日の合同結婚式(祝福)が韓国にて開催予定とのことで、多くの信者らが参加することが考えられます。これにより、どのようなことが懸念されるのでしょうか。私自身が経験した合同結婚式への参加や、27日の国対ヒアリングで話した内容も含めて、私自身も原告の一人でだった最高裁判所で確定した合同結婚式への参加強要の違法判決から考えます。

1.合同結婚式への参加強要の違法判決に関する、岸田首相の国会答弁

2月22日の衆議院予算委員会の質疑のなかで、立憲民主党の吉田はるみ議員から「2004年に出ている判決をご存じでしょうか。旧統一教会の合同結婚式への参加の強要は、違法とする最高裁の判決が出ています。5月7日に韓国で開催予定の合同結婚式にも、強要ということがあってはいけないと思いますが、その認識でよろしいでしょうか」との質問がありました。

岸田文雄首相は「2002年の東京地裁において、違法があるという判決が示され、その後、控訴、上告が棄却されて、2004年2月に当該判決が確定したものと承知しております」さらに「5月7日に開催予定とされます合同結婚式については、詳細は承知しておらず、コメントは致しかねますが、一般論として、参加の強要があった場合には、違法になりうると認識を致します」との答えでした。

「参加の強要があった場合には、違法になりうると認識」の答弁はとても重要であると考えています。

当該裁判は、1999年(平成11年)に、元信者3人(私を含めて)が統一教会に対して起こしたものです。東京地裁は、合同結婚式への参加を強要されて、精神的な苦痛を受けやことや、入信の際に不当な勧誘があったことも認めて、統一教会側に計920万円の支払いを命じて、初の司法判断となりました。

2.27日の立憲民主党を中心とした国対ヒアリングで話した内容

旧統一教会問題の大きなポイントは、教団名を隠した伝道(正体隠しの勧誘)により、本人が意識しないままに教義を刷り込まれて信者となってしまうことです。その結果、高額献金をしたり、同じような(正体隠しの)伝道活動をすることになります。

教義において信者らの目指すところは「合同結婚式の参加」ですので、過去に金銭的、人的被害が出た大きな要因には、この式の存在が大きくかかわってきています。

合同結婚式(祝福)をうければ、サタンの血統から神の血統に生みかえられて、原罪のない神の子が生まれるとされており、合同結婚式(祝福)に参加することが、唯一の救いの道であると教えられます。

合同結婚式に参加するには、伝道(3人以上の勧誘)や経済(お金集め)の活動を通じて、一定の実績をあげることが必要です。そうでなければ、教会からの合同結婚式への参加の許可はでません。それを得ようと、信者らは必死になって活動をします。これは、霊感商法や高額献金の被害にもつながります。

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3.今も昔も変わらない合同結婚式の重要性

マインドコントロール下におかれた信者らが、合同結婚式に参加しようとする状況は、今も昔もほとんど変わっていません。

それどころか、今年初めの韓鶴子総裁の言葉で(真の父母・文鮮明夫妻とともに)天国に入るための条件として「天寶(てんぽう)家庭」「天寶入籍」が必要であることが明確になり、必ず通過しなければならないものとして、合同結婚式の位置づけは、より重要性を増しているといえます。

【関連】1千万円以上の献金が条件。統一教会信者が目指す「天寶家庭」の理不尽

天寶家庭になるためには、高額献金が伴う430代の先祖解怨などが必要とされていますので、私の信者時代と同様に、より高い目標が設定されたともいえ、信者らの勧誘活動と献金などの経済活動は、これまで以上に激しくなる恐れがあります。

「合同結婚式への参加強要」の違法判決の重要な点は「正体を隠した伝道により入信させられた結果、唯一の救いの道が合同結婚式と思わされて、参加せざるをえなくなる」ところです。

判決でも「文鮮明教主の選んだ相手を断ることはできず、婚姻の自由を侵害する」とされています。

4.5月7日の合同結婚式開催への大きな懸念

正体を隠した形で勧誘され(マインドコントロール下で)合同結婚式に参加させられた人が一人でもいれば、私の時のように「原罪を清算する、唯一の救いの道がこの合同結婚式」と思わされ、婚姻の自由を侵害された状況で、参加強要となる恐れがあります。

今は、私の時のような「文鮮明教祖が決めた人とカップリングされる」という事情とは違っている部分もありますが、合同結婚式の位置づけは、今も昔もほとんど変わっていないと考えています。

今は自分の判断で「相手を選べる余地もある」という形に変わっていると聞いていますが、それはあくまでも若干の「選べる余地がある」だけで、自由に結婚相手を自分で見つけることはできません。

「統一教会の信者、教義を受け入れた人物とのカップリング」(教会側の許可が必要)「救いの道と思いこまされて、参加しなければならない状況」「祝福をうけなければ地獄にいくことになる」「一度、受けた祝福を破棄すれば、サタンのサタンになる(地獄に行く)」といった、霊界の恐怖に裏打ちされた教えは何も変わっていません。

正体隠しの伝道をされて霊界の恐怖心などを植え付けられた延長線上に、合同結婚式はあるわけですから、5月7日の合同結婚式への参加人数が多くなればなるほど、後になって「騙されたこと」に気づき、婚姻の自由が侵害されたという思いを持つ人も出てくるのではないかと危惧しています。

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5.合同結婚式は多額のお金を集める場となる恐れ

当時、合同結婚式の参加には、当時は140万円の祝福献金が必要でした。この式(祝福)自体が献金集めの側面をもっています。

もうすでに献金をし続けて、お金のない信者が、祝福を受けるためのお金を用意するために、親族などに嘘をついて借金したりするなど、金策に走る人も出てくることは充分に考えられます。

元信者時代にも次のような経験があります。

合同結婚式を受けた時は、献身(出家信者)の時で、自分に資力(資金)がありません。その時には、自分が伝道した人に献金をさせることで、その額が祝福献金の実績に反映されます。ですので、より高額献金活動及び、それを目的にした勧誘活動が広がる恐れも感じています。

合同結婚式が行われる前に、文化庁の解散命令の請求を出して頂き、式への参加強要の事態を生み出さないためにも、参加を思い留まる人が一人でも多く出てくることを願っています。

また、解散命令請求を出してもらうことで、信者を持つ家族・親族が説得して、本人を思い留まらせる道を作ることもできるかと思います。

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image by: 不明Unknown author, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

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悪徳業者などへの潜入取材した数は100ヶ所以上。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動し、多数のテレビ・ラジオに出演している。現在はヤフーニュースのオーサ・公式コメンテーターとして、コメントやニュース記事を執筆中。消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」(2017年~18年)の委員も務めた。雑誌「ダカーポ」にて、悪徳商法に誘われたらついていく連載を担当。それをまとめた著書「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)はフジテレビで番組化され、ゴールデン枠の特番で第8弾まで放送された。新刊11月予定「信じてみたら、ダマされる。~元統一教会信者だから書けたマインドコントロールの手口」(清談社清談社Publico)

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