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Eindhoven, The Netherlands, May 23rd 2019. A view of a store in a shipping container where you can buy upcycled goods from used materials or products. Circular economy principle, recycle, reusing

帆立の貝殻が「歯磨き粉」に生まれ変わる?注目のアップサイクル市場とは

最近聞くことも増えた「アップサイクル」という言葉、皆さんは知っていますか? なんとなく、「SDGsに必要な取り組み……」くらいの知識しかない人も少なくないはずです。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、著者の佐藤きよあきさんが、その内容を具体例を用いて詳しく解説しています。

廃棄物を売るための魔法「アップサイクル」。付加価値が生まれ、高く売れる!!

「アップサイクル」という言葉を最近よく見掛けます。

SDGsに繋がる取り組みとして、注目を集めています。

本来であれば、価値がないとされてきたモノ、すなわち廃棄されるモノに、新たな価値を生み出し、循環型社会を実現するものです。

消費社会では、その製造過程で大量の廃棄物が出て、その処理にはエネルギーや公害の問題がつきまといます。

特に注目されるのが食品廃棄物、“食品ロス”とも言われます。

日本の場合、農林水産省によると、食品廃棄物は年間2531トン。

そのうち食品ロスは600万トンで、国民1人あたりに換算すると、1年で47キロにもなります。

これだけのモノが捨てられていることに、平気でいられる人はいないはず。

そこで、その解決策のひとつとして、「アップサイクル」という考え方が生まれたのです。

商習慣や食品販売制度などによって、使用されなかった食品原料や製造過程で生じる切れ端などをアップサイクルで生まれ変わらせる取り組みが始まりました。

たとえば、需要が少なく、廃棄せざるを得なかった鶏のレバーやハツを、レバーパテや生姜煮、アヒージョ、レバー焼肉、ヤンニョムレバーなどの缶詰にして、販売している企業があります。

また、廃棄されるはずのブロッコリーの茎や大根の皮をココナツオイルで揚げた野菜チップスもあります。

日本の食品廃棄の約20%が食品メーカー由来なので、今後、こうした企業はますます増えることでしょう。

アメリカでは、ビールを製造する過程で出てきた、大麦の絞りカスを使って、植物性ミルクを作っています。

コールドプレスジュースを製造する過程で廃棄される野菜の絞りカスを利用したチップスも。

オーストラリアでは、コーヒーの実(コーヒーチェリー)を使い、スーパーフードのエナジーバーを作っています。

帆立の貝殻、ブドウの種も様変わり

さらに、廃棄食品を原料としながらも、アップサイクルで誕生したものが、食品ではない場合もあります。

白菜の廃棄物で作られた建設用新素材は、コンクリートの約4倍の強度があると言います。

シードルを作る過程で出てくるリンゴの絞りカスからは、リンゴエタノールを使った除菌ウェットティッシュが生まれています。

帆立の貝殻は、歯磨き粉や洗剤。

廃棄野菜・果物からは、クレヨン。

ブドウの種や皮からは、化粧品。

このように、アップサイクルは世界的に急成長し、注目されている市場なのです。

しかし、まだまだ始まったばかり。

とてつもない廃棄物が、そこかしこに積まれています。

ビジネスの種が、いくらでも転がっているということです。

私が注目したのは、アップサイクルで生まれた商品の価格です。

廃棄物を原料としながらも、安くはないのです。高いと言っても良いでしょう。

それは、カーボンニュートラルやSDGsという社会の流れに乗っているからです。

社会的意義のあることに、人びとは関心を持ちやすいのです。

世の中のためになることには、お金を惜しみません。

自身が良いことをしている、という喜びさえあります。

なので、高くても買ってくれるのです。

実際、大量生産ではないので、コストは掛かるのですが、それを受け入れてくれる市場ができつつあるということです。

買ってくれる人がいるなら、コストが掛かっても、アップサイクルに取り組むことはできます。

今後、ますます期待できるビジネスモデルではないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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