MAG2 NEWS MENU

System Artificial intelligence chatbot , Business woman using Smartphone With ChatGPT Chat Bot AI , Technology smart robot Ai Chat GPT application software , robot application Chat GPT

ChatGPTを成長加速として使うための「Comprehended Input」理論

「レポートを作れてしまうのでは」という議論がされるほど世に浸透しつつあるChat GPTですが、「嘘をつく」といった評判があるのも事実。私たちは上手に使いこなすことができるのでしょうか。Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されているメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』の著者・尾原和啓さんは、GPTを成長加速に変える「Comprehended Input」という理論を推奨しています。どんな理論なのか、尾原さんが今回の記事で詳しく解説します。

GPTをカンニングではなく成長加速に変えるComprehended Input技法を解説

ChatGPTをカンニングとして依存になっちゃうのか、成長を加速させるものになるのか?それは「Comprehended Input Method」が大事だという話をしていきたいと思います。

これはめちゃくちゃ簡単なやり方なので、やり方をわかっていれば誰でもできると思うのでぜひ使っていただければです。

Comprehended Inputアプローチ

なんで日本でChatGPTはカンニングとして、レポートを作られてしまうんじゃないか、みたいなつまんないことが議論になるのかな?というのが本当不思議でしょうがないんですよね。

本来はChatGPTが作ってくれたレポートだとしても、そこに驚きと自分がこれを学びたいなということがあれば成長につながるはずなんですよね。

むしろChatGPTはすぐに答えを出して答えに近いものを作ってくれる。もちろん時々嘘ははらんでいるかもしれない。

でも複数回繰り返す中でファクトチェックしたりとかしながら作っていく作業みたいなのは、僕にとっては楽しいわけなんです。

だけどやっぱりいろんな人に話を聞くとそれは難しいという話をするんですよ。これを説明できる理論がないかな?ということで見つけたんですね。

それがさっき言った「Comprehended Input」という理論です。

これは何かというと「理解ができるレベルの入力をする」という話なんですよ。これは第二言語習得に関して、つまりはもともと僕らは日本語を喋っているところに英語だったり中国語だったりとか、2番目の言語を学ぶときの研究というのがいろいろあるんです。

ミシガン州立大学の名誉教授で第二言語習得の専門家をしていたスーザン・ガスさんが提唱したモデルなんですね。

ちゃんと話をすると、簡単に言っちゃえば、人間というのは喉が渇いていないときには水は飲みたくないし、自分が理解できない絵を見せられたり映画とかを見せられてもつまんなくて退屈で寝ちゃうわけですよね。

つまり、まず人間が学びたいなと思うことには「Noticed Input(気づき)」という、自分が何か必要に感じ、これは何か面白いかも?必要かも?というふうな気づきというのが最初に必要です。

そこで気づいた後にそれが自分の理解できる範囲の中でインプットが進む。そうすると自分が何かやりたいなという気づきがある。それが理解できると、実際自分の中で使ってみようということで内在化が起こり、今までの自分の知識と関連付けしてつながり、統合化される。

そうするとアウトプットとして日常で使うようになる。

日常で使っているとどんどん習得するということなんですよね。

大事なところは自分が日常に使っている範囲の中でこれは必要だなと思ったら、自分として理解できる範囲の中でインプットが起こると、バーッと動いていくわけです。

結局、カンニングになるのか成長になるのかという理由は「Comprehended Input(理解)」になっているからなんですよ。

結局カンニングというと、答えをうつすというイメージになるわけです。

この記事の著者・尾原和啓さんのメルマガ

初月無料で読む

 

自分の理解の範囲のインプットに変える

でも結局その答えを移したときに自分が理解できる範囲を超えた難しいものとしてうつすだけだと、もうそれは自分の中に内在化されないということなんですよね。

だから逆に言えば自分の理解の範囲に収まるようなインプットに変えていくと、実はむしろカンニングとしてレポートを書かせるほうが、英語を学ぼうが自分が理解できるものとしてやられていくと、どんどんインプットが進みます。

何よりもレポートで発表したり英会話としてすぐにその表現を使ってみるみたいなことをやれば、自分の成長を加速させるわけです。

これを具体的にどういうふうに使えるかという話をしてみましょう。

例えば、海外でレストランに行くじゃないですか。

海外のレストランに行くときにChatGPTで「英語を勉強しています。レストランで料理を食べるときの会話に使う表現を10個教えてください」みたいなことを言うと、いくつかの表現をしてくれます。

例えば、このアウトプットでWhat do you recommendというのがちょっとわからんなという話になり、これをもうちょっと勉強したいとします。

これを単語別で分解してもらうとWhat do you recommendという塊だと理解するには難しすぎるなら、ChatGPTに分解してもらえばいいんですよね。

そうするとWhatは何で、Doはする、Youはあなたが、Recommendはレリコメンドでここのお勧めなんですね、みたいな話だったりするわけです。

けっこうぶっきらぼうに答えるので、何回かやっていくと細かく出たりもしますよね。

んじゃ、今度はお勧めは何ですか?というのはリコメンドというのがお勧めなんだねと。

じゃあ、もうちょっと今度はComprehendedなインプットということをしてみます。もうリコメンドは理解したし喋れるようになったら、もっと会話のバリエーションを広げたいですよね。

やっぱりおいしんぼって本当にいろんな表現をするじゃないですか。

んじゃ、「もっと難しい表現のバリエーションを教えてください」というふうにやると、ChatGPTがいろんな言い方をします。

例えば、What do you recommend?というのが、May I ask for yor recommendation on what to orderという感じでちょっとこれ丁寧な表現とかというふうになってくると、自分ができる範囲の幅の中でこうやって広がっていくわけですね。

しかも例えば、ChatGPTの出力の5種類に関して「表現の使い分けを教えてください」というふうにやると、今言ったみたいにMay I askというのはやっぱりフォーマルな場所に使うんですねとか、I’m interested inはカジュアルな場面に使うんですねとかというふうに自分がどういうときにアウトプットすればいいかみたいなことをどんどん分解してくれるわけです。

この記事の著者・尾原和啓さんのメルマガ

初月無料で読む

 

アウトプットを分解する

んじゃ、さっきの話でChatGPTの出力の2番目はちょっと難しいよね、という話になったら、さっきの話に戻って「2を単語別に分解して教えてください」というふうに言えばいいのですね。

例えば、文法がわかりにくいという場合は、「その際に文法もお願いします」みたいなことを言うと、単語別に分けてくれるんだけではなく、I’m interested inというのが自分の興味を持っているという慣用句だよ、という形。あとはCan you suggest?というのが尋ねるためですね、みたいな形で、自分がComprehended、つまり理解できる範囲にインプットを分解というふうにやっていくといいわけですね。

今度はこのCan you suggestみたいなことが分解できれば、今度は「Can you suggestを使った他の例文を5個あげてください」ということをやれば、今度はこの理解の範囲でまたもう一歩理解の幅を広げていくということで、どんどんアウトプットができていく。

こういうふうに結局カンニングになってしまうというのは、自分に理解できる範囲というものをはるかに超えたものをひな形として用意されちゃうと、ただそれをコピーしてしまって自分は成長せずに依存するってことになりがち。

でもやっぱりChatGPTの良さというのは自分のレベルに合わせてこれだけの形で、自分が理解できるところで分解をお願いする。

分解して理解ができたら今度はちょっと難しく自分の理解ができる範囲の中で、さらに自分の幅を広げる。

こうやって自分の幅を広げることとちょっと理解できなかったら分解することってことが今までは学校の先生がつきっきりにいてくれるわけじゃないからやっぱりできないわけですよね。

これがChatGPTだと気兼ねなくずっと自分の興味が続く範囲の中で広げていって、しかもそれをすぐ実践が使える。

だから例えば僕とかは今TEDに来ているわけなので「カンファレンスの幕間の間で会話を始めるときの言葉を教えてください」だったりとか。

実際にスピーチの内容を入れ、「このスピーチの内容に対して、講演の内容をChatGPTに入れていき「講演の内容を要約してください」と。

そうすると講演の骨子がわかる。かつ、「この講演をベースに議論するといい論点を日本語と英語で教えてください」みたいなことで、自分の理解の範囲から次の相手へのインタラクションに続けていく。

こうするとどんどんアウトプットを前提としてインプットが進むし、インプットもわからないところはどんどんChatGPTに自分が理解できる範囲に分解とやっていくと、このComprehendeNなインプットが続いていくので成長が加速するよということなんですよね。

この記事の著者・尾原和啓さんのメルマガ

初月無料で読む

しかもこれは今PCでやりましたけどモバイルで全然できちゃいますから。

モバイルでやればずっと自分がふと思ったとき、今レストラン行ったときとか。他にも、お花を見てこれがきれいだなと思ったら、お花を表現する形容詞を出してみる。それをもうちょっと難しくしてくれとか、もっとポエティックにしてくれとか、もっと実務的にしてくれとかというふうに言っていけば、どんどん自分の興味の範囲の中でComprehendedに自分が拡張していくよということです。

なのでぜひこのComprehended Inputアプローチを皆さんの日常の中で使ってください。しかもChatGPTは有料課金しておくと、過去の履歴が全部見れていくので思い出したりとかできます。

僕の場合は、さっきの講義とかをPCでやっておいて、PCの中でやっておいたものをモバイルであんちょことして見ながら会話して、他の人がちょっとしゃべっているときにちょっとパパパッと聞いて、またそれで会話にジョインしてみたいな形で、リアルタイムでPCでグッと調べてモバイルで日常に使うという往復もできるので、ぜひこのComprehended Inputアプローチを使っていただければです。

というわけでどんどん新しい知識とも知識を通して新しい目の前の興味があること、目の前にいる新しい人とつながる未来を楽しましょう。

この記事の著者・尾原和啓さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Shutterstock.com

尾原和啓この著者の記事一覧

IT批評家、藤原投資顧問 書生 1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。 マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタート。 NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援を経て、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業立ち上げに従事。 経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現職は14職目。シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリスト。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 尾原のアフターデジタル時代の成長論 』

【著者】 尾原和啓 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 月・木曜日 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け