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Traditional Japanese house ryokan closeup with tatami mat floor, shoji sliding paper doors and woman in kimono and geta shoes tabi socks walking in corridor hall room

日本有数の名旅館『加賀屋』の女将が考える人材育成の必須10項目

石川県の名旅館「加賀屋」。宿泊客に愛され、プロからの評価も高い“おもてなし”にはどんな秘訣があるのでしょう。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、加賀屋の女将である小田真弓さんのインタビューを紹介。高いホスピタリティを可能にする人材育成の技とは。

加賀屋の流儀──人を育てる10の心得 小田真弓(加賀屋女将)

年間30万人の宿泊客を魅了してやまない石川県の名旅館・和倉温泉「加賀屋」。プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選にて2015年まで36年連続総合1位に輝くも、2016年に3位。しかし翌年、再び首位に返り咲きました。

『致知』の愛読者でもある女将の小田真弓さんに、日本一のおもてなしを支える人材育成術を学びます。

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人を育てる上で大事なことで、まず前提として挙げられるのは、「現場に宝物あり」ということですね。

やはり現場にいなければ分からないことがたくさんありますから、私は極力玄関に立ち、廊下を歩いて、危ないな、よくないなと思うことはすぐに注意して直させているんです。

その上で、客室係を育てる上で大切だと感じていることは、10項目あります。

一つ目は、笑顔で相手のいいところを褒めてあげる。

ここでのポイントは「ありがとう」と言うことです。

よく「ご苦労さん」って言うことがありますけど、どうしても上から目線での物の言い方になりますから、私は「ありがとう」とか「ご苦労様でした。ありがとう」と言うようにしています。

二つ目は、注意する時は言い方に気をつける。

「あんた、こんなことしてダメよ」って頭ごなしに叱っても、いまの子は「何よ、あの言い方」「全然私の気持ちを分かってくれない」と反発するだけですから、相手の言い分をまず聞き、「こんないい面を持っているけど、これだけは気をつけてね」と注意します。

三つ目は、相手との気持ちを通じ合わせる。

朝社員に会ったら、こちらから先に笑顔で「おはよう」って挨拶をしますし、一人ひとりの顔色や体調、様子を見て、「どうしたの?」「風邪ひいた?」などと声を掛けるようにしています。

四つ目は、時には外部の研修や講演会などに出してあげて、気分転換させる。

五つ目は、不器用な人、要領よくできない人ほど、より可愛がって大事にしてあげる。できる人は放っておいても努力しますからね。

六つ目は、自己啓発の機会を体験させてあげる。加賀屋ではお茶や生け花などの作法や知識を学ぶ社内アカデミーを設けています。

七つ目は、ひと言多い子や段取り優先な子を注意する。たいていのクレームの原因が、ひと言多いか段取り優先のタイプなんですよ。

言わなくてもいいことを余計に言ったり、お客様のペースを無視して自分の段取りどおりに進めようとして怒られる。「お客様はみんな違うんだから、一人ひとりに合わせればいいのよ」と話しています。

八つ目は、知識を教える。

お料理のことや地域の歴史、美術工芸品など、客室係はいろんなことをお客様に聞かれますから、そういうことを一所懸命教えるんです。

九つ目は、相性が合わない場合には配置換えをする。何回言ってもどうしても喧嘩をする社員同士は、配置換えをして、お互いに気持ちよく仕事ができるようにしています。

最後は、責任は女将である私にあるということ。

「最終的な責任は私が背負うから、自分が正しいと判断するとおりにやっていいよ」と言うんですが、そういう雰囲気をつくり、社員たちの創意工夫を後押しできるようにしています。

私の役割は舞台をつくることで、そこで美しく舞うのは社員たちです。社員たちがイキイキと楽しみながら働けるような環境を整えることが、私の仕事だと思っています。

(月刊『致知』2017年4月号より)

image by: Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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