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High school boys running in a large group on a red track during cross country practice.

なぜ、駒澤大学は13年ぶりに箱根駅伝を制することができたのか

学生スポーツとはいえ、国民の注目度が高い大学駅伝と高校サッカー。このふたつで栄光を掴んだ駒澤大学と岡山学芸館高校の監督たちはどのような指導をしてきたのでしょうか?今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、勝利への道を掴むための指導法について大八木弘明氏と高原良明氏にインタビューしています。

なぜ駒大は箱根を制することができたのか?

誰もが日本一を目指して鎬を削る中、勝利の栄冠に輝くチームに共通するものはあるのでしょうか。

今年1月、共に初の栄光を掴んだチームがあります。

駒澤大学陸上競技部は歴代5校目、悲願の大学駅伝三冠を達成。

岡山学芸館高校サッカー部は岡山県勢として初の全国制覇。

ただいま発行中の『致知』6月号では、それぞれ指導に当たった大八木弘明氏と高原良明氏に、日本一への軌跡、人生を貫くものを語っていただきました。

本日はその一部をご紹介します。

チームの勝敗はすべて監督の本気度次第

高原 「駒澤大学さんは2002年からは箱根駅伝を4連覇され、その後は“平成の常勝軍団”として常にトップクラスの結果を残してこられましたが、毎年メンバーが変わる中でどのように指導されてきたのでしょうか?」

大八木 「ある程度指導をしていると、どのくらいのトレーニングをしたらこのタイムになって、このくらい練習すれば箱根で3番以内に入れるという感覚が分かってくるんですね。

極論を言えば、箱根だけに焦点を絞るのなら勝たせることができます。

だけど私は箱根で終わらせたくはないんです。

よく選手たちにも、『箱根は通過点だ』と言っていて、その先には実業団での活躍があって、オリンピック、世界陸上と箱根以上に高い山はいくらでもあります。やっぱり世界と戦える選手を育てたい。

でも国内での注目度は断トツで箱根が高いですから、箱根も勝たせなくちゃいけない。

二兎を追う者は一兎をも得ずと言いますが、難しいのを承知の上で指導者としては二兎を追わせてあげたかった。

この葛藤を続けているうちに13年、箱根駅伝での優勝を逃してしまっていたんです」

高原 「2021年に13年振りの日本一に返り咲きましたが、その勝因はなんでしょうか?」

大八木 「監督の本気度でしょうね。やっぱり、私の中で驕りじゃないですけども、甘えがあったのだと思います。

このくらいトレーニングをすれば十分だと分かっているので、55歳頃からは完全に、6時からの朝練で選手に自転車で伴走するのはコーチに任せてしまいました。

選手たちはそれを見ているんですね。

ああ、監督は楽をしていて本気じゃないなと。

そう見られていることにも気づいていたので、60歳の節目を境にもう一度、本気で勝ちにいこうと決意し直したのです。

それで、朝練の時に自転車での伴走を再開し、脇につきながらちょっと気になることがあればすぐに指摘するようになりました」

高原 「自転車とはいえ、朝6時からの練習は楽ではありませんよね」

大八木 「そうですね。自転車でもアップダウンのあるコースを13キロ漕ぎますから。

だけど、本気度って伝わるんです。

ああ、監督は本気で俺たちを指導してくれていると選手たちが感じ取ってくれ、チーム全体の意識が高くなりました。これこそがチーム力なんです。

ですから、チームを勝利に導けるかどうかは指導者の考え次第ですよ。

本気になるかならないか。

日本一から遠ざかっていた13年間は驕っていたつもりは一切ありませんが、どこか安定志向に陥っていたのだと思います。ノウハウというのは長年やっていれば身につきます。ですが、最後の最後で勝利を掴むためには、指導者が本気でなければいけません。

スポーツは良くも悪くも結果がすべて。残るのは結果だけですので、指導者は選手たちを勝たせなかったら駄目なんです」

高原 「指導者の本気かどうかが、勝敗を決める」

大八木 「人間は弱い生き物ですが、本気になったらここまで変わるものなのかとつくづく感じました。

本気になってガムシャラに努力すれば、結果は自ずとついてくる。それが私の実感です」

image by: Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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