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Red snapper for sale at Jagalchi Fish Market near Nampo-dong, Busan, Korea

水揚げ量の約3割が「廃棄」の事実。広がる廃棄魚や未利用魚ビジネス

水揚げされた魚の約3割は捨てられてしまうという事実を、みなさんはご存知でしたか?メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』で著者の佐藤きよあきさんが、この廃棄される魚を使ったビジネスや、未利用魚への注目について語っています。

廃棄される魚で新ビジネス!SDGsの波に乗る!?

衝撃的な数字をご紹介します。

日本国内で水揚げされる魚の量は、1年間でおよそ300万トン。その内の100万トンは、廃棄されると言います。

約3割が捨てられているという事実を知らない人は多いのではないでしょうか。

漁獲量が少なすぎる魚種。サイズが小さい。獲れ過ぎた。キズがある。調理に手間が掛かる。

こうした理由で、市場に出まわることのない魚が大量に余り、漁師や周辺で消費されるものはあるものの、そのほとんどが海に廃棄されているのです。

その中には、美味しい魚も多くあるのですが、行き場を無くし、廃棄せざるを得ないのです。

こんな馬鹿げた“もったいない”ことが、昔から延々と続いてきたのです。

しかし、エコやSDGsが叫ばれるようになり、こうした「未利用魚」に目を向ける人たちが現れ始めました。

島根県のある会社では、この捨てられる魚を缶詰にして販売しています。

魚種も漁獲量も日によって違うため、すべてを手作業で対応。

小ロット生産とすることで、製品化を実現しています。

仕入れ値が安いため、手間が掛かるものの、比較的安く提供することができています。

未利用魚には美味しいものが多いため、手軽に食べられる缶詰にすることで、知名度アップにも貢献しています。

美味しいことが消費者に伝われば、数が少ない魚であっても、注目されるようになります。

のどぐろや金目鯛も、かつては未利用魚だったのですが、美味しいことをアピールしたことで、高級魚となったのです。

近畿大学水産研究所では、「アイゴ」という魚を養殖しています。

この魚は、ヒレのトゲに毒があるので嫌われ、また、内臓を適切に処理しないと臭くなるので、これまでは漁で掛かっても捨てられていました。

しかし、美味しい魚であることに着目し、近畿大学が養殖に乗り出したのです。

育て方やエサを工夫することで、臭みを少なくし、処理方法を考えることで、市場に出まわりやすくすることができます。

この養殖魚が一般化すれば、天然魚も高級魚に生まれ変わるかもしれません。

未利用魚の利用は、少しずつですが、他でも広がってきています。

まだまだ実験的ではありますが、フレンチレストランや和食料理店、ラーメン店、スーパーでも扱われるようになってきました。

また、簡単に調理すれば食べられる「ミールパック」のサブスクも始まっています。

カゴカキダイ、金時鯛、サカタサメ、ホウライヒメジ、ネンブツダイ、エイ、赤ヤガラ、ニザダイ、クロシビカマス、イトヒキアジ、キコリダイ、マトウダイ、グチ……。

聞いたことのない名前の魚が、少しずつ食べられるようになってきたのです。

食べた人たちは、美味しいと口を揃えて言います。

こんな“もったいない”ことを何十年も続けてきたのです。

やっと前進することができました。

とは言え、廃棄量からすれば、利用されるのは、まだまだ数%。

食べられるものが大量に捨てられていることに変わりはありません。

もっともっと“もったいない”を叫ばなければなりません。

消費者は、もっともっと実践しなければなりません。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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