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元Google執行役員が語る、ジャーナリストの堀潤が「論破」を憂慮する理由

TikTokやInstagram、またはネットニュースに至るまで、私たちは様々な娯楽・情報に囲まれています。便利な時代になっていく一方、「自分が興味のある対象しか見ない」こともできるわけで、人間の考え方や世の中が“分断”される危険があることも間違いありません。Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されているメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』の著者・尾原和啓さんは今回、元NHKのアナウンサーでジャーナリストの堀潤氏との対談を議事化。Z世代をコメンテーターにしたニュース番組の編集長を務める堀氏が憂慮している「オピニオン」だらけの現状、そして、組織やチームで使える「3つのファクト」について解説しています。

堀潤さんとの対談、ファクトの3つの分解は、組織やチームで使えるので解説

今日はみなさんの組織やチームでも使えるファクトの3種類、特に3番目がこれから大事という話をしていきたいと思います。

堀潤さんがNHKのアナウンサーからフリーのジャーナリストとして(番組を)立ち上げた時に、彼が見ているオープンジャーナリズムだったりソリューションジャーナリズムだったり、これからのメディアの流れの中で、非常に大事な流れがありました。

「アテンションエコノミー」といわれるように、僕たちはTikTokやInstagramのリールで、自分の注意・関心を惹くものばかりを、スワイプしてどんどん見ていきます。そうなった時に、人間の考え方や世の中は、いつの間にか分断的になっていきます。

結局、影響力が強いモノ・注意を惹くモノを発信できる者にしか、ユーザーに声が届けられない状況になってきている。そんな中、堀潤さんが、どういうかたちでしなやかに持続的なことを10年近くやられているのかという話は、非常にわかりやすく、ヒントになると思います。

『モーニングCROSS』から『モーニングFLAG』へ

僕も出させていただいた、TOKYO MXの『モーニングCROSS』という番組があります。

(顔の前で手をクロスさせながら)「モーニング・クロス」というふうに、独自の意見を持った人たちが見ている、「他の人には見えていないファクト」や、「1つのニュースというファクト」に、いろいろな専門家の視座から見えるオピニオンをクロスさせていくことで、多様な物の見方をしましょう、というものです。

MXさんは、ものすごく野心的な番組をやられていたわけですね。でも堀潤さんは、そこをあえて辞めて、昨年からZ世代の方がコメンテーターになる番組(『堀潤モーニングFLAG』)を始められて、1年経ったのですよね。

これからのZ世代は大事です。Z世代の方々は若いので、意見の発信の仕方にまだまだ慣れていらっしゃらないことがありますが、「そういったところに、活躍のフォーカスを当てていくのがすごいな」と、個人的には思っていました。

堀潤さんには、時代の変化として大事な構造が2つ見えています。(番組は)そこをどういうふうにやっていくかの実験でもあり、かなりおもしろく、うまくいっているということなのですよね。

特に前半の内容が、みなさんのチームの作り方や、ふとしたミーティングのあり方などにおいて非常に大事なので、今日はその話をしたいと思います。 

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それはファクトか? オピニオンか?

さっきからカタカナが多いのですが、「ニュースって何?」「人がしゃべるって何?」ということを簡単に定義すると、人がしゃべることって「ファクト」と「オピニオン」からなっているのですよ。

つまり、だれが言っても変わらないのが、事実である「ファクト」です。

例えば、僕は今カナダのモントリオールのホステルにいて、「MacbookPro16インチ」で配信しています。これは、厳然たるファクトです。

それに対し、オピニオン(意見)として、このファクトをどう読み解くのか。

「コロナが明けたあと、リアルが戻ってきたので、尾原さんは、若い人たちが集いながら旅するホステルを渡り歩くことで、コロナの間に非連続で成長している、主に若い方の意見を吸収しようとしているんじゃないかと思うんですよ」と、だれかが言ったとします。

でも、僕の行動は僕の中にしかないから、僕のことは僕にしかわかりません。もっというと、僕のことは僕ですらわからないこともあるわけですよね。

なので、ファクトに対して「オピニオン」という光の当て方を変えていくことによって、人は多様な物の見方ができます。

「あ、そこまで読み解くんだ!」と。ないしは(ファクトを)読み解いたあとで、「なぜその人は、そこに光を当てたがっているのか?」という意思を見る。それがファクトとオピニオンの組み合わせの、ニュースたるところのおもしろさです。

ただし最近のYouTubeでいうと、ファクトよりもオピニオンのほうがおもしろいから、人の(動画)を見て、「あーおもしろいな。こんな見方するんだ」「そこまで考える?」みたいな、オピニオンだらけになっています。

場合によっては「論破」みたいなものが、エンターテイメントとして消費されていくことになっているわけですよね。そこに堀潤さんは憂慮していて……。

これが大事な話ですが、その時に「ファクトには3種類ある」と再定義しました。(メルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』2023年5月29日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

2022年9月26日のサロン向け解説動画を議事化しております

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image by:Shutterstock.com

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IT批評家、藤原投資顧問 書生 1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。 マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタート。 NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援を経て、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業立ち上げに従事。 経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現職は14職目。シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリスト。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。

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【著者】 尾原和啓 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 月・木曜日 発行予定

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