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医師の所見が正しいとは限らない。年1回の健康診断との向き合い方

企業の従業員なら毎年義務付けられている健康診断。正常値から外れていたりぎりぎりだったりで、医師の所見が付与されているケースがあります。しかし、鵜呑みにしてはかえって健康的な食生活を阻害されることがあるのかもしれません。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、コレステロール値を受けて食事改善の診断を受けた読者の質問に、糖質制限食の提唱者として知られる江部康二医師が回答。年1回の健康診断の意義を説明したうえで、医師任せではなく自己判断する質問者の姿勢を支持しています。

健康診断の意義とは?

Question

先日、市の健康診断を受けました。

BMIは18.5
尿検査は全てクリア
肝機能、腎機能も問題なし
HbA1cは4.9%
空腹時血糖値103
総コレステロール265mg/dl
中性脂肪42mg/dl
HDLコレステロール98mg/dl
LDLコレステロール159mg/dl
動脈硬化指数1.7

という結果でした。

医師の診断は、総コレステロールとLDLコレステロールが高いので、脂質異常症の欄に要注意のチェックが入り、卵、肉、油の摂りすぎ注意と生活習慣の改善が言い渡されました。また、空腹時血糖値がちょっと高いとのことで、糖尿病の欄にも要注意のチェックが入りました。

私は、総コレステロールやLDLコレステロールが多少高くても、HDLコレステロールが高く、小粒子LDLがほとんどなければ、問題ないと理解していたので気にしませんでしたが、もし知らないで医師の言う通りにしていたら、卵、肉、油を減らして、足りない分を糖質で補ったりして、返って病気を招く様な気がします。

そうなったら、折角の健康診断の意味がないですよね?いっそのこと、健康診断を受けない方が幸せなんじゃないかとも考えてしまいます。受ける側の不安をあおってるだけの様な気さえします。

健康維持の為に、健診は定期的に受けて、後は受ける側が、勉強して賢く自己判断というのが正解ですか?先生は、このような健康診断について、どの様な見解をお持ちでしょうか。

江部先生からの回答

この方は、40代の主婦ですが、私のように、「標準の大きさのLDLコレステロールは、高値でも身体に害をなさない」、「危険なのは小粒子LDLコレステロールと酸化LDLコレステロールである」と考えている立場の医師であれば、全く問題ないデータと思います。このまま糖質制限食を続けて頂ければ良いと思います。

空腹時血糖値が、103mg/dlで100mgを超えているので正常高値となりますが、健診で緊張したということであれば、普段は100mg/dl未満の正常値である可能性が高いです。

HDLコレステロールが60mg/dl以上あり、中性脂肪値が60mg/dl以下なので、小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールといった悪玉は皆無です。従ってこの方のLDLコレステロールは基準値より少し高めですが、標準の大きさの肝臓から末梢組織にコレステロールを運んでくれている善玉ばかりであり心配ないです。

血圧も家で、115/75くらいなら問題ないです。高雄病院の外来診察でも、病院で血圧測定するとかなり高値となる人が多いですが、家庭血圧を測定して血圧手帳に書いて持参して貰うとほとんどの人が正常値なので、病院血圧はあまり当てにならないと考えています。

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「いっそのこと、健康診断を受けない方が幸せなんじゃないかと考えてしまいます。受ける側の不安をあおってるだけの様な気さえします。健康維持の為に、健診は定期的に受けて、後は受ける側が、勉強して賢く自己判断というのが正解ですか?」

かつて医師になりたての頃、自営業などのおじさんで、「自分は元気でどこも悪くないから健康診断など必要ない」などと豪語していた人が、いきなり心筋梗塞とか、いきなり眼底出血とかいうことが、結構ありました。

ベースに糖尿病などが隠れているとそういうことがあり得ます。多くの場合、血糖が200mg、300mgあっても無症状ですので検査しない限りわかりません。その後、年1回の健康診断が社会的に定着してからは、そのような一手バッタリ状態みたいな人はさすがにあまり見かけなくなりました。

仰る通り、「健康度チェックの為に、健診は定期的に受けて、後は受ける側が、勉強して賢く自己判断というのが正解」と思います。前年は何も問題はなかったのに、1年後に、いきなり糖尿病発症ということも充分あり得ますので。

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image by: Shutterstock.com

江部康二この著者の記事一覧

(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

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